NTTドコモは9月19日、eSIMの開通手続きができない不具合が発生していると発表した。16時30分ごろから障害が続いており、現時点で復旧のめどは立っていないという。
同日発売となった「iPhone 17」シリーズの3機種と新モデル「iPhone Air」においても手続きができない模様だ。新型iPhoneが登場した初日に利用者が相次いで手続きを行う中で起きたトラブルだけに、X(旧Twitter)などでは戸惑いや不満の声が広がっている。
ドコモは19日夕方、公式サイトに「eSIMの開通がしづらい状況が発生している」と題したお知らせを掲載した。そこでは、障害が始まったのは同日午後4時30分ごろであること、原因は確認中であること、復旧には時間がかかる見込みであることが明記されている。最新情報は随時WebサイトやSNSで発信するとしている。
SNSには早くもさまざまな声が寄せられている。「docomoのeSIM問題、まだ何もわかりませんってことか。手続きする人が全員踏むとこに掲示しとけよ」と情報提供の遅れを指摘する投稿や、「ふざけんなや ほんで実店舗行ったら後日予約とってってなるんか?」と怒りをにじませる声も見られた。
一方で「docomoだけ駄目だったか…(中のITの人、頑張って…!)」と、現場の対応に理解を示すユーザーもいる。「IT職種だから障害が発生するのは理解できる。そこを責めてるアホは論外。ただ、あまりにも発表が遅すぎる。障害が発生した事実はどんなに遅くても1時間以内に出して欲しい」といった意見もある。
また「iPhoneを初日に買うのはそれなりにリテラシーあるユーザーの割合が高いだろうけど、それでもトラブるってキャリアのeSIM周りの手続きが終わってるということだな」と、業界全体のシステム整備の遅れを問題視する見方も出ている。
eSIMは「embedded SIM」の略で、端末内部にあらかじめ埋め込まれている通信モジュールだ。従来のプラスチック製や金属を使ったSIMカードのように差し替えることはできないが、ネットワークを通じて遠隔操作で契約者情報(プロファイル)の書き換えが可能となる。そのため、ユーザーは店舗に出向かなくても通信プランの契約や変更を行える利点がある。
今回のiPhone 17シリーズとiPhone Airは、このeSIM専用仕様が日本で初めて全面的に採用された端末となる。物理SIMに非対応であるため、キャリア側のシステム障害が直撃する格好となった。
従来のように店舗でSIMカードを差し替えれば使えるわけではなく、基本的にはオンラインでの開通手続きが必要となる。そのため、ドコモのシステムが正常に機能しない現状では端末を手にしてもドコモのネットワークを利用した電話やネットなどの通信サービスは利用できず、実質的に「ただの端末」と化してしまう。できることとしてはWi-Fi環境下での運用くらいだろう。
ドコモは「復旧に向けて対応しているが、時間がかかる見込み」と説明しているが、具体的な復旧のスケジュールは示していない。障害の原因も依然として確認中だ。
世界的に見れば、eSIM専用端末はすでに米国などで普及が進んでいる。しかし、日本市場では物理SIMと併用できるモデルが主流で、今回のiPhone 17シリーズは大きな転換点といえる。eSIMの利便性を広く浸透させるには、キャリア側の安定したシステム運用とユーザーサポート体制が不可欠だ。
今回の障害は、eSIM時代に突入した日本市場が抱える課題を象徴する出来事でもある。発売初日に端末を手に入れたユーザーにとっては不運なトラブルとなったが、ドコモだけでなく業界全体が今後の改善にどう取り組むかが期待されそうだ。
ドコモから新しい情報が案内され次第、この記事を更新し追記を行う予定だ。
2025年9月19日23時53分追記
ドコモは19日20時52分、NTTドコモ公式Xアカウントを更新し、eSIMの申し込みとeSIMのみに対応した端末の販売を停止することを明らかにした。
2025年9月20日11時4分追記
ドコモは、トラブルの原因を設備故障とし、翌20日9時36分におおむね復旧したと案内した。現在はeSIMの申し込みやeSIM専用端末の販売を順次再開しているが、利用集中により一部で処理の遅延や制限が生じる可能性があるとしている。
【訂正:9月20日14時50分】初出時のタイトルでは「eSIMシステム障害」という表現を用いて記事を掲載しておりましたが、発表元のニュアンスに沿った表現とするため「設備故障でeSIM開通不可」に修正いたしました。お詫びいたします。
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