さて、このように書いてくると、Windows Vistaはモバイルノートには不向き、と言っているように聞こえるかもしれない。残念ながら、現状ではこれを完全には否定できないのだが、モバイルノートの性能向上率が低くとどまってしまったのは、それを促す力が働いていなかったことの結果でもある。Windows XPでちゃんと使える範囲で、軽量化と長時間のバッテリ駆動を追求しているのが、現在のモバイルノートだ。
だとすれば、Windows Vistaの登場が、モバイルノートを変える力となるかもしれない。もちろん、すぐに今と同じ大きさで、Vistaがサクサクと動き、同等のバッテリー駆動時間と重量を実現したモバイルノートを作ることは難しいだろう。とはいえ、デバイスベンダやPCベンダは、この方向を目指して、研究と開発を行ってくるはずだ。これまでボールはハードウェアからソフトウェアのほうに投げ込まれるばかりだったが、Vistaによってボールは打ち返された。Vistaという重いボールを打ち返すハードウェアの革新が待たれるところだ。
フリーライター。IBM PC/AT互換機以前からPCの世界に入り、さまざまなメディアでPCに関する評論やレビュー、コラムなどを執筆。とくに技術面での造詣が深く、独特の切り口による分析記事は人気が高い。
完成したWindows Vistaをマイクロソフトが披露
Windows Vista対応支援サービスと企業向け優待キャンペーン
マイクロソフトがVistaのライセンス条件を開示
マイクロソフト、VistaとOfficeの“今なら”安心アップグレードキャンペーンの概要を説明
マイクロソフトの基調講演で感じた微妙な距離
VistaのアクティベーションはXPを踏襲──マイクロソフトがVistaとOffice 2007の価格を発表
第9回 Vistaでオーディオデバイスはどうなる?
第8回 Vistaにおけるデバイスドライバのゆくえ
第7回 Windows Vistaの最新βをチェックする
第6回 AMDのATI買収劇が意味するもの
第5回 Windows Vistaのアップグレードポリシーを考える
第4回 Vistaのユーザーアカウント制御を考える
第3回 内蔵グラフィックスでWindows Aeroは動くのか!?
第2回 Windows Aeroの謎に迫る
第1回 果たしてWindows Vistaはテイクオフできるのか?
PCの進化はノートPCが切り開く──ムーリー・エデン氏基調講演
マイクロソフトの最新Bluetoothマウスを試す
もう1つの“革命”という名の小型マウス
“革命”という名のマウス
インテルのアイルランドFabを“非”公式に訪れてみた Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.