ただ、ドコモビジネスの5Gスライシングは現状だと、安定通信のために帯域の確保を主にしており、低遅延や安定性向上など、他のパラメーターを用いたスライスは用意されていない。単一設定のスライスを企業側が活用する形だ。また、端末内のアプリごとに適用するスライスを切り分ける「URSP(User equipment Route Selection Policy)」も導入されていない。
ソフトバンクも法人向けのサービスとしてネットワークスライシングを活用したプライベート5G(共有型)を提供しているが、F1日本グランプリの会場ではそれを高度化。「これまで個別に培ってきたノウハウを、同時に実行している」(テクノロジーユニット統括 インフラ技術戦略室 室長 藤野矩之氏)という。
F1日本グランプリでは、2つの技術を組み合わせた。1つが、本稿でテーマにしているネットワークスライシングだ。しかも、「今回の日本グランプリでは5つのスライスを同時に提供した」(同)。1つ目が高品質な5G SA用のスライスで、これは一般ユーザーのスマホにも適用されるものだ。
2つ目が、会場で提供するXRコンテンツ用のスライスで、「コンテンツとして必要な速度が決まっているので、なるべくそこを担保し、遅延も最適化できるパラメーターが入っている」(同)。
これに近いのが、ミリ波を使った映像伝送のスライスだが、「非常に容量が大きい」(同)のが特徴。ミリ波を使った上で、スライスも切り分けている。ミリ波は、もう1つのスライスでも活用しており、こちらはルーター(CPE)で電波を受信した上で、Wi-Fiに変換して一般ユーザーにも提供する。
これら4つのスライスは、いずれも一定の容量を確保している点は共通しており、遅延の要件やミリ波を使うかどうかが差分になるが、もう1つは決済端末用。「ものすごいキャパシティーが必要なのではなく、確実に遅延なくつながることが重要視される」(同)ため、そのパラメーターを当てはめている。
また、「ネットワークの状況は時々刻々と変わるので、それを適切にコントロールするのが重要」(同)になる。そのため、各スライスのネットワーク状況を把握し、「1分ごとに自動で最適化することに取り組んでいる」(同)。あくまで実証実験という位置付けだが、一般ユーザーの回線も含めてスライスを提供し、より高度な商用サービスの展開も目指している。
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