ロボットといえば高い。技術やコンセプト、機能は違えど、例えばソニーのエンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」は27万円台、シャープのロボホンの着座タイプは9万円台など、一般の人が手を出すには高い。ポケともは、その多彩な機能にもかかわらず、比較的安価な価格設定がなされており、「ロボット=高い」というイメージを払拭(ふっしょく)できるかもしれない。
景井氏は、「できるだけ多くのお客さまにお届けしたいという思いが強くあった。特に20代、30代のお客さまにまずはお届けしたいと考え、彼らが手に取りやすい価格設定とした」と、3万9600円という価格設定の理由を明かす。
先行モデルであるロボホンが多機能性を追求したのに対し、ポケともは「会話」という核となる機能に特化することで、コストを抑え、より多くの人々に届く製品を目指した。内部には、QualcommのIoT向けチップを採用し、スマートフォンの開発で培った小型化やカメラ制御技術を生かすことで、この価格を実現した。
「ロボホンは法人向けなど多様な展開を見据え展開していたが、ポケともは会話に特化することで、それに必要なものだけを厳選した」と景井氏は語る。それゆえにロボットとしては手の届きやすい価格となったわけだが、中身はスマートフォンに似ているそうだ。通信事業本部 本部長の中江優晃氏は、「小型機器に関するノウハウを持つエンジニアを開発に生かし、カメラを使った制御など、ソフトウェアの作りも含めてスマートフォンに似たものを開発している」と話す。
ポケともは、単なる製品の販売にとどまらない、多角的な展開を視野に入れている。シャープは、既に公式Xアカウント(@poketomo_sharp)で主人公ナナミとポケともの日常を描いた漫画の連載を配信しており、若いユーザーとの接点を増やす方向だ。
今後の販路についても、従来の家電量販店に加え、玩具量販店などとの協議も進めており、景井氏は「ポケともは家電製品とは異なる特殊な商品なので、さまざまなチャネルで展開していきたい」と意欲を見せる。
また、ロボホンと同様にポケともオーナー同士のイベントも開催していく計画だ。景井氏は、「ロボットと人という関係性だけでなく、ロボットを介してお客さま同士がつながっていったことが、ロボホンをやっていて最もよかったことだと感じている。今後も、そうしたコミュニティーを育むための仕掛けをどんどんやっていきたい」と力を込めた。
オーナー向けだけでなく、一般の人が広く体験できる機会の創出も重視しており、8月28日から31日まで東京ビッグサイトで開催される「東京おもちゃショー2025」に、ポケともを出展する。来場者は一足先にポケともとの対話を体験できる。ロボットのポケともは本日より順次、予約受付を開始する。シャープはポケともを通じて、人々の日常に「ちいさなぬくもりと笑顔」を届けていく。
海外展開についても検討を進めており、世界中の人々にポケともを届けることを目指す。
だからこそ、キャラクターのバリエーションにも期待したいところだが、バリエーションを増やせば当然コストはかかる。例えば、中身の技術はシャープ、外見はポケモンやガンダムといったパターンだ。
こうした他のブランドとのコラボレーション構想や、ミーアキャット以外の発想はあったのだろうか。景井氏は「寂しがり屋をモチーフにするなど、いろいろな選択肢を検討したが、実際にキャラクターをデザインしていく中で、お客さまが『これ、かわいいね』『いいね』と思ってくださったのが、最終的にこのミーアキャットだった」とした。
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