このAPIを使うと、アプリ側で衛星とのダイレクト通信をしていることを判別でき、その旨を画面に表示したり、専用の機能を呼び出したりすることが可能になるという。一例を挙げると、Xのタイムラインに掲載された動画の代わりに、静止画を表示することが可能になる。
これによって帯域不足を補い、よりスムーズな表示が実現する。現時点では実装されていない仕様だが、「今後、そのような対応が入ってくることを期待している」(KDDI パーソナル事業本部 サービス・商品本部 サービス開発部長 早瀬聡氏)という。
ダイレクト通信専用のモードを、既に組み込んでいるアプリも存在する。Google マップだ。このアプリをau Starlink Direct接続時に利用すると、画面上に「衛星ネットワーク接続中」という表示が出て、アプリのパフォーマンスが低下する可能性があることや、空が見える場所で使った方がいいことなど、利用の際の“コツ”も合わせて掲示される。
こうした表示をすることで、ユーザー側がネットワーク品質やアプリの動作に過度な期待を抱かなくなるため、不満を減らす効果があるという。狭い帯域に合わせて仕様を変更できるだけでなく、期待値コントロールもできるというわけだ。同様に、auナビウォークでは、au Starlink Directに接続したことが、画面いっぱいに表示される。
ダイレクト通信に対応するためにはアプリの改修が必要になるが、こうした情報はKDDI側が「アプリ開発サポートサイトを、近日中に開設する予定」(KDDI パーソナル事業本部 マーケティング本部長 手塚嘉一郎氏)とのことだ。KDDIが技術情報を集約し、発信していくが、同社への「許可(取り)などは一切必要ない」(早瀬氏)という。開発情報はオープンになり、アプリ開発者側は自由に対応を検討できる。
技術情報を参照し、それを「実装すれば、使えるようになる」(同)というが、サービス開始当初のアプリは、KDDI側と連携して開発されている。ネットワークの制約に合わせて、キャリアが端末の仕様からアプリの開発にまで関与する仕掛けは、フィーチャーフォン時代のビジネスモデルをほうふつとさせる。世界で初めてデータ通信を実現できたのも、こうしたノウハウがあったからこそといえる。
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