「arrows Alpha」で一新したスマホの売り方 「ハイエンド不在」「何となく安い」からの脱却を図ったブランド戦略(3/3 ページ)

» 2025年11月27日 10時00分 公開
[田中聡ITmedia]
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Pixel 10を抑えて売れたarrows Alpha ユーザーの年齢層にも変化

 そんなarrows Alphaだが、8月28日の発売以降、想定以上に売れているという。発売初週にドコモの販売ランキングで1位を獲得し、スタートダッシュを決めた。ちなみに、8月28日は「Pixel 10」や「Pixel 10 Pro」が発売された日でもあり、外谷氏も心配していたそうだが、ドコモではPixel 10シリーズを抑えての1位となった。一方で「ドコモオンラインショップで2日ほど在庫切れを起こしてしまった」(外谷氏)そうだが、それほど想定を超えた売れ行きだったことが分かる。

arrows Alpha 発売初週にドコモの販売ランキングで1位を獲得したarrows Alpha。なお、同日に発売したPixel 10シリーズは圏外だった

 野村氏は、オンラインショップで評価されたことを「ありがたい」と話す。「オンラインショップでは、自分で調べて、考えて買いますよね。お店の場合、何も知らない状態で行っても店員さんのおすすめで買えるので、必ずしもプロダクトやマーケティングの実力とは限らない。オンラインショップは、われわれのプロダクトがいいことが伝わって、気付いてもらえないと絶対に買ってもらえない。そういった意味では、すごくうれしいですね」

 今回、新生arrowsとしては2シーズン目になる。2024年に発売したarrows We2シリーズで認知が広まった影響もあってか、arrows Alphaはarrows We2 Plusと比較して、発売から1カ月間の販売数が2倍に伸びているという。

 購入する年齢層にも変化が出ている。FCNT製スマートフォンの会員サービス「LaMember」のアンケートによると、今までのarrowsよりも購入層が10〜15歳若返り、30〜40代が増えたという。

 「arrows We2やWe2 Plusは、50〜60代の方々に支持されていて、このラインは当然キープしていきますが、スペックの高い機種をお求めの方に、arrows Alphaを買っていただいています。より多くの人たちが求めることに、やっとお応えできるラインアップになってきたと思います」(野村氏)

 arrowsに対しては「ハイエンドを待っていた」という声が多く、8万円台という価格とスペックのバランスを評価するユーザーも多かったという。野村氏は、スマホに詳しい人も、詳しくない人も満足してもらえる、“プロダクトのよさ”に尽きると強調する。

 「(スマホに)詳しい方には、スペックとしてはいいものをご提供できていることに気付いていただいて、買ってみるとやっぱりよかったと。詳しくない方も、コミュニケーションの入口として分かりやすい頑丈さに気付いていただいて、中身を見ても、カメラもバッテリーもいいじゃんと、ベースの強さに気付いていただけます」(野村氏)

製品サイトでは伝えきれない「生の声」を発信していく

 好調に支持されているarrows Alphaだが、より多くのユーザーに認知してもらうためには、スペックだけでなく、ユーザーの日常生活にどんな影響をもたらすかを伝えることも大事だろう。その昔、ソニーがXperiaの訴求でインフルエンサーを起用して「だから私は、Xperia」というメッセージを発信しており、一般層への認知拡大に寄与した。このような人や利用シーンを介した訴求の重要性は、FCNTも認識している。

 「頑丈です、と言っても、どこで役に立つのかというのは想像しづらいですよね。エピソードトークのような利用シーンをピックアップしたプロモーションは、大幅に強化していく予定です」(野村氏)

 arrowsのサイト上にユーザーボイスを集約していく構想もあるが、メーカーや製品のサイトには関心のあるユーザーしか訪れず、広い周知には貢献しづらい。そこで、足元では動画(YouTube)やSNS(X)の活用を念頭に置いている。「われわれのアカウントからも発信しますし、さまざまな方々とコラボして、子育て層やアウトドア好きの方など、各セグメントのターゲットに情報発信していただく形の方が、より多くの人に届きやすいと考えています」(野村氏)

 タレントのパワーには頼らないが、YouTuberのようなインフルエンサーとコラボし、よりターゲティングした形で伝えていく。その際、メーカーとして伝えたいことと、ユーザー視点のリアルな声のバランスが難しくなるが、「リアリティーのないものにしたくないという強い思いがあります」と野村氏。頑丈なarrowsなので、いろいろ“むちゃな”使い方もできそうだが、ネタ要素の強い使い方も「やってもらって構わない」と野村氏。

 「広告動画を作るというよりは、生の声を伝えること」に重きを置く。スキーやスノーボードが盛んになる冬場では、「雪山でどこまで使えるのか」という視点もあるだろう。こうした季節性を意識した訴求も視野に入れ、生の声を伝える取り組みは、年末から年明けにかけて本格化させていく予定だ。

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