ポケともの開発は、およそ1年前から始まったという。シャープが既に持つロボット技術「ロボホン」と、シャープ独自のEdge AI技術「CE-LLM」を組み合わせるというアイデアが技術的基盤として存在したという。そこから、どのような存在が人々に受け入れられるか、徹底的な構想が練り上げられた。
AIモデルとしてはOpenAIの「GPT-4o mini」を採用したが、景井氏は「LLMの進化やそれぞれの技術の違いもある」ことから、AIモデルは「柔軟に変更できる仕組みを設けている」と明かした。
CE-LLMによって、一人一人に寄り添うパーソナライズされた音声対話が可能になり、ユーザーの質問に答えるだけでなく、会話の内容を記憶し、その人の興味や関心、日々の出来事に関連したやりとりができる。例えば、ユーザーが好きな「推し」について熱く語れば、それをしっかり覚えて、次回の会話でその話題に触れることで、より深い共感を示すといった具合だ。ユーザーが落ち込んでいるときには、そっと励ましの言葉をかける。
ポケともは、その外観や手触りにも深いこだわりが込められている。手のひらにちょこんと載る身長約12cm、体重約200gというコンパクトなサイズ感に加え、表面には柔らかい素材が採用された。この素材選定は、事前の顧客調査で「固いものよりも柔らかい方が愛着が深まる」(景井氏)という意見が多数寄せられた結果だという。
ポケともは感情表現も豊かだ。身振り手振りで話したり、お腹のランプを虹色に光らせてうれしい気持ちを伝えたりする。このランプは単なる装飾ではなく、ユーザーの感情に反応して光の色を変えるなど、非言語的なコミュニケーションを可能にする重要な要素だ。ただし、全てのパーツが可動するわけではないため、動きの激しい「ダンスのような高精度な動きできない」(景井氏)という。
ロボット本体が手元にないときや、公共の場で音声対話がしづらいときには、スマートフォン用アプリがその役割を担う。アプリとロボットの記憶は共有されるため、場所や時間を問わずポケともとの対話を続けることができる。アプリで話した内容はロボットも把握しており、一緒に過ごした時間や経験の記憶が途切れることはない。もちろん、アプリ単体でポケともと暮らすことも可能だ。
シャープ、対話できるロボット&アプリ「ポケとも」発表 落ち込んでいるときに励ましも
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