―― カメラにソニー製のイメージセンサーを採用したのはなぜでしょうか。
外谷氏 これはソニーさんに忖度(そんたく)しているわけではなく、非常に性能が優れている点が理由の1つです。またスマートフォンメーカーとカメラベンダーがコラボレーションする機会が増えており、われわれとしては日本のお客さまにブランディングしていく上でも、ソニーさんのブランドはメリットだと考えています。
―― ソニー製の採用は今回が初めてでしょうか。
外谷氏 実は今回が初めてではなく、らくらくスマートフォンでも採用していました。購入した人からカメラの画質がきれいだとフィードバックがありました。
―― 一方でarrows Alphaは望遠カメラを備えていません。ハイエンドモデルとしてカメラの最大10倍ズームは十分でしょうか。
外谷氏 僕自身としては欲しいですよ。ただ、市場を見ると必ずしも望遠カメラが必要だとは言い切れません。多くの方は広角で十分だと考えており、複眼カメラを切り替えて使っているという認識すら持たれていませえん。一方で、せっかく搭載するならウルトラハイエンドと位置付けられるモデルに搭載したいと考えています。
正能氏 望遠カメラは遠くを撮影できるシーンには有効ですが、その分手ブレも発生しやすくなり、補正力も求められます。
外谷氏 また、望遠カメラが「怖い」とおっしゃるお客さまがいます。24倍や30倍と倍率を上げると、マンションの部屋の中まで撮影できてしまう可能性があり、見えすぎるのもよくないです。鳥を撮影するぐらいであれば10倍でもいいのかなと。
正能氏 日常生活においては最大10倍でも十分だと考えています。
―― 自律神経の測定機能を搭載した理由を教えてください。
外谷氏 健康管理へのニーズが高まる中で、スマートフォンで何か体験を提供できないかと考えました。しかし、自分の状態を可視化する手段があまり知られていません。特に自律神経の可視化は、病院の専用機器を用いなければできません。そこで、京都大学名誉教授の森谷先生と共同で開発した、高精度に自律神経の状態を可視化できる技術を搭載しました。まずはこのスマホで手軽に自分の状態を知っていただき、健康への意識づけのきっかけになればと考えています。
―― この機能の反響はいかがでしたか。
外谷氏 We2 Plusで購入されたお客さまの購入動機として、この自律神経機能が予想以上に高い評価をいただきました。利用率も7割程度と高く、ポジティブに受け止めています。ただ、「測定時間が長い」といったご意見もあり、ユーザビリティの改善は今後の課題と認識しています。
また、AIを活用したヘルスケア体験についても、中長期的に磨いていくロードマップがある中で、2024年から自律神経機能の搭載を入り口とする取り組みをしています。
―― 90Wの急速充電に対応していますが、バッテリーに負荷はかからないのでしょうか
春藤氏 はい、負荷がかからない設計になっています。端末の使用状況とバッテリーの温度を見て、負荷がかからないように充電を制御しています。そのため、状況によっては35分以上かかることもありますが、ベストな状態で充電を行います。
―― バッテリーを長持ちさせる仕組みはありますか。
近藤氏 はい、端末側で制御しています。バッテリーのインピーダンス(交流信号に対する電気の流れにくさ)などを見ながら充電量を制御し、バッテリーを保護する仕組みを設けています。これにより、5年経過後もバッテリー容量80%以上を維持できる設計になっています。
―― バッテリーが5年持つことの定義を教えてください。
春藤氏 1日半での満充電を想定した条件で計測しています。もちろん、90〜100%、0〜100%とでは条件が異なりますが、このあたりももちろん想定して計算しています。この「5年」というのは、常に急速充電を行った場合での想定です。通常の充電であればさらに長く持ちます。
近藤氏 バッテリーの状態はarrows Alphaの設定から確認することも可能です。
今回の取材で感じたのは、FCNTが人に寄り添っていることを念頭に置いて、製品を開発していることだ。8万円台という価格設定しかり最大10倍ズームのカメラしかり、使う人のことを徹底して考えぬく哲学を感じた。AIについては、「届いた通知の要約」「画像生成」の新機能が2025年秋のソフトウェアアップデートで提供される予定で、昨今の競争軸になっているAIの進化にも期待したい。
arrows Alphaは「ハイエンドスマホ高すぎ問題」へのアンサーになるのか? じっくりチェック
「arrows Alpha」のSIMフリーモデル、8月28日に発売 8万円台で“高すぎる”ハイエンドスマホを再定義
8万円台の最上位スマホ「arrows Alpha」今夏発売 頑丈ボディーに“2日間持つ”バッテリー搭載、「arrows AI」も
新「らくらくホン」インタビュー あえて「変えていない」のに困難を極めた開発、それでも継続する意義とは
FCNTが新「arrows」でSIMフリー市場に再参入 競合ひしめく中で“シェアの奪い合い”にこだわらない理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.