プラン改定と特典の開始時期を9月にしたのは、「メルカリでスマホの売買が一番活性化するタイミング」(永沢氏)であることが大きい。9月といえば、ご存じの通り、新型iPhoneが発売される時期。新しいiPhoneを購入して古いiPhoneをメルカリで出品する人が増えるため、中古iPhoneの売買が活発になる。
中古iPhoneをメルカリで買いたい人にとっては、買う特典でお得に購入できるし、中古iPhoneをメルカリで売りたい人にとっては、売る特典で手数料を抑えられる。メルカリモバイルはスマホを直接販売しているわけではないが、特典を活用することで、メルカリ内でのスマホの売買もお得になるというわけだ。
【更新:2025年8月29日22時30分 サービス改定時期の狙いについて、一部加筆しました。】
また、9月1日から30日までにメルカリモバイルにMNPで乗り換えたユーザーを対象に、メルカリの全商品を対象とした90%オフクーポンを配布する。上限金額は、4GBと10GBのプランが5000円、20GBと40GBのプランが1万円となる。
メルカリモバイルではこれまでも、MNPで契約したユーザーに対して、メルカリでスマートフォンやタブレットの購入に使えるクーポンを配布したことがあった。こうしたキャンペーンが好評だったことを受け、iPhone商戦の9月にも実施することにした。
今後も、スマートフォンの商戦期を狙ってこうしたキャンペーンは継続する意向だが、「一番いいのは定常化すること」と永沢氏は述べ、通常の特典として提供することも視野に入れているようだ。
今回のサービス改定により、メルカリでのギガの売買に対して、どのような影響があるのだろうか。
メルカリモバイルでは、6月時点で2人に1人がギガを取引したことがあるという。ギガの平均単価は1GBあたり80円。これは今回の新料金プランと比べても安く、最小プランと同じ4GBを購入すると、320円で済む。ギガを買う人が増える月末は「単価が200円ほどに上がることもある」(永沢氏)そうだが、4GBのプラン+メルカリでの購入で10〜20GBを賢く使うこともできそうだ。
新料金プランでは40GBが追加されるため、余ったギガを出品する人が増える可能性が高い。「安いギガが増えてくると、プランは4GBにして、毎月メルカリで買う人が増えるかもしれない」(永沢氏)
実際の影響について永沢氏は「予想が難しい」と言うが、ギガの供給が増えればさらに単価が下がる可能性があるため、メルカリ上でのギガ売買がさらに活性化しそうだ。
3月のサービス開始当初は、eSIMや2つのプランなど、最小限の要素で展開していたが、7月には5分、10分、国内無制限のかけ放題サービスを開始。9月1日からは物理SIMの申し込みも可能になる。この他、9月以降、本人確認時に運転免許証の取り扱いを開始し、10月以降、メルカリモバイルの支払いにメルカード以外のクレジットカードやデビットカードを使えるようにする。
さらに、永沢氏はデータSIMの提供も検討しているという。これは、メルカリモバイルを副回線で使う人が一定数いることを想定しているため。音声プランとの価格差をどうするか、メルカリの特典を音声と同様にするのかなど、考えるべき点は多いが、「ギガ売買のマーケットに与える影響は大きいと思う」と永沢氏はみる。
確かに、音声SIMでもデータSIMでも、出品できるギガは同じもの。より安価なデータ専用プランが登場すれば、価格競争力も上がり、より安いギガが出品されて、巡り巡って音声SIMの契約者も恩恵を受けられるかもしれない。
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