警察車両や消防車、そして地方自治体の公用車に搭載されたカーナビゲーションシステムからもNHK受信料を徴収すべきか──。この問題を巡り、全国知事会がNHKに対して現行の受信契約制度の抜本的な見直しを求める提言案をまとめた。これに対し、NHK側も「具体的な検討を進める」との見解を発表し、今後の動向に注目が集まっている。
地方自治体の現場で混乱が表面化したのは、2025年(令和7年)2月以降のことだ。公用車に搭載されているテレビ受信機能付きのカーナビや、ワンセグ機能を持つ携帯電話について、NHKが「受信機能を有している」として、過去にさかのぼって受信料の支払いを求める事例が相次いで発生したのだ。
知事会側は、こうした混乱が生じた要因について、「これらの機器はあくまで公務を遂行するために配備されたものであり、テレビ放送を見る目的で設置されたものではない」と指摘。受信契約が必要だという認識が自治体側とNHK側で十分に共有されていなかったことが原因だとしている。
この事態を受け、全国知事会は受信契約を実態に即したものにするため、大きく2つのポイントでNHKに要求を突きつけた。
1つ目は「契約単位の抜本的な見直し」だ。現在、事業所(自治体も含む)の契約は、一般家庭のような「1世帯1契約」とは異なり、「設置場所(部屋や自動車)ごと」に契約が必要となっている。知事会はこれを改め、庁舎や公共施設といった「施設ごとに1契約」を基本とすること、さらに公用車等もその施設の一契約の中に含めるよう強く求めた。
2つ目は「緊急車両の受信料免除」である。警察車両、消防車両、消防艇、道路維持作業用自動車といった緊急車両は、犯罪捜査や人命救助など、公共の安全を守るために使用される。知事会は、もし公用車を一括契約に含めない場合であっても、その使用目的に鑑みて、少なくともこれらの緊急車両については受信料の免除対象とするよう提言している。
この全国知事会からの強い要望に対し、NHKは7月16日に文書(ニュースリリース)を公表して見解を示した。
NHKはまず、放送法第64条を根拠に「カーナビに放送を受信できる機能がある場合は、受信契約の対象となる」と、あくまで法的な原則を強調。これまでも各自治体に対して毎年状況確認をお願いしてきたと説明した。
しかし一方で、「全国の自治体から届け出漏れが相次いだことを踏まえると、必要な手続きをご理解いただくための説明に行き届かなかった点があったと認識している」と、NHK側からの周知や案内が不十分であったことを率直に認めた。
その上で、知事会が求めた「事業所の契約単位の見直し」や「緊急車両等の取り扱い」については、「現行制度との整合性や事業者間の公平性等を考慮しながら、具体的な検討を進めてまいります」と回答するにとどめた。
かねてより一般世帯からも「テレビを見ていないのにカーナビやスマホの機能だけで受信料を取られるのか」と不満の声が上がっている受信料問題。今回、地方自治体という巨大な組織が公式に制度の見直しを迫ったことで、NHKが今後どのような具体的な「検討結果」を打ち出すのか。その判断が一般企業の事業所契約や国民の契約体系にも影響を与える可能性があるだけに、大きな関心が寄せられている。
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