ソフトバンク決算は過去最高売上 「純増数にはこだわらない」宮川社長が断行するモバイル事業の“大改造”とは(2/2 ページ)

» 2026年02月10日 15時14分 公開
[小山安博ITmedia]
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大幅拡大するPayPay、IPOの準備は「順調」

 メディア・EC事業は売上高が1%増の1兆2261億円だったが、アスクルのランサムウェア被害による減収影響が636億円で、この影響を除くと7%増となることから、基本的なビジネスは順調との認識を宮川氏は持つ。

ソフトバンク メディア・EC事業はアスクル影響が尾を引いている

 営業利益は2%減となる2063億円で、同じくアスクルにおける199億円減益の影響が響いた。これも、アスクル影響を除けば7%の増益になっていたため、「長い目で見ていきたい」と宮川氏は今後の回復に期待する。

ソフトバンク 営業利益では2%の減益。これもアスクル影響が響いた

 ファイナンス事業は売上高が24%増の2954億円、営業利益が103%増の660億円と大幅な伸張。PayPayグループの連結決済取扱高(GMV)も24%増の14.3兆円に達して、連結EBITDAを83%増の791億円まで押し上げた。

ソフトバンク 順調に拡大するファイナンス事業

 順調な業績だが、現時点でPayPayは新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めている段階であるとして、好調の理由や今後の施策などについてのコメントはなかった。なお、IPOの時期については言及を避けたが「準備は順調」(同)とのことだった。

ソフトバンク 大幅な増益となったファイナンス事業
ソフトバンク GMVも好調

「推論AI」をクラウドサービスで提供

 ソフトバンクが注力するAI事業では、AI計算基盤の「Brain DataCenter」に自社開発の「Infrinia AI Cloud OS」を導入し、AI計算基盤としてGPUクラウドサービスを貸し出すサービスを4月から開始する。従来、物理サーバを貸し出す際には専門家による初期設定として数週間から数カ月という時間と工数が必要だったが、クラウドサービス化によって即時提供が可能になるとしている。

ソフトバンク クラウドサービスによって高性能なGPUを即時利用可能になる

 宮川氏は、AIにおいて豊富な資金で計算資源に投資するOpenAIやGoogleなどが先行する「学習」の領域ではこれ以上追い付けないと判断。それとは異なり「推論」への需要が増加することを予測して、急ピッチで設備投資をして一気にサービス化を実現していく。

ソフトバンク GPUの需要が学習から推論に移行するとして、こちらに注力する

 「Infrinia AI Cloud OSで海外の事業者と戦えるソブリンクラウドの提供を目指していきたい」と宮川氏。次世代社会インフラとしてクラウド環境サービスを提供する考えで、「“クラウドサービスをやる会社になる”宣言」とした。

ソフトバンク ソフトバンクのソブリンクラウドとソブリンAIの戦略

 1月30日に発表した、同社とソニーネットワークコミュニケーションズとの合弁会社についても説明した。これは、光回線サービスにおけるオペレーションを効率化し収益性を向上させることを目的としている。既存の光回線サービスのうち、NTT局舎内に自前設備を設置する場合に、合弁会社が両社の設備を買い取って保有し、投資効率を向上させる。光ファイバーも共同で利用することになり、1回線あたりの収容効率が上がってコスト削減につながる。宮川氏は「KDDIと作った(5Gネットワークの共同構築をする新会社)5G JAPANの光回線版」と説明する。

ソフトバンク 両社の合弁会社では、対等な関係で光回線サービスの選択肢を増やすとしている
ソフトバンク NTT設備を利用する光コラボではなく、自前設備を設置する場合の共同保有、共同利用で効率化を図る

 また、次世代の経営体制についても言及した。長年宮川氏を支えた「盟友」である取締役会長の今井康之氏、代表取締役副社長執行役員兼COOの榛葉淳氏の異動が発表され、取締役専務執行役員兼CFOの藤原和彦氏も異動予定となっている。宮川氏は「継続的な成長のためには次世代に経営を継承するのも重要なテーマ」としており、既にエンタープライズ事業では今井氏から若手への継承が進んでいたと説明。続いて榛葉氏がカバーしていたコンシューマー事業においても継承を進める。

 これによって「大幅な若返り」と宮川氏。退任予定の役員の平均年齢は62歳だが、新任の役員は最年少の44歳を筆頭に平均年齢が52歳となった。もともと、若返りは宮川氏就任当初からの課題だったが、当時は携帯4割値下げの号令によって新体制への移行ができる状況になく、ここまで時間がかかったと宮川氏は説明。その上で、「新執行体制で、成長をこれまで以上に強力に推進していきたい」と意気込んでいた。

ソフトバンク 次世代の経営体制へと移行を図る
ソフトバンク CFOの藤原和彦氏
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