FCNTがハイエンド「arrows Alpha」で描く成長戦略 桑山社長が語る“日本メーカー”のモノ作り(3/3 ページ)

» 2025年07月17日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

海外進出はこれから検討 まずは日本ユーザーにフォーカス

―― FCNTとしてフォーカスしているのは、日本市場だけでしょうか。海外進出もありえるのでしょうか。

桑山氏 海外をやらないと決めているわけではありませんが、まずは日本のメーカーとして、日本のお客さまに提供したいという思いがベースにあります。だからと言って、海外をやらないと思っているわけではありませんが、グループにはモトローラがあり、海外でバリバリ売っているブランドです。FCNTがそこでやっていく必要があるのか。これは、グループ全体の事業として捉えたときに判断が必要になるポイントです。

 もう1つは、やはり日本のお客さまのために作っている商品なので、海外にニーズがあるかどうかもポイントになります。海外のお客さまにもニーズがあるようなぜひ挑戦はしたいのですが、その点は明確にした上で検討していきます。この部分は、本当にこれからですね。

―― 再出発後に、シェアの目標などはありますか。

桑山氏 まだシェアうんぬんを言える立場にはありません。FCNTとして地道にできるところから頑張っていき、結果として後からシェアはついてくると思っています。

―― とはいえ、各種市場調査を見ると、出荷台数は上向きです。これはarrows We2がよかったのでしょうか。

桑山氏 そうです。シェアでは貢献しています。ただ、あまりシェアを追いかけすぎると、FCNTが何をすべきかというところからズレてしまいます。昨年(2024年)arrows We2、We2 Plusを出し、今年(2025年)はarrows Alphaをやらせていただき、少しずつポートフォリオを拡充しています。商品ごとに価値が少しずつ違っていますが、そういった選択肢を日本のユーザーにお届けできたらいいなと思っています。それが、今、目指していることです。

―― 旧FCNTが破綻した際には、台数が出ていたarrows Weの開発コストが高騰したことが原因の1つでした。価格的には大きく変わっていませんが、今はスケールメリットを生かせるので大丈夫ということでしょうか。

桑山氏 当時のことは分かりませんが、arrows We2に関しては利益体質になっていて、少しばかりの利益は出せています。それなりの数が出せているのは、新生FCNTの1つの大きな成果だったといえるかもしれません。

さらに上のハイエンドや折りたたみに挑戦する可能性は?

―― 逆に、arrows Alphaよりさらに上を攻めていくということもお考えでしょうか。

桑山氏 (考えが)ないわけではありません。私自身、折りたたみをやりたいということは、最初のころからずっと言っています。今でもやめたわけではありませんが、もっと上のハイエンドや折りたたみもただやればいいのではなく、FCNTとして、arrowsとして必要なのかは考えていかなければなりません。お客さまがお求めになるのか、お求めならどういうハイエンドやどういう折りたたみならFCNTとしてやる意義があるのか。こういうところを明確にしていかなければ、やる意味がありません。

 arrows Alphaを出すことができたので、その次をどうするかは、まさに今プランニングをしているところです。その過程の中で、これはハイエンドにした方がいい、そうじゃなくて折りたたみにすべきだという結論が出てきます。ただし、ベースになるのはFCNTらしさ、arrowsらしさです。日本のお客さまが求めているものをベースに置き、商品計画をしていきたいと考えています。

―― 今年はarrows Alphaでしたが、arrows Weが出ていません。発売のサイクルは、どのようになっているのでしょうか。

桑山氏 (arrows We2は)1年で終わりではないと考えています。フレッシュさが求められる商品については、できるだけ1年サイクルにしていきますが、フレッシュさより長期的にご提供した方がマーケットとしてもいいというものは長く続けていきます。そういう意味では、使い分けになっていくと思います。

arrows Alpha 2025年は、arrows We2とarrows We2 Plusにarrows Alphaを加えたラインアップで攻めていく

取材を終えて:旧FCNTを超えたメーカーに成長する予感

 コストの高騰が経営を圧迫し、破綻に追い込まれてしまったFCNTだが、レノボグループの下で確実に再建が進んでいることがうかがえた。ミッドレンジやエントリーモデルはスケールメリットを生かせて安定するのはもちろん、より上位の端末開発に挑戦しやすくなったのもグローバルメーカーの後ろ盾があってこそといえる。

 インタビュー中のやりとりにもあったように、レノボグループはこれまでも、PCで複数のブランドを使い分けてきた。バックグラウンドとしてスケールメリットを生かしながら、傘下に収めたメーカーの開発陣も尊重する姿勢が、こうした成功につながっているように見える。FCNTの経営再建でも、その文化や考え方は生かされているようだ。

 モノ作りの観点では、モトローラのよさを取り入れつつ、FCNTの独自性をしっかり出せている。arrows Alphaのような新しいコンセプトの端末も投入でき、旧FCNTを超えたメーカーに成長する可能性も予感させた。よりとがったハイエンドモデルや、グループの資産をフル活用したフォルダブルスマホの登場にも期待したい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月26日 更新
  1. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  2. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  3. 「Galaxy Z Fold8」「iPhone Duo」を“メイン端末”として使う上での課題 縦型コンテンツの最適化をどう進める? (2026年10月26日)
  4. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  5. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  6. KDDI、子会社モビコムのモンゴルでの火災について事実関係を公表 「法令違反行為を行っていない」 (2026年10月24日)
  7. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
  8. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  9. 「iPhone Duo」画面不具合の報告がSNSで話題 店頭デモ機の過酷な使用環境が起因か (2026年10月26日)
  10. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー