今回聞いた店員が勤務する併売店は、何だかんだでここまで営業を続けてきた。しかし、「最近はさすがにちょっと厳しいというか、実はこの店舗もそろそろ閉店しようかという話が出ています」とも語る。企業努力で法改正やコロナ禍を乗り越えてきたのに、どうしてなのだろうか。
まず、(端末の)台数が出ません。売れる台数がどんどん減ってます。ひどい月だと、100台も売れないことがあります。1日1台も売れない日も珍しくなくなりました。
既に、平日は1人で店舗を運営している状況なので、これ以上人を減らすこともできません。これ以上のコスト削減は難しい状況なので、売れず利益も出ないとなれば、次の選択は閉店ということになります。
閉店に至る経緯には、キャリアから得られる「販売奨励金(インセンティブ)」の変化もあるようだ。
売れても利益にならないことも増えてます。どうにか売れてほしいので、独自の値引きや還元を行うんですけど、その原資となるインセンティブが入ってこないことが増えているんです。
契約された携帯電話回線が短期解約されたり、うちの店舗では1台しか買ってなくても、よそで複数台買っていたりすると、「このお客さまは同月内に複数台買っている。3台目以降は転売やホッピングを目的としている可能性があるのでインセンティブを支払いません」ということもあります。さすがに、お客さまがよそで買っているかどうかを確認するすべはないので、売ったらむしろ損をすることもあったりするのです……。
販売台数がさらに減少する中、複雑なインセンティブの仕組みから売った店舗に利益がないどころか、売ったことで意図しない損失が発生することもあるのが現状のようだ。
そもそも、携帯電話(端末)自体が売れない理由は、どこにあるのだろうか。
併売店、キャリアショップ、家電量販店といった販路を問わず、そもそもの端末価格が上がってしまったことは大きいです。昔と比べたら高すぎですよね……。
あとスマートフォンは製品自体の品質が良くなっていて、結果としてお客さまの買い換えサイクルが延びているのも売れない一因です。以前ならまだ使える機種でも「こんなに安く買えます!」というキャンペーンをすることで一定の買い換え需要を喚起できましたし、実際にそれで立つ売り上げもありました。
でも最近は、端末の回収を前提にした買い換えプログラムがあるものの、純粋に端末を値下げするようなキャンペーンが薄く、“高いスマホ”という印象がますます強まっています。「スマホを長く大切に使いたい」という心理が余計に強くなってしまうので、販売台数が減ってしまうのは仕方がないですよね……。
スマートフォンメーカーの新製品発表会では、「長期のOSバージョンアップ」を始めとして長期間使えることをアピールすることが増えた。性能や機能の進化スピードが鈍化したこともあって、型落ちモデルでも“損”をすることが減っている。
このことはユーザー目線ではメリットなのだが、携帯電話が売れてこその販売店目線に立つとあまり喜ばしい状況ではない。
ただ、このような厳しい状況はキャリアショップや家電量販店も一緒のはず。なぜ、併売店は移転や統合もない閉店に追い込まれやすいのだろうか。
すごくシンプルな話なんですけど、併売店って基本的に商材が“携帯電話”しかないのです。例えばキャリアショップだったら「サポート」「プラン変更」といった販売以外の業務でも手数料が入ってきます。そして家電量販店なら他にも売るものはたくさんあるので、携帯電話が売れなくなったからといって店を畳む必要性がありません。
併売店は携帯電話しか売れませんから、携帯電話が売れないと「閉店」という選択をするしかないのです。
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