“日本製の衛星”があってもいいのでは? これがソフトバンク宮川社長の理想:ソフトバンクは衛星通信とHAPSの両軸でネットワーク構築

» 2026年02月09日 17時05分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]

 ソフトバンクの宮川潤一社長は、2026年2月9日に開催された「2026年3月期 第3四半期 決算説明会」にて、2026年内のサービス開始を目指している「衛星とスマートフォンの直接通信」について言及した。

ソフトバンク HAPS ソフトバンク

日本製の衛星があってもいいのでは?

 スマートフォンと衛星の直接通信については、競合するKDDIが先行している。同社は2025年4月より、通常のStarlink衛星よりも地球に近い高度340km付近を周回する専用衛星を用いた「au Starlink Direct」を開始し、市場での実績を積み上げてきた。メッセージ送受信や圏外での緊急速報メール受信に加え、生成AI「Google Gemini」の利用やSNS投稿といったデータ通信も可能にしている。

 2026年2月9日には、NTTドコモが2026年初頭に開始すると発表した。楽天モバイルも「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」を2026年第4四半期(10〜12月)に提供すべく準備を進めている。

 2月9日の決算説明会で他社との差別化について問われた宮川氏は、「もうできなくなると思う。本当はやっぱり日本製の衛星があって、それを日本のためにいろいろと改造しながら、通信に合った形で作り上げていくのが理想だと思う」と回答した。一方で料金プランなどサービスの詳細には言及しなかった。

ソフトバンク HAPS ソフトバンクの宮川潤一社長

 ソフトバンクは衛星通信に加え、HAPS(いわゆる空飛ぶ基地局)の展開も予定している。これらは非地上系ネットワーク(NTN)と位置付けられ、衛星通信のみに依存せず、複数の手段でネットワーク構築を加速させる点が同社の特徴だ。

ソフトバンクのHAPS、山間部や離島のエリア化などでの利用を想定

 ソフトバンクのHAPSは、2026年中にプレ商用サービスの開始を予定している。高度約20kmの成層圏から地上へ電波を届け、広範囲な通信エリアを構築する計画だ。主な目的は、山間部や離島など基地局設置が困難な場所のエリア化と災害対策にある。地上網が大雨や地震で寸断された際も、上空から即座に通信を提供できるため、被災者の安否確認や救助活動の連携など、迅速な復旧支援が可能になると期待されている。

ソフトバンク HAPS ソフトバンクは衛星通信だけでなくHAPS(いわゆる空飛ぶ基地局)も活用し、ネットワークの構築を推進していく

当面は4Gを使用、通信は衛星通信サービスよりも「圧倒的に速い」

 通信方式については、当面5Gではなく4Gでの運用を想定している。これは現状、5G端末よりも4G対応端末の方が広く普及しており、災害時に誰もが即座に利用できる環境を優先するためだ。周波数は総務省と調整中だが、バンド1(2.1GHz帯)の利用が検討されている。

 HAPSの特長は、一般的な衛星通信と比較して通信品質が「圧倒的に速い」点にある。高度数百kmにある衛星に対し、HAPSは地上約20kmと距離が近いため、電波の減衰や遅延が極小に抑えられる。特にスマートフォンからの「上り」通信速度で優位性が高く、通常の端末をそのまま快適に使用できる。地上網と同じ感覚でシームレスに利用できる点も大きな強みだ。

今後のロードマップ:HTA型とLTA型のハイブリッド運用

 2026年のサービス開始時は、災害時のバックアップや限定的な技術検証が中心となる。当初の滞空期間は制度面などの制約から約10日前後を予定しているが、将来的には通年での連続滞空を目指す。災害時にはカバー範囲と通信容量を柔軟に調整し、必要な場所へリソースを集中させる運用を行う。

 また、翼を持つ機体「HTA型」の開発も継続中だ。HTA型は移動速度に優れる一方、日本の冬場は日照時間が短く太陽光発電が難しいため、バッテリー等のさらなる軽量化が課題となっている。2027年頃の技術完成を見込んでおり、将来的には長期滞空性に優れた「LTA型」と、機動性の高い「HTA型」を併用し、最適なエリア構築を目指す方針だ。

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