同じIntel Ultra Mobile Platform 2007を採用していながら、本体サイズの差から、大きな違いが見られるのがキーボードとポインティングデバイスだ。
U50WNはよくも悪くも欲張りキーボードと言える。SH6WP10Aより56ミリも幅が狭いボディに14ミリピッチ/1.3ミリストロークのキーボードを詰め込んでいるのだ。SH6WP10Aと比較すると、さらに慣れが必要だが、キーを押した感覚は得られるため、通常のノートPCのようなスタイルでのタッチタイプも不可能ではない。暗いところでのキー入力に支障がないように、キーボード上部に白色LEDによるライトが内蔵されているのも気が利いている。
ただし、液晶ディスプレイのヒンジ部を挟み込むようにスティック型のポインティングデバイスとマウスの左右クリックボタンがあるため、机上で両手を使ってタイプしつつ、たまにポインタを操作するといった作業は面倒だ。用途に応じて、外付けマウスを接続してもいいだろう。
両手で握って2本の親指でタイプするのはかなり快適で、ポインティングデバイスもこの姿勢で操作することを前提とした配置だ。スティック型ポインティングデバイスの左隣には、スクロールボタンと「Fn」ボタン、ヒンジ部の上には2つのアプリケーション起動ボタンと画面回転ボタン、指紋認証センサーの下には「Ctrl」+「Alt」+「Delete」のショートカットボタンが用意され、操作をフォローしてくれる。ただし、液晶ディスプレイ部は180度開かず、本体を抱えた両手首を外側に倒すような姿勢で使い続けることになるため、長時間の親指タイプは手首に負担がかかるかもしれない。
また、U50WNのキーボードは、主要キーで14ミリのピッチを確保するために多くのキーが省略された56キー構成となっており、この点で使い勝手を損ねているのには注意してほしい。こちらの記事で細かく検証しているが、とにかく「Fn」キーとの併用が多すぎる点は閉口してしまう。
具体例を挙げると、「TAB」キーすら「Fn」キーとスペースキーの同時押しになる。筆者は「ALT」+「TAB」(アプリケーションスイッチ)、「CTRL」+「TAB」(アプリケーション内でのウインドウ/タブスイッチ)といった操作を非常によく利用するのだが、少なくとも「ALT」+「TAB」を素早く両手の親指タイプで操作するのは不可能に近い。間に「Windows」キーを挟んだ「Fn」と「ALT」、さらにスペースキーを同時に押さなければならないからだ。もちろん、この操作は通常のスタイルでも結構慣れが必要だ。
個人的には頑張って確保したであろう14ミリのキーピッチを多少犠牲にしてでも、キーの独立性を確保してほしかった気がする。通常のノートPCと同じようにキーボードが使えることを目指した設計とのことだが、正直、両手親指でのタイプこそU50WNの魅力だと思うからだ。
一方、液晶ディスプレイを反転して折りたたんだ状態のタブレットスタイルでは、両手でしっかりとボディを保持しながらポインタが操作できるので使いやすい。スタイラスで画面に直接触れて入力できるソフトキーボードも備えている。
SH6WP10Aは小型PCのキーボードをそのままシュリンクしたようなデザインだ。U50WNより大きなボディを生かして、キーの独立性を確保しており、配列にはクセがない。キーピッチは主要キーで15.9ミリ、キーストロークは1.5ミリを保持している。タイプしたときのたわみはほとんどなく、慣れは必要になるが、タッチタイプも十分可能だろう。
その半面、ボディの幅が227ミリあるので、いわゆる両手親指タイプでの入力は非現実的だ。両手で持ったままで使うには、液晶ディスプレイを反転させてタブレットスタイルにして、スタイラスで画面に触れて操作するのがベターだ。補助的にディスプレイの両側にポインティングデバイスも装備しているが、タブレットスタイルではスタイラスで操作するほうがずっと快適に感じた。
ちなみにキーボード下部のタッチパッドはかなり小ぶりなので、机上に置いて使う際には液晶ディスプレイ右側にあるスクロールボタンがWebブラウザなどで便利に使えるほか、ランチャー起動などのワンタッチボタンも重宝する。
液晶ディスプレイは、2モデルとも1024×600ドットと解像度が共通だ。ただし、サイズはU50WNが5.6インチワイド、SH6WP10Aが7インチワイドと異なる。ドットピッチで比較するとU50WNが約0.12ミリ、SH6WP10Aが約0.17ミリ(公表されていないので計算値)となり、アイコンや細かな文字の視認性はSH6WP10Aのほうが高い。U50WNは机上において通常のスタイルで使おうとすると、視認性という点では少々つらいものがある。
もっとも、U50WNは両手親指タイプのスタイルで「持ったまま」使う人が多いのではないだろうか。このスタイルでは目と画面の距離が当然縮まるため、5.6インチワイドという液晶ディスプレイのサイズから想像するよりはずっと視認性は良好で、フォントサイズなどをとくに変更する必要性を感じなかった。当初は無意味という声すらあった携帯電話のVGAやWVGAのディスプレイが実は結構使えるのと同じ理屈だ。
2モデルとも液晶ディスプレイにタッチパネルを装備している関係から、画面が光沢仕様になっており、外光の反射はそれなりにある。また、画面にタッチパネル層を重ねている構造上、液晶ディスプレイの発色は最近の一般的なノートPCより少し見劣りする印象だ。とはいえ、ストリーミングの動画やデジタルカメラで撮影した写真を手軽に見るぶんには問題ないだろう。
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