ソニー入魂の最高峰モバイルノート「VAIO type Z」に迫る(後編)VAIOの旗艦モデルを徹底検証(1/3 ページ)

» 2008年07月24日 11時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]

VAIO type Zの性能、スタミナ、発熱は?

直販モデルと店頭販売モデルのボディは共通だ

 Centrino 2とともに登場したソニーの「VAIO type Z」は、外観から中身まで徹底的にこだわり抜いた今夏注目のハイエンドモバイルノートPCだ。PC USERでは8月9日の発売に先駆け、ハイスペックな構成の直販モデル「VGN-Z90US」と店頭販売モデル「VGN-Z70B」の試作機を入手し、2回に分けて検証を行っている。

 前編ではtype Zの特徴とグラフィックス切り替え機能、液晶ディスプレイの品質、キーボードの使い勝手などをチェックした。後編では仕様の異なる2台のtype Zにおいて、SPEEDモードとSTAMINAモードにグラフィックスを切り替えた場合、パフォーマンスやバッテリー駆動時間、ボディの発熱がどのように変化するのかを見ていこう。

今回入手した「VAIO type Z」の試作機
製品名 VGN-Z90US(直販モデル) VGN-Z70B(店頭モデル)
OS Windows Vista Ultimate(SP1) Windows Vista Home Premium(SP1)
CPU Core 2 Duo T9600(2.8GHz) Core 2 Duo P9500(2.53GHz)
メインメモリ 2Gバイト×2(PC3-8500 DDR3 SDRAM) 2Gバイト×1(PC3-8500 DDR3 SDRAM)
チップセット Intel GM45 Express
外付けGPU NVIDIA GeForce 9300M GS
外付けGPU使用時グラフィックスメモリ 256Mバイト 128Mバイト
液晶ディスプレイ 13.1型ワイド(1600×900ドット) 13.1型ワイド(1366×768ドット)
データストレージ 64GバイトSSD×2(RAID 0) 200GバイトHDD(5400rpm)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
本体サイズ 314(幅)×210(奥行き)×24.5〜33(高さ)ミリ
実測での重量 1.393キロ 1.445キロ
価格 45万4800円(直販価格) 26万円前後(実売価格)


2つの動作モードで変わるWindowsエクスペリエンスインデックス

 まずは直販モデルのVGN-Z90USと店頭モデルのVGN-Z70Bで、ベンチマークテストの結果を比較する。実行したのは、Vista標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスに加えて、PCMark05 1.2.0、3DMark06 1.1.0、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3といった定番のベンチマークテストプログラムだ。

 Windowsエクスペリエンスインデックスは、外部GPUのGeForce 9300M GSを使うSPEEDモードとIntel GM45 Expressチップセット内蔵グラフィックスのIntel GMA X4500HDを用いるSTAMINAモードの両方で計測した。それぞれのスコアは以下の通りだ。

VGN-Z90USのスコア。写真左がSPEEDモード時、中央がSTAMINAモード時だ。写真右はCPU-Z 1.4.6で見たVGN-Z90USのCore 2 Duo T9600(2.8GHz)

VGN-Z70Bのスコア。写真左がSPEEDモード時、中央がSTAMINAモード時だ。写真右はCPU-Z 1.4.6で見たVGN-Z70BのCore 2 Duo P9500(2.53GHz)

 SPEEDモード時の結果は、いずれもグラフィックスのサブスコアが4.4であることを除けば、すべて5以上をマークしており、モバイルノートPCとしては非常に高い性能を示している。特に合計4GバイトのPC3-8500 DIMMと2基の64GバイトSSD(μSATA接続)によるRAID 0構成を採用したVGN-Z90USは、メモリとプライマリハードディスクのサブスコアで最高点の5.9をマーク。Core 2 Duo T9600(2.8GHz)の搭載により、プロセッサも5.6の好結果だ。

 CPUにCore 2 Duo P9500(2.53GHz)、メモリに2GバイトのPC3-8500 DIMM、データストレージに5400rpmの200GバイトSerial ATA HDDを採用したVGN-Z70Bは、プロセッサ、メモリ、プライマリハードディスクのサブスコアで差が付いているが、それでも5.4〜5.8と高いレベルにあり、文句はない。

 外付けGPUを搭載してグラフィックス性能に配慮しているtype Zだが、GPUはハイグレードのモデルではなく、薄型軽量ノート向けのGeForce 9300M GSなので、グラフィックス関連のスコアはほかと比べて抑えめだ。VGN-Z90USはグラフィックスメモリが256MバイトとVGN-Z70Bの2倍あるが、スコアは変わらなかった。

 一方、チップセット内蔵のIntel GMA X4500HDを利用するSTAMINAモードでは、グラフィックス関連のサブスコアが低下し、スコアが4をわずかに下回る結果となった。インテルのチップセット内蔵グラフィックス機能は、メインメモリの容量によってグラフィックスメモリの最大割り当て量が変化するため、ここでは4GバイトのPC3-8500 DIMMを備えたVGN-Z90USのスコアがやや高い。

モバイルノートPCの領域を超えるパフォーマンス

 PCMark 05、3DMark 06、FFベンチの結果は以下のようになった。type Zの電源プランは、SPEEDモード時に「高パフォーマンス」、STAMINAモード時に「VAIOスタミナ設定」としている。

左から、PCMark05、3DMark06(解像度は1280×800ドットに設定)、FFベンチの結果

 PCMark05の結果で驚かされるのは、2基の64GバイトSSDによるRAID 0構成を採用したVGN-Z90USの圧倒的なHDDスコアだ。10000rpmの3.5インチHDDで1万程度、高速な単体SSDで1万5000程度のスコアが出れば上出来だが、VGN-Z90USは何と2万を超えるスコアを達成している。これに2.8GHz駆動のCore 2 Duo T9600が組み合わされ、総合スコアは8000近くとハイスペックなデスクトップPCと見まがうほどだ。

 VGN-Z70Bは5400rpmのHDDを搭載することもあり、SSD RAID 0構成と比較してHDDスコアは5分の1程度にとどまるものの、CPUやメモリは十分ハイスペックなので、総合的にモバイルノートPCとしては実に良好なスコアを獲得している。

 type Zで周囲のスペックから少々見劣りするのは、やはり3Dグラフィックス性能だ。3DMark06のスコアは高速なCPUにも助けられ、VGN-Z90USで2265、VGN-Z70Bで1639とチップセット内蔵グラフィックス機能採用のモバイルノートPCとは一線を画すが、デスクトップPC用のグラフィックスチップでいえば、ローエンドのRadeon HD 3450やGeForce 8400 GSより少しだけ速い程度の3Dグラフィックス性能といえる。最近の3Dゲームを高品位な設定でプレイするには荷が重いだろう。せっかくGPU以外がハイエンドに近い仕様なのだから、今後はワンランク上のGPUを選べるようになると、より魅力が増すと思う。

 FFベンチはDirectX 8.1世代の少々古いテストだけあって、いずれもFINAL FANTASY XI for Windowsをデフォルト状態で快適にプレイでき、高解像度モードでも十分楽しめる「計り知れない(7000以上)」のスコアを出した。

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