au Starlink Directで「衛星データ通信」開始 圏外でもGoogle マップ、X、YAMAPなどで情報取得――世界初

» 2025年08月28日 11時15分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 KDDIと沖縄セルラー電話は8月28日、衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービス「au Starlink Direct」で、世界初となる「衛星データ通信」が可能になったと発表した。これまで圏外エリアで利用できたメッセージ送受信に加え、対応アプリを通じてデータ通信が可能になる。

KDDI auStarlinkDirect スマホ 衛星 直接通信 衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービス「au Starlink Direct」

 まずはGoogleの最新のスマートフォン「Google Pixel 10」シリーズと、サムスン電子製の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold7」「Galaxy Z Flip7」が対応端末となり、今後は順次拡大していく予定だ。

 対応アプリは19種類で、地図アプリ「Googleマップ」での現在地確認や経路案内、SNS「X」での投稿や情報収集、気象情報アプリ「ウェザーニュース」、防災情報を届ける「特務機関NERV防災」、登山情報アプリ「YAMAP」など、多様なジャンルのアプリを圏外エリアで利用できる。

KDDI auStarlinkDirect スマホ 衛星 直接通信 「衛星データ通信」が可能なアプリは、Google マップ、auナビウォーク、auカーナビ、ウェザーニュース、特務機関NERV防災、ココダヨ、YAMAP、ヤマレコ、いまココ、タイドグラフBI、釣り船予約「釣割」、乗船名簿クラウド、スマートニュース、NewsPicks、X、auメール、Google メッセージ、家族の安心ナビ、Google の Find Hub、緊急情報サービスとなっている
KDDI auStarlinkDirect スマホ 衛星 直接通信 衛星データ通信により対応アプリは圏外でも利用可能になる

au Starlink Directの歩み:サービス開始の4月10日から8月1日の決算会見発言まで

4月10日:au Starlink Directサービス開始

 サービス開始は4月10日。これまで圏外だった場所でも、空が見える場所であれば通信が可能になるという触れ込みで始まったサービスだ。KDDIは開始当初、衛星通信を通じてSMS、RCS、iMessageでのテキストメッセージ送受信や、緊急地震速報・津波警報・国民保護情報(Jアラート)の受信、現在地の位置情報の共有が行え、Android端末では「Google Gemini」で調べ物ができると案内していた。

 地上から約340km上空にある基地局とスマートフォンが直接つながることで実現し、スペースXが運用する約600機の衛星を活用しているとも説明していた。

5月7日:Pixelシリーズ対応の発表

 5月7日には、KDDIの松田浩路社長がau Starlink Directを「Google Pixel 7」「Google Pixel 8」シリーズでも6月4日から利用可能になったと発表。松田氏は、ミッドレンジの「Pixel aシリーズ」も対象に含まれると補足していた。

KDDI auStarlinkDirect スマホ 衛星 直接通信 KDDIの松田浩路社長

5月7日:UQ mobile、povo、他社回線でも利用可能に

 同じく5月7日には、これまでのauに加え、UQ mobile、povo、他社回線でも利用できるようになった。KDDIは、サービス開始から約1カ月で20万人以上の人が、テキストメッセージのやり取りや位置情報の共有などに、au Starlink Directを活用しているとの補足情報を発信していた。

6月:ユーザー参加型のWebサイト公開 つながる場所の把握に役立つ

 6月には、KDDIが「au Starlink Direct未来をつくる仲間とつながる」という専用Webサイトを公開。利用者からの感想や要望を直接収集し、共有・紹介する場としてアピールした。利用者は実際の体験談を投稿でき、他のユーザーの関心事を知る手がかりになるほか、KDDIにとってもサービス改善のためのフィードバックを得る貴重な場となる。

KDDI auStarlinkDirect スマホ 衛星 直接通信 6月には、KDDIが「au Starlink Direct未来をつくる仲間とつながる」という専用Webサイトを公開した

8月1日:写真や動画の送受信に対応

 8月1日には、松田氏がau Starlink Directの新機能について説明した。7月末からはAndroidスマートフォンの「Googleメッセージ」アプリを通じて、写真や動画、音声といったファイルを送受信できるようになった。

 登山中など通信環境が制限される場面でも、その場で撮影した写真を共有し、風景や天候の変化をより鮮明に伝えられるようになり、KDDIは従来のテキストメッセージだけでなく、よりリッチなコミュニケーションが可能になったと説明していた。

au Starlink Directの今後:アプリ開発者向けに専用サポートサイトを開設

 KDDIは今後、アプリ開発者向けに専用サポートサイトを開設する計画を明らかにした。衛星通信に最適化するための情報を提供し、対応アプリの拡大を後押しする。

 5Gや4G LTEに加え「au Starlink Direct」が加わることで「日本全土にauのエリアを拡張した」と強調している。利用者に対しては「空が見えれば、どこでもつながる」体験を提供していく方針だ。

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