ソニーは9月24日、有線接続に対応した新しいイヤフォン「IER-EX15C」を発表した。近年、スマートフォンやPCなどのUSB Type-C対応機器が広がる中で、気軽に高音質を楽しめる有線イヤフォンとして、10月10日に発売する予定だ。ソニーストア価格は3190円で、市場想定価格は3200円前後となっている。
ケーブル部分にはリモコンが組み込まれており、接続先のデバイスを操作せずに音楽の再生や停止、音量調整に加え、マイクのミュートや通話の受け答えも行える。さらに、ケーブル表面には細かい溝を施すことで摩擦を抑え、絡みにくい構造を実現。長さを調整できるアジャスターや、左右のケーブルをまとめるスライダーも付属し、持ち運びやすさを高めた。
装着感については、小型の本体設計と3サイズを用意したシリコン製ハイブリッドイヤーピースを組み合わせ、耳へのフィット感を追求したという。また、直径5mmのドライバーユニットにはハイコンプライアンス振動板を採用し、コンパクトながらも高音質な再生を実現したとする。
イヤフォン本体のカラーはブラック、ホワイト、ブルー、ピンクの4色から選べる。
近年はワイヤレス接続のイヤフォンが主流だが、有線ならではのメリットを求める声も多い。特に混信や干渉による音切れがない点は有線イヤフォンのアドバンテージだ。2.4GHz帯の無線機器が多く存在する空間や、電子レンジが稼働中の場所では、Bluetoothイヤフォンは音が途切れる場面が少なくない。その点、有線は物理的に機器と接続するため、外部環境に左右されず安定した再生が可能となる。音が途切れるストレスに敏感な人にとっては、大きな安心材料といえる。
Bluetooth接続のワイヤレスイヤフォンを使っているときに、電子レンジを使うと音がプツプツと切れる――これは気のせいではなく、電子レンジの電磁波がBluetoothの電波に“干渉”してしまうからだったりする遅延の少なさも見逃せない。有線イヤフォンはBluetoothなど無線伝送と比べて遅延が大幅に抑えられる。特に音楽ゲームのようにタイミングがシビアな用途では、わずかな遅延がプレイ感を損なうこともある。動画視聴においても、無線では映像と音がわずかにずれることがあり、違和感を覚える人も少なくない。有線イヤフォンなら大幅な遅延を気にせずに済むはずだ。
有線イヤフォンには落としにくいというメリットもある。ワイヤレスイヤフォンは耳から外れて紛失してしまうリスクがあるが、有線イヤフォンであればデバイスとつながっている限り、イヤフォン単体が落下して紛失する可能性はほぼない。片方もしくは両方のイヤフォンを紛失して、いざというときに音楽や動画を視聴できずに困るケースはない。
もちろん、有線イヤフォンはケーブルが邪魔になる場合もあるが、「安定した接続」「遅延の少なさ」「紛失リスクの低さ」を特に重視する人に向く。
ソニーが新たに投入する製品は、3.5mmイヤフォンジャックを搭載するスマートフォンが激減する中で、有線イヤフォンならではの特徴を生かしながら、現代の利用環境に合わせてUSB Type-C接続に対応した点が大きな意味を持つ。
有線イヤフォンの利便性を再び広げる役割を果たす可能性があり、ワイヤレスイヤフォン全盛の時代にあえて有線を選ぶ価値を示す製品として、多様なユーザーに支持を広げていきそうだ。
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