電気自動車(EV)は、単なる移動手段を超えて、ユーザーの生活そのものを変えるプロダクトとして進化しつつある。スマートフォンマニアでもある筆者は実際にBYD SEALを導入し、数週間にわたり通勤や買い物、長距離移動などに使用してきた。
そこで感じたのは、スマートカーと化したEVとはただのクルマではなく、生活を便利にしてくれるスマートデバイスに近い存在だった。本稿では、その体験をもとに、EVがもたらす新しいライフスタイルについて掘り下げていく。
BYD SEALに乗り込むとまず目を引くのが、ダッシュボード中央に鎮座する15.6型の大型ディスプレイだ。横向き・縦向きに自動で回転できるこのディスプレイは、Androidベースの独自OSを搭載しており、操作感はほぼスマートフォンやタブレットそのもの。
アプリの配置やスクロール操作、音声アシスタントによるコントロールなど、ある程度ITリテラシーのあるユーザーなら説明書を読まずに扱える直感さが魅力だ。
地図アプリや音楽ストリーミング、車両ステータスの確認といった基本機能に加え、ブラウザからYouTubeを楽しむこともできる(走行中は制限あり)。もちろんワイヤレスでのCarPlayやAndroid Autoにも対応し、普段使っているスマホのアプリをそのまま車内で操作できる。
通信機能も実用的で、車両には専用のSIMが搭載されており、ソフトバンク回線を介して常時4G通信を行っている。月間2GBまでのデータ通信が無償で提供されており、ナビや音楽配信、OTA(Over-The-Air)アップデートなどを行える。車載機器のアップデートもWi-Fi接続不要で自動的に行われるため、まさに“つながるクルマ”という表現がしっくり来る。
また、車内の操作は音声コマンドでも可能。「Hi BYD」と話しかけると音声アシスタントが起動し、窓の開け閉め、エアコンの制御、オーディオの切り替えなどが可能。タッチパネルメインで物理ボタンが少ない部分は音声コマンドで補う考えだ
SEALでは運転席と助手席の話者を認識してくれる。助手席に乗車した方が「エアコンを弱めて」と指示すれば、助手席のみ弱くなる。新型車両のSEALIONでは、後部座席の話者認識も可能になっており、自動車のスマート機能も進化を続けている。
BYDの車両の大きな強みの1つが、スマートフォンとの高い連携性にある。専用アプリを使えば、車両の鍵の施錠、解錠に加え、位置情報の確認はもちろん、エアコンのオン/オフ、シートヒーター・ベンチレーションの操作までリモートで行える。
特に真夏や真冬の極端な気候においては、出発前に車内を快適な温度に調整しておけるメリットは絶大だ。炎天下の車内に入るストレス、凍えるような冬の早朝の暖機運転から解放されるだけで、日常の快適さが格段に変わる。
さらに、バッテリー残量や航続可能距離の確認、充電の進捗(しんちょく)状況などもリアルタイムでアプリからチェックできる。急速充電器利用時には「充電停止通知」がスマホに届くため、休憩中の時間管理にも役立つ。
このような機能はトヨタや日産の車両にもあるものの、月額制の有料オプションとして提供されている。BYDでは車両の機能として含まれているので、この点でもコストパフォーマンスに優れている。
スマートガジェットと化した車を一度体験すると、この便利さから抜け出せなくなる。自動車にスマホが融合したら便利になるのは、まさにこのことだと実感している。
さて、筆者のようなスマートフォンライターは持ち歩くガジェットも多いのだが、このあたりは中国メーカーのスマートカーらしく万全だ。電源周りはUSB Type-A×2、USB Type-C×2(うち2つは後部座席)に加え、Qi規格のワイヤレス充電パッドが2か所。一度にスマホが最大6台も充電できるありがたい仕様となっている。
加えて、助手席側のType-Cポートは最大60W出力のPD対応で、スマホはもちろん、ノートPCやiPadなどのタブレット類も車内で充電できる。筆者のように複数台のデバイスを日常的に使うユーザーにとって、これほど頼もしい装備はない。
横長の約7型ディスプレイオーディオ CarPlay/Android Autoにワイヤレス接続
クルマ向けAndroid内蔵ディスプレイ「GetPairr Vista」発売 ワイヤレスCarPlay/Android Autoが使える
駐車ガイドラインも表示、CarPlay/Android Auto対応の9型ディスプレイオーディオ 今なら約1万円
スマホをドライブレコーダーとして使う方法と注意点 役立つ機能はコレだ
ソニー・ホンダ、新EV「AFEELA 1」発表 エージェントとの対話に立体音響も 約1423万円からで26年納車へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.