本機が持つ特徴の1つであるスピードを検証しよう。印刷速度は22ppm、ファーストプリントとファーストコピーの速度は8秒以下、自動両面ADF(DADF)使用時のファーストコピーは12秒以下、ウォームアップの時間は13.5秒以下と公表されている。DADFの紙送り速度は20ppmだが、これはスキャナの読み取り速度(600dpi、グレースケールで20ppm)に合わせたためだと思われる。
ここでは、ストップウォッチで各種のスピードを計測した。ウォームアップは、電源オンから印刷可能になるまでの時間を計測。印刷速度は、モノクロテキストの文書(JEITA J1)をWord 2003で開き、印刷設定のウィンドウで「OK」をクリックすると同時に計測を開始し、最後の用紙が排紙された瞬間に計測を終了した。印刷時にはソートや拡大・縮小機能はオフにしている。また、両面印刷以外のドライバの設定はデフォルトだ。コピー時の原稿は、印刷したJEITA J1の文書をそのまま利用している。コピー時間の計測は、スタートボタンを押した瞬間から、最後の用紙は排紙された瞬間までだ。PDF化のテストは、MF Toolboxから300dpiのグレースケールでスキャンを実行し、Acrobat 7.0 Standard上にデータが表示されるまでを計測している。各計測は5回行い、それぞれの中間値を採用した。
ベンチマークテスト(すべてA4) | |
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ウォームアップ | 11.32秒 |
ファーストプリント | 9.49秒 |
ファーストコピー | 8.02秒 |
ファーストコピー(DADF使用) | 11.73秒 |
片面22部プリント | 66.23秒 |
両面22部プリント | 125.22秒 |
片面22部プリント(ファーストプリント含まず) | 59.86秒 |
片面22部コピー | 64.81秒 |
両面22部コピー | 135.68秒 |
片面22部コピー(ファーストコピー含まず) | 59.49秒 |
20部片面PDF化(DADF使用) | 155.05秒 |
10部両面PDF化(DADF使用) | 221.08秒 |
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:512Mバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows XP Professional(SP2) |
テスト結果はおおむね良好だ。ウォームアップの時間は11.32秒となり公称値よりも高速だった。ファーストプリントとファーストコピーについては、前者がPCのプリンタドライバの処理時間を計測時間に含めたため、1秒以上余計にかかっている。DADFを利用した場合のファーストコピーについても11.73秒と公称値を超える速さだった。22部の印刷とコピーについては、ファーストプリントとファーストコピーの時間を含めない計測値で、公称値の22ppm/cpmを上回っている。PDF化に関しては、専用のドキュメントスキャナには及ばないものの、かなり健闘している。この速度なら印刷された文書のデジタル化に活用可能だ。
ただし、DADFや自動両面印刷の機能を利用すると、2倍程度の時間がかかる。たとえば、同社のA4カラーレーザープリンタのSatera LBP5300では、自動両面印刷時の速度低下が少なく非常に快適な出力が可能だが、DADFや両面印刷ユニットなどの構造が違う本機では大幅な速度低下が見られた。自動両面読み取りや自動両面印刷が可能ということ自体がメリットではあるのだが、次モデルでは速度の向上を望みたい。
文字出力のクオリティに関しては、特に気になる部分はなかった。細かい文字がつぶれることなく、しっかり描写できている。今回試用した機材では当初、印刷ムラが見られたが、何枚か印刷すると解消されたのでトナーの個体差だろう。
以上のようにSatera MF6570を見てきたが、よく言えば無難にまとまった製品、悪く言えば若干悩ましい製品という感想を持った。SOHOや小規模事業所向けと考えた場合、サイドアクセスによる設置場所を選ぶデザインがネックになることがあり、それならば下位モデルのフロントアクセスによる高いメンテナンス性や省スペース性を選択するのがよいと思う。また、下位モデルでは付属するOCRやファイル管理のソフトが別売な点も気になった。付属ソフトに関してはハードウェアの改良が必要ないはずなので、次のモデルでは対応してほしい。
一方、印刷およびコピーの高速性やDADFの搭載を考えれば、SOHOや小規模事業所に限らず、中規模以上の事業所に適したケースも多いと思われる。設置スペースにある程度の余裕があり、より高速な出力が可能なA4モノクロ複合機を求めるのであれば、本機を積極的に選択肢に入れてもよいだろう。
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