超小型ノートPCの使い勝手を判断するには、OSの起動時間はもちろん、モバイルシーンで多用するであろうスタンバイ(Vista搭載のSH6WP10Aではスリープ)や休止にかかる時間も重要だろう。U50WNとSH6WP10Aは、いずれもプリインストールされたOSを利用するにはCPUが少々非力だし、OSが異なることもあって、各動作にかかる時間は気になるところだ。
ここでは、2製品の起動時間、スタンバイ(スリープ)/復帰、休止/復元に要する時間を計測した。起動に関しては、厳密にどこまでが起動プロセスかという判断が難しいので、U50WNでは「富士通メニュー」が、SH6WP10Aでは「ウェルカムセンター」が表示されるまでを起動プロセスとした。スタンバイ(スリープ)/休止に関しては、起動後数分放置して完全に起動プロセスが終了した状態から行っているが、アプリケーションなどは一切起動していないので、ほぼ最速の時間となる。
起動時間は1.8インチと2.5インチというHDDの違いの影響も気になったが、結果的にはやはりOSの動作が軽く、CPUパワーのあるU50WNのほうが約17秒短時間で起動を終えた。OSの違いを考慮すると、思ったより差が小さい気もするが、この辺りはHDDの違いが反映された形になる。また、デスクトップの表示まではU50WNのほうが圧倒的に高速なので、起動時に読み込まれるユーティリティの数なども影響している可能性がある。SH6WP10Aは直販ベンダーの製品らしく、プリインストールされるソフトウェアがほぼミニマム構成だからだ。
スタンバイ(スリープ)と復帰、休止と復元に関してもU50WNのほうが高速だった。ただし、スタンバイと復帰に関しては体感差はほとんどないレベルで、とくに復帰は1秒違いと誤差に近い。休止と復元に関しては思った以上に差が出たが、これはOSの消費するメモリ量の差もあるだろうから、同じようにアプリケーションを起動した状態では相対的な差は縮まることが予想される。
小型のノートPCということで当然気になるのがバッテリー駆動時間だ。カタログスペックではJEITA測定法でU50WNが約4時間、SH6WP10Aが約3.3時間となっており、U50WNのほうが長い。しかし今どきはモバイルシーンでのインターネット接続が当然なので、無線LANなどを利用した場合のバッテリー駆動時間も重要となる(JEITA測定法ではネットワーク接続が考慮されていない)。
ここでは、内蔵の無線LAN機能でインターネットに接続した場合と、CF型データ通信カードのイー・モバイル「D01NX」を経由してインターネットに接続した場合の2パターンに分けて、バッテリー駆動時間を計測した。単にインターネットに接続しているだけではあまり意味がないので、フリーのタブブラウザ「Donut RAPT」をインストールし、PC USERのトップページを表示して15秒置きに自動リロードを実行させた。これは、ブラウジングを継続して行っている操作を想定したものだ。
省電力の設定は、U50WNでは「バッテリの最大利用」、SH6WP10Aでは「省電力」をベースにして、スタンバイ状態へ移行したり、ディスプレイがオフにならないように設定した。バックライトは最も明るい状態だ。バッテリー残量5%でスタンバイ状態に移行するように設定し、スタンバイ状態に入るまでの時間を計測している。
結果はカタログスペックとは逆になり、無線LAN利用時、通信カード利用時のどちらにおいてもSH6WP10Aのほうが長時間動作した。原因としては、バックライト輝度を最大値に設定したことと、U50WNのほうが通信していない場合の消費電力が小さいため、無線LANモジュールやデータ通信カードが消費する電力の影響を大きく受けたことが考えられる。
無線LANモジュールと通信カードが同じにもかかわらず、2モデルで無線LAN利用時と通信カード利用時の動作時間が逆の傾向を示した点は気になるが、OSやドライバによるパワーマネージメントの違いが影響した可能性が高い。
今回の比較は、どのようなスタイルで利用するかによって評価が分かれるため、どちらが優れているかという結論を出しにくい。とりあえず、本体サイズによる携帯性の違いを無視してもよいなら、机上に置いて利用する場合はSH6WP10A、両手親指タイプで利用する場合はU50WNが有利になる。タブレットスタイルで使う場合は、U50WNのほうがスタイラスなしでポインティングデバイスを扱いやすいし、縦位置画面にしても片手でしっかり持ったまま操作できた。もちろん、機能面ではサイズの大きなSH6WP10Aに分がある。
次回は、外出先で動画を手軽に楽しむポータブルメディアプレーヤーとして活用した場合の使い勝手をチェックする。
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