ここから、Team JapanはFSBを徐々に上げていく「王道」テクニックでCPUのクロックをじわじわと6GHzに近づけていった。6GHzを越えた時点(6014.63MHz=429MHz×14.0倍)で、CPUの駆動電圧は2.06ボルト、同じくメモリとノースブリッジ電圧はそれぞれ2.23ボルトと1.52ボルト。メモリクロックは1710MHzに達している。
Team JapanはさらにFSBを上げていき、ついに、6139.92MHz(438.57MHz×14.0倍)というCore 2 Extreme QX9770の世界記録(2008年6月5日昼時点)を達成した!
世界レコードホルダーとなったTeam Japanは、自分たちの記録を打ち破るべく、さらなるオーバークロックに挑む……、と思ったらシステムが立ち上がらないっ! なんとこれは、大量の液体窒素を注入したためにクーラーユニット周辺のパーツが不調を来たしたためだった。クーラーユニットの周りは、ティッシュペーパーを敷き詰めて結露や過度の冷却を防いでいたが、それでもこういうことが起きるらしい。Team Japanは、POSTコードの情報から動きが思わしくないメモリモジュールを取り外し、再度システムを立ち上げた……、あ、動いた。
温度計を注視し、液体窒素を注ぐ量とタイミングをコントロールしつつ、クロックを上げていくTeam Japan。6GHzは軽く超えるものの、自己記録の6139MHzを目前にしてハングアップが続く。しかし、あきらめずにチューニングを進めるTeam Japanは、ついに自己記録を更新した。
このような、オーバークロックバトルは、欧米や台湾などのアジア地域では頻繁に行われているという。このイベントを企画したFoxconnのスタッフも世界的に有名なオーバークロッカーだ。このようなイベントは日本ではほとんど行われていないが、プレーヤーはともかく、観客として見ていても、ジリジリとクロックが上がっていくときの緊張感は格闘技の間合いに通じるし、ハングアップしたときの“がっくり”感、そして、5GHz、6GHzというラインを超えるときの高揚感など、その興奮はスポーツと同じものを感じた。
「安いCPUをハイエンドモデルのように速く動かしてホクホク」という実用主体のオーバークロックもいいが、こういう、「遊び」としてのオーバークロックもすごく面白いのではないか、とTAIPEIの地で思うのであった。
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