ソニーが「Xperia 1 VIII」で方針転換を図った理由 一般層に間口を広げるも、23万円超の価格がネックに:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2026年05月16日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]
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広げた間口と上がった価格、値上げの影響はどう出る

 ただ、機能的に間口を広げた一方で、購入のハードルはXperia 1 VIIのときよりも上がってしまった。価格が大きく上がったためだ。ソニー自身が販売するオープンマーケットモデルは、メモリとストレージが最も少ない12GB+256GBモデルで23万5400円。Xperia 1 VII発売時の20万4600円から3万円程度高くなってしまった。大澤氏も「価格については、2025年モデルから上がっている」と認める。

 価格上昇の背景には、「メモリ需要の急増による価格(部材費)アップや、人件費、工場での製造費、物流費など、いろいろなものが値上がりしている」(同)という事情がある。「メーカーとしてはもちろん価格を抑える努力はしているが、今回はこの価格付けになった」と同氏。数を追うモデルではないとはいえ、ソニーにとって、「23万円という価格は、本当にチャレンジ」(同)になる。

Xperia 1 VIII 最少構成で23万円超えと、価格が大きく上がってしまった

 20万円を超えるのは、他社だと「Pro」や「Ultra」を冠する最上位モデルが多い。ハイエンドモデルの中にバリエーションを設け、数を稼ぐのが定石だ。これに対し、Xperia 1 VIIIは上下にバリエーションがなく、ベースモデルが23万円を超えているため、どうしても割高に見えてくる。最上位モデルには、20万円を超える価格をユーザーに納得させるだけの、分かりやすい売りがあることが多い。折りたたみしかり、1型センサーしかりだ。

 これに対し、Xperia 1 VIIIは望遠カメラのセンサーを大判化したものの、メインの広角カメラは1/1.35型どまり。大澤氏は「センサーサイズが全てではなく、アウトプットのクオリティーを、今持っている技術をどう組み合わせて最上までいけるのかというバランス」だと言うが、一芸に秀でた端末と比べ、その魅力を一発で伝えづらいのが難点になりそうだ。

Xperia 1 VIII Xperia 1 VIIIの主な特徴。確かにバランスよく進化しており、スマホとしての使い勝手もよさそうだが、ユーザーを納得させる“一芸”がやや弱い

 とはいえ、ラインアップを拡大し、Xperiaの中で「すっぽり空いている」(同)10万円台の端末を投入できるかというと、それも現時点ではハードルが高いという。10万円台前半のモデルはキャリアによっては、契約とひも付ける形で月額1円になり、2年後の下取りで残価が免除されることがある。大澤氏は、この実質24円を「非常にビジネスがやりづらい領域」と評する。

Xperia 1 VIII 最後のXperia 5シリーズになったXperia 5 V。当初の価格は約14万円だった。この層が抜けているのが、ラインアップ上の課題といえる

 「あそこに追従していくと、長い目で見てビジネスを壊していくことになるので、悩んでいるが、ボリュームのシェアを追うつもりはない」(同)というのがソニーの考えだ。メモリ不足や物価高で価格が上がったうえに、強力な競合がひしめく安価なハイエンドモデルを作りづらい環境になっているのが、今の課題と言えそうだ。

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