2025年は料金プラン競争の土台にもなるネットワーク品質の戦いにも、焦点が当たった1年だった。中でも、KDDIはSub6の出力増強以降、ネットワーク品質の高さを全面に押し出すようになった。先に挙げたau 5G Fast Laneも、それを強化するものだ。2月にスペイン・バルセロナで開催されたMWC Barcelona 2025では、英調査会社Opensignalの品質調査で世界一になったことを受け、授賞式も開催された。
そのKDDIをソフトバンクが猛追する一方で、ドコモと楽天モバイルはどちらかといえば、劣化した品質を改善する道のりが半ばといった状況だ。先行する2社は、5G SAの導入でも他社を大きくリードしている。まず、KDDIはSub6の全基地局を5G SAに対応させた。対するソフトバンクは、4Gからの転用周波数帯も含めて5G SA化しており、都市部を中心に、その範囲を一気に広げている。
5G SAのエリアという点では、ソフトバンクがリードしており、2026年にはエリアマップも公開される予定だという。実際、2024年3月時点ではほぼ4社横並びだった5G SAのエリアが、10月には13倍にも拡大している。エリアで言えば、東京から首都圏全体に広がるなど、より周辺部へも5G SAを拡大している最中だ。転用エリアを含め、いち早く5Gの人口カバー率を上げてきたソフトバンクならではのスピーディーな展開といえる。
5G SA化するだけでは大きなメリットがないと思いきや、KDDI、ソフトバンクの双方とも、システムがシンプル化するメリットを挙げる。ソフトバンクの執行役員 テクノロジーユニット統括 モバイル&ネットワーク本部の大矢晃之氏は、「ダウンロードのスループットがよくなり、よりシンプルな構成で接続ができるため、応答速度も上がって高品質を体感してもらえるようになる」と語る。
KDDIの松田氏も、「実は(システムが)非常にシンプル。NSAは4Gが弱くなったらどうするかということもあり、電波環境も違うので大変だが、5G SAは5Gだけで動き、レイテンシ(遅延)も少ない」と口をそろえる。ネットワークスライシングや品質保証といったサービスのコンシューマー展開はまだ進んでいないものの、その前段で品質向上に効果を発揮していることがうかがえる。このエリアをいかに広げていくかは、2026年以降の競争軸の1つになりそうだ。
もっとも、上記のように、5G SAならではの目に見えるサービスがまだ展開されていないのは今後の課題といえる。ソフトバンクは音声通話を5G上で行う「VoNR」や、Apple Watchなどのウェアラブル端末で使う「RedCap」を他社に先駆けて導入している一方で、スマホのデータ通信という観点ではNSAと決定的に差別化できるようなサービスが登場していない。海外では、品質差を設けて料金を変えるなど、5G SAの特徴を生かすキャリアも登場しているだけに、工夫の余地はまだまだありそうだ。2026年以降の進展に期待したい。
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