Mode1 Pocketには、大手メーカーのスマートフォンからは姿を消しつつある機能が、ユーザーの熱烈な要望を受けて数多く搭載されている。その筆頭が、ストラップホール、イヤフォンジャック、そして充電を知らせるパイロットランプだ。梅澤氏はこれらを半分冗談めかして「ロストテクノロジー」と呼ぶが、その実用性は極めて高い。特に充電ランプは、画面を点灯させずとも充電完了を確認できる機能として、シニア層を中心に根強い支持がある。
アウトカメラは6400万画素の標準レンズと、ルーペのように細部を拡大して近接撮影可能なマクロレンズの2眼構成だ。マクロレンズは「老眼鏡を出すまでもないが、細かい文字を確認したい」というルーペ代わりの需要を想定したもので、低画素のマクロレンズで撮影するよりも、高画素で捉えた画像を拡大する方が鮮明に文字を読み取れるという検証結果に基づいている。
3万5200円からという価格設定は、昨今のミドルレンジスマートフォンが5万円を超える中で、競争力が高いだろう。しかし、単に安さだけを売りにしているわけではない。Mode1 Pocketの購入層は、スマートフォンを1台で全て完結させる層だけでなく、2台目のサブ端末として運用する層も多いという。メイン端末には大型で高性能なモデルを使いつつ、移動中や仕事中のクイックな連絡用、あるいは音楽プレイヤーやテザリング用として、このコンパクトなサイズが重宝されている。
フィーチャーフォンのような通話メインの端末を狙っているわけではなく、2台目のサブ端末として運用する層に応えるような位置付けだ。KDDIが2018年に発売した「INFOBAR xv」(画像=左)とMode1 Pocket(画像=右)全国のテルル店舗では、実際に端末を手に取ることができるため、スペック表だけでは伝わらない「持ち心地」を確認してから購入するユーザーがいるようだ。大手キャリアのラインアップが画一化する中で、こうした「とがった」製品が3万円台で手に入ることは、ユーザーにとって選択の自由を取り戻す体験となっている。販売状況は堅調であり、ニッチな需要を確実に捉えている手応えがあるという。
Mode1ブランドは2025年で立ち上げから10周年を迎えた。今作のカラーバリエーションであるKUROとSHIRO、そしてアクセントとして配されたシャンパンゴールドの色味は、初代モデルのデザインを意識したものだ。これは単なる懐古趣味ではなく、ブランドとしてのアイデンティティーを再確認する原点回帰の象徴だ。背面にはブランド伝統のカーボン柄を施し、角度によって表情を変える質感にもこだわり抜いている。
今後の製品投入時期については、スマートフォンの進化速度が緩やかになる中で、やみくもに新機種を連発するのではなく、技術の成熟とユーザーの真のニーズが合致したタイミングを見極めていく構えだ。AndroidのGMS認証、いわゆるGoogleの認証基準は年々厳格化しており、小画面端末や物理キー搭載端末の維持は容易ではない。しかし、Mode1はこれからも「誰にとっても100点のスマホ」ではなく、「特定の誰かにとっての120点のスマホ」を目指し続ける。
Mode1 Pocketという端末は、スペックの数値だけで語るべき存在ではない。大型化し、高価になりすぎた現代のスマートフォンに対する、静かだが力強い異議申し立てである。扱いやすいプロセッサ、4G特化によるスタミナの確保、そして1cmの厚みがもたらす確かなグリップ感。これらは全て、使い勝手を優先した結果だ。
Mode1 Pocketは単なる小型端末ではなく、スマートフォンの使い勝手を再定義しようとしていることが分かる。今後、ソフトウェアのアップデートを通じて、120Hzの高リフレッシュレート液晶を生かしたさらなる操作感の向上や、カメラのチューニングなど、継続的な熟成が期待される。ニッチであることを誇りとし、ユーザーの手になじむ道具を作り続けるMode1の姿勢は、画一化された市場に一石を投じ続けるだろう。
1998年に足立区の携帯販売店から始動し、併売店「テルル」の展開で成長。2016年に自社スマホ「Mode1」を投入した通信分野の強みを核に、現在は飲食、学童保育、モーターサイクルなど多角的な事業を展開する。M&Aも積極的に行い、通信の枠を超えて多彩なライフスタイルを支える総合企業として進化を続けている
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