―― スピーカーはどのように強化したのでしょうか。
三島氏 AQUOS R10では、音質面で主に2つの大きな進化を遂げています。1つ目は、スピーカーユニット自体を新規開発した点です。スピーカーユニットを構成する主要パーツ、つまり振動板、ボイスコイル、磁石のそれぞれを再開発しました。
振動板の材質と形状を見直すことで、音圧を向上させるとともに、音のひずみを改善しました。ボイスコイルの巻き数を増やすことで、より力強い音が出せるようになりました。上側スピーカーには、磁石の数を増やすことで磁気結合をより強力にし、音圧をさらに高めることを可能にしました。下側スピーカーはサイズを大きくすることで、低音の出力レベルを大幅に増強しています。これらの改良により、全体的な音質の底上げを図っています。
もう1つの進化は、上側スピーカーにフルメタルボックスを採用したことです。このフルメタルスピーカーボックスを採用した目的は、スマートフォンの本体サイズをなるべく大きくせずに、スピーカーボックスの容積を最大限に確保することです。スマートフォンの上部、特に耳元付近は、カメラやSIMトレイなど、多くの大きな部品が搭載されており、内部スペースが非常に限られています。
この限られたスペースの中で、容積を最大化し、かつ音質を高めるための方法論として、フルメタル構造を採用しました。メタル素材にすることで、効率的に内部容積を確保しつつ、不要な振動を抑え、クリアな音を出すことに貢献しています。
―― フルメタルスピーカーボックスはR9 proには採用していなかったのでしょうか。
三島氏 R9 proでもフルメタルスピーカーボックスを採用していましたが、R10では、スピーカーユニット自体を全て新規で開発しています。
AQUOS R10は、R9の成功を踏まえつつ、ハイエンドの技術資産を生かして価格を抑え、「10万円前後」の競争が激しい市場で存在感を示そうとしていることがうかがえた。発表会では、「生で見るより生々しい」という製品コンセプトが示され、特に注力した分野がディスプレイに見えるが、スピーカーや日々の生活に寄り添うAI機能も総合すると、実は「撮って、見て、聞く」という一連の流れを踏まえて、R9からさらにブラッシュアップされた1台といえる。
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