その美しいデザインは“日本向け”に考えたから――デル「XPS One」発表会iMacは「意識していない」

» 2007年11月19日 19時40分 公開
[後藤治,ITmedia]

日本のために考えられたデザイン

 デルは11月19日、ティーザー広告などで話題を呼んだ液晶一体型デスクトップPC「XPS One」を国内で初めて披露した。製品発表会には、デル代表取締役社長のジム・メリット氏をはじめ、米Dellのコンシューマ・プロダクト・グループ上級副社長であるアレックス・グルーゼン氏や、日本/アジア太平洋地域 コンシューマセールス&マーケティング統括責任者ウォルト・メイヨ氏が登壇し、XPS Oneの製品コンセプトや国内コンシューマー市場にかける熱い思いを語った。

 XPS Oneは、20インチワイド液晶ディスプレイ(1680×1050ドット)を搭載する液晶一体型PCだが、ほかでもないデルがこの製品をリリースしたことは、ただの新モデル投入にとどまらない戦略的な意味がある。

 デルは2007年6月に個人向けPCブランドを統合、過去6カ月間で「新Inspiron」シリーズ、「XPS M1330」、「XPS 720 H2C」、「XPS M1730」、「XPS 420」と積極的に製品を投入し、コンシューマー戦略を推し進めてきた。しかし、日本国内のコンシューマー市場でさらなる成長を遂げるためには、同社の製品ラインアップに欠けていたものがあり、それが国内デスクトップPC市場で最も大きなシェア(同社によれば6割以上)を持つ液晶一体型デスクトップPCというわけだ。

 XPS Oneの製品コンセプトを説明するアレックス・グルーゼン氏は、いまから11カ月前に、コンシューマーに特化したデザインを考えるユニットをグローバルグループ内に設立したことを明かし、「PCはただ生産性を上げるためのものではなく、エンターテインメントやコミュニケーションのためのツールだ」と述べ、同社がより“完全な”ユーザー体験を提供できるデザインに注力してきたと語る。例えば、工業デザインのチームを従来の3倍に増やし、ナイキなどPC関連以外の人材をチームに登用しているのもその一環だ。

コンシューマー製品開発部門のトップである米Dellのコンシューマ・プロダクト・グループ上級副社長、アレックス・グルーゼン氏(写真=左)。日本市場で30億ドル規模のビジネスを展開するデルの成功は「顧客に耳を傾けニーズにあったサービス、製品を提供してきたから」(ジム・メリット氏)と語るように、ユーザーからのフィードバックをグローバルに吸い上げられるのが同社の強み(写真=中央)。デルはコンシューマー戦略として、スペックだけでなくデザインや素材、使い勝手などに注力してきた(写真=右)

 また「いままでXPSシリーズが地球上で最高のゲームマシンだと言われてきたが、“プレミアムエクスペリエンスを提供するのがXPS”であるという観点から、性能の高さに加えて、質の高い経験を提供するために進化してきた」(アレックス・グルーゼン氏)と説明し、その象徴的な例として薄型・軽量のXPS M1330を挙げる。同氏は、世界中で注目を集めるM1330の美しい外観が、日本のユーザーニーズを反映させたものだと述べ、コンシューマーノートPCの分野で世界的なトレンドをリードする日本市場の重要性を強調した。そして「日本はオールインワンPC(液晶一体型PC)でもリーダーであり、この成功がグローバルなコンシューマーデスクトップPCの礎になるだろう」と、今回のXPS Oneに対する熱い期待を語った。

発表会場では、家庭内での利用を想定して、リビングや書斎、寝室などをイメージしたデモが行われていた

 なお、質疑応答でソニー(VAIO type L)やアップル(iMac)の液晶一体型PCについて話が出ると、デルはデザイン面での競争力を上げており、「(XPS Oneは)それらの製品に肩を並べていると言っていいと思う」(アレックス・グルーゼン氏)とコメント。また、XPS Oneの製品コンセプトが先行製品の“コピー”ではなく、独自のものであると強調した。「これは始まりで、今後はよくなっていくだけ。XPS Oneはエキサイティングな旅の第一歩だ」(同氏)

Blu-rayは? 地デジは? 外付けGPUは?

 XPS Oneの主なスペックや価格美しいデザインについてはすでに記事で取り上げているが、発表会で明らかになった情報をいくつか付け加えておこう。

 まず、XPS Oneは家庭で使うPCとして、当然デジタルメディアハブ的な役割を求められるが、現時点でのBTOには地デジチューナーやBlu-ray Discドライブなどのオプションは用意されていない。これに対してアレックス・グルーゼン氏は、「当然イエス」と回答し、価格は未定ながら12月末にこれらのBTOオプションを順次追加予定であることを明らかにした。

 そしてもう1点。分解フォトレビューで掲載したように、XPS Oneは基板上にMXMスロットを搭載しているが(標準構成では高画質化チップのモジュール)、同社によれば今後外付けグラフィックスのオプションを追加する予定もあるという。ただし、XPSシリーズとはいえゲーミング用途をあまり想定していないモデルのため、それほど高性能なものではないらしい(当然、熱設計上の問題もあるのだろう)。こちらも価格と時期は未定だ。

(追記:なお、米Dellで販売されるXPS Oneの最上位モデルは、Blu-ray DiscドライブとATI Mobility Radeon HD 2400の構成になっている。価格の目安になるだろう)

液晶ディスプレイの右に並ぶメディアコントロールボタンは静電式タッチセンサを採用しており、軽く触れるだけで操作できる。また、ユーザーがボタンを押していることが分かるように、触れると音が鳴ったり、軽く振動するフィードバック機能を備える。ちなみに、押しているボタンだけが強く光り、離すと徐々に光が弱くなってやがてすべて消灯するが、これは青色LEDをボタンの数だけ別々に内蔵しているから(画面=左)。光学ドライブや内蔵Webカメラ回りも使用時に点灯する(写真=中央/右)。

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