Google Geminiを「使いやすい環境」はPCかスマホのどっち? 3つの理由を実体験を例に紹介

» 2025年07月05日 16時15分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 最近、GoogleのAI機能「Gemini」をさまざまな場面で使う機会が増えた。どんな体験においても一貫していえるのは、GeminiはPCで使うよりもスマートフォンで使う方が圧倒的に使いやすいこと。そう感じる理由を3つ紹介する。

Google Gemini AI GoogleのAI機能「Gemini」をスマートフォンとPCで使う様子

1つ目:アクセスの手軽さが段違いである点

 まず、何よりも大きいのは、Geminiへのアクセスにかかる手間が段違いだという点である。PCでGeminiを使おうとすると、まずPCの電源を入れ、生体認証でログインし、インターネットへの接続が安定するのを待ち、そしてようやくブラウザを起動してGeminiのWebサイトにアクセスするという、幾つものステップを踏む必要がある。急ぎで何か調べたい時や、ふと思い付いたことをGeminiに問いかけたい時などには、この一連の動作が非常に煩わしく感じられる。

 一方、スマートフォンであれば、ロックを解除した後に電源ボタンの長押しというシンプルな操作1つでGeminiを起動できる。この手軽さは、まさに「必要だと思った瞬間に使える」という、現代のデジタルデバイスに求められる即応性を体現しているといえるだろう。

Google Gemini AI 電源ボタンの長押しだけでGeminiを起動できるGoogle Pixel 9。一発起動ならこの方法が便利だ

 もちろん、この電源ボタン長押しにGemini起動を割り当てていると、例えば映画館のようにスマートフォンの電源をシャットダウンする必要がある環境で、うっかりGeminiを起動してしまうというケースも出てくる。これは、古いスマートフォンでは電源ボタンの長押しが電源オフや再起動のメニュー表示に割り当てられていたため、その習慣が残っていると特に感じるかもしれない。しかし、この点は設定を変更すれば済む話であり、筆者自身も、自身の利用状況に合わせてこの設定は調整済みである。このちょっとした一手間を差し引いても、スマホでのアクセスのしやすさのメリットは計り知れない。

2つ目:コミュニケーション手段からアクセス可能である点

 スマートフォンでの使いやすさを際立たせているもう1つの大きな理由は、Geminiがあらゆる手段で利用できるという点である。単に専用のGeminiアプリがあるだけでなく、スマートフォンのメッセージングサービスであるRCS(Rich Communication Services)を通じてGeminiと会話ができるのは非常に画期的な機能だ。まるで友人とチャットするような感覚でAIと対話できるため、調べ物はもちろん、文章の推敲やアイデア出しなど、さまざまな用途で気軽にGeminiの力を借りられる。

 さらに、GmailなどのGoogle Workspaceサービスとの連携も進んでいる。これにより、例えばメールの返信文案を作成したり、会議の要約を依頼したりといった、日常の業務やコミュニケーションの中でシームレスにGeminiを活用することが可能になる。PCでの利用も当然可能だが、これらの機能がよりパーソナルなデバイスであるスマートフォンに統合されていることで、まるで秘書が常に隣にいるかのような感覚で、Geminiを使いこなせるのだ。

Google Gemini AI スマートフォンのメッセージングサービスであるRCS(Rich Communication Services)を通じてGeminiと会話ができる。画像は過去記事で紹介した会話の例

3つ目:スマホのカメラから直感的に情報を検索できる点

 最後に、スマートフォンでのGeminiは、モバイルデバイスに最適化された直感的な操作性を持っている。画面のタッチ操作はもちろん、音声入力による対話もスムーズで、PCでキーボードを打つよりも、より自然なコミュニケーションが可能だ。移動中や外出先で、ふと思い付いた疑問やアイデアをすぐにGeminiにぶつけることができる柔軟性は、PCではなかなか実現しにくいものである。

 さらに、スマートフォンでGeminiを使うメリットとして、カメラを利用して情報を検索したり、新しい発見や気付きを得られたりする点も挙げられる。例えば、AIアシスタント「Gemini Live」にスマートフォンのカメラを通して見ているものを認識させ、それについて会話できる機能がある。これはGoogleが2025年4月7日(現地時間)に発表した新機能で、全てのPixel 9シリーズとSamsungのGalaxy S25で無料で利用できる。それ以外のPixelモデルでは、「Gemini Advanced」のサブスクリプションに加入していれば利用可能になる。

Google Gemini AI AIアシスタント「Gemini Live」。Gemini Liveでは、まるで人と話しているような感覚で、AIとアイデアを考えたり、知りたいことを調べたり、プレゼン(発表)の練習をしたりできる。前に話した内容をAIが覚えてくれるため、途中で会話をやめても、後から会話の続きを楽しめる

 筆者の実体験を例に何が便利なのかを少し紹介しよう。旅先で知らない植物を見たときに、スマートフォンのカメラでその種類を検索し、新たな学びにつなげることができた。また、洋服が多すぎて選びきれないときには、スマートフォンのカメラを洋服に向けつつ自分の好みをGeminiに伝えると、「この服のこの色や柄があなたに合うかもしれない」というようなヒントを与えてくれたこともある。まるで隣に人がいてアドバイスをしてくれるような体験が可能なのだ。これも高画質なカメラを持つスマートフォンだからこそ得られる体験価値の1つといえる。

Google Gemini AI スマートフォンのカメラを知りたいものに向けるだけで、Gemini Liveがヒントを示してくれる。カメラアプリで撮影してスクリーンショットをGeminiに提示する手間が省ける。PCには、スマートフォンに匹敵する高画質カメラが標準搭載されていないため、片手で持ってカメラを向けて会話をして知識を深められるスマートフォンは便利だ

 これらの理由から、筆者はGoogle GeminiをPCで使うよりも、スマートフォンで使う方がはるかに快適で、日常生活におけるAIの活用をより身近なものにしていると感じている。もちろん、PCにはPCなりの強みがあるが、手軽さ、連携性、そしてモバイルに特化した直感的な情報検索能力という点で、スマートフォン版Geminiは一日の長があるといえるだろう。

おことわり

本記事で紹介した内容は、主に「Google Pixel 9」シリーズでの検証に基づいています。ここで触れた機能の一部は、お使いのスマートフォンによっては対応していない場合があるため、市場に流通している全てのスマートフォンでの動作を保証するものではありません。


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