「EV=長距離は不安」は本当か テスラ・モデルYで東京〜大阪を走破して分かったリアル(2/3 ページ)

» 2026年06月29日 19時23分 公開
[山口恵祐,ITmedia]

「充電待ち」を感じなかった東京〜大阪の往路

都内から静岡・遠州森町へ(約230km走行、100%→49%)

 それでは早速、行程の内訳を紹介していこう。往路は、午後10時ちょうどに東京都内の自宅を出発した。事前に自宅の充電器(200V/3kW)でバッテリー残量を100%にしており(これを基礎充電と言う)、画面に表示された航続可能距離は約430kmを示していた。ここから深夜の東名/新東名高速道路で西に向かう。

 今回のテーマは「なるべく特別なことはしない」だ。EVで長距離を走る際のコツの1つに「エコラン」がある。これはエアコンをオフにしたり、空気抵抗が少ないトラックの後ろを追従したりする走行方法だが、乗員の快適性が損なわれては本末転倒だし、安全な車間距離や飛び石のリスクを考える必要もある。よって筆者はそうしたテクニックを使わず、一般的な車と同じように運転することにした。巡航速度も時速90〜110km程度として、電費を気にした極端な低速(〜80km)にはしなかった。

 さて、出発から約3時間半が経過した午前1時30分、静岡県の遠州森町PA(パーキングエリア)に隣接しているテスラ専用の急速充電施設「遠州森町スーパーチャージャー(SC)」に到着した。

photo 新東名高速道路の遠州森町パーキングエリアに隣接する遠州森町スーパーチャージャー(SC)に到着した。テスラのスーパーチャージャーは高速道路上に設置されていないため、隣接していても一度高速を降りる必要がある

遠州森町SCで急速充電(約5分、49%→70%)

 ここまでの走行でバッテリー残量は100%から49%となり、ここで人間の休憩ついでに約5分間の急速充電を行った(これを経路充電と言う)。

 実際には休憩で10分以上滞在していたので、もっと充電してもよかったのだが、後述する理由で、目的地にはバッテリー残量10%程度で到着したかったので、テスラナビの「それなら5分間の充電でいいですよ」という指示に従った次第だ。

 今回は5分間の充電でバッテリー残量は49%から70%に回復し、料金は488円だった。

photo テスラナビで、到着時のバッテリー残量を指定できる。目的地で充電できるならギリギリまで使い切る設定で、到着後も余裕を持たせたいなら多めに設定すれば、経路上で必要な充電時間や行程が自動で計算される
photo テスラのスマホアプリから、充電の履歴詳細をいつでも確認できる

遠州森町SCから目的地の大阪市内へ(約280km走行、70%→8%)

 5分間の充電を終え、午前1時35分に遠州森町のテスラスーパーチャージャーを出発して約3時間半、午前5時10分には目的地の大阪市内に到着した。バッテリー残量はほぼ予測通り8%となった(ちなみにこの残量でも、約40km以上は走れる余裕がある)。

 つまり、今回乗ったモデルYのRWD(満充電で約430kmという比較的短いモデル)ですら、東京〜大阪間の移動で追加が必要な経路充電は、最短で約5分というわけだ。

 もっとバッテリー容量が大きいEVなら、経路充電すら不要だろう。これにより、「充電のために長時間待たされる」というタイムロスは、実質的になかったと言っても過言ではない。

photo 大阪市内に到着する頃にはすっかり夜明けに(※ウェアラブルカメラで撮影)
photo 8%で駐車場に到着し、普通充電器に接続できた

 EVにありがちな誤解の1つに、「毎回、満充電までフルに時間を使うので待たされる」というものがある。実際は目的地までに必要な電力さえ継ぎ足し充電できれば行程では十分であり、内燃機関の車とは補給の考え方が変わる。

大阪市内の駐車場で普通充電(約10時間、9%→100%)

 大阪到着時にバッテリーを使い切りたかった理由は、大阪滞在中の駐車場に無料の普通充電器が備わっていることを事前に把握していたためだ。なるべくバッテリーを到着までに使い切ってコスパを追求してみたいという事情があった。

 本来であれば、バッテリーをギリギリまで使い切るのは気が進まないだろう。特にEVを遠出で移動手段の要としている状況なら、余裕をもって多めに充電しておきたいと思うのが普通だ。

 しかし、筆者がバッテリー残量や残りの航続可能距離、ナビに目的地を設定した際の到着時バッテリー残量といった情報を信用しきって行動できているのは、テスラのBMS(Battery Management System)や、気象情報なども考慮した経路設計などが非常に優秀で、データ表示がかなり正確であると日々実感しているためだ。

 長年使い込まれたスマートフォンのように、急にバッテリー残量がガクンと減ったり、残りの航続可能距離がコロコロと変わったりなんてこともなく、表示された数字を信用して行動できている。もっと言えば、充電計画はテスラナビが勝手に考えてくれるので、頭を使うこともほぼない。

 こうしたインフォテイメント回りの先進性はテスラの大きな強みだ。EVに慣れてくると、バッテリー残量が10%を切っても不安を覚えることはほぼない。これはスマホとは全く違う感覚だ。

 さて、大阪での用事を済ませている間(約10時間)に、駐車場に設置された普通充電器でバッテリーは満充電になった(これを目的地充電という)。車を離れている間にも、スマホアプリから状況を逐一確認できるのも便利で手放せない。

 長期滞在する駐車場に普通充電器が設置されているのは、まだまだレアケースとはいえ、これによって満充電に掛かったコストは駐車料金の1800円のみとなった。

photo 長時間にわたって場所に滞在する場合、普通充電器が活躍する。場所にもよるが、急速充電のように短時間で車を移動させる必要がないためだ

 EVは全国的に、さまざまなシーンで優遇施策を受けられることが多い。こうしたサービスを受けられる時代は限られてくるだろうし、お得なサービスを探して利用するのもカーライフの新たな一面として楽しめている。

 ちなみに上記の駐車場で充電(目的地充電)が行えなかった場合は、大阪市内に多数あるテスラスーパーチャージャーで充電(約25分想定、9%→80%)するつもりだった。おそらくコストは追加で約2500円ぐらいになっていただろう。

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