電気街が“萌え”た日、そこには等身大の綾波レイがいたASCII×ITmedia アキバ対談(前編)(2/5 ページ)

» 2008年07月30日 16時00分 公開
[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]

アキバの変化を再確認 その1――綾波レイが電気街の萌えを加速した

2008年4月にまんだらけ史上最強をうたう「まんだらけコンプレックス」がオープン。もとは俺コンハウスの跡地だった

古田氏 メイド喫茶の話がでましたけど、確かに2002年の時点で、すでにアニメグッズのショップやメイド喫茶はいくつか存在しました。いつごろから増えてきたんですかね?

藤山氏 1995年ごろからちょぼちょぼとアニメの街になってきた印象はあるね。でも大きく変わってきたのは1998年かなあ。ちょうどCD-RWドライブが発売されたくらいの時期。これと同時期にラジオ会館に海洋堂が店を開いた(ホビーロビー東京)んだけど、そのショーウィンドウに等身大の綾波レイのフィギュアを飾っていたんだよ。ぼくはCD-Rドライブを買いに来たのに、駅を下りたら綾波レイと目が合っちゃって、で、海洋堂に行ってフィギュアを買って、肝心のドライブを買えなかった記憶がある(笑)。急激に変わってきたのは、あのころじゃないかな。

古田氏 つまり、綾波レイがアキバに萌えを浸透させた転機だった?

萌えとカルピスの関係

藤山氏 そうかも。ただ、秋葉原の萌え文化というのは、LDとアニメ、美少女ゲーム、フィギュア、同人といった小さい卵がいっぱいあって、ちょうど今一点に集中しているという感じです。これらがいろいろからんで、巨大な萌え市場になっている。

 まあ、小さい卵も元をただせばエロゲーから来ているんだけどね。“メイド属性”にしたってエロゲーで火がつきましたし、その前からアンナミラーズの制服を前面に出したエロ同人誌がありましたから。そういうのが原点にあって、より多くの人に受け入れられるように薄められて、派生しながら萌えが成長したわけです。薄めたほうがおいしいのはカルピスと一緒(笑)。

古田氏 なるほど。でも、そういう萌え文化が、電気街だったアキバで盛り上がったのは、何か関係があります?

藤山氏 もちろんありますよ。PC好きな人って、コントロールするのが好きじゃないですか。プログラムして思い通りに動くと面白いでしょ。エロゲーも、女の子を好きにコントロールできる。そういう共通項があると思う。

──逆に、古田さんのようなPC自作層から見て、アニメの台頭を感じたのはいつごろですか?

古田氏 (ライターを始めた)2002年の時点ですで感じていました。ただ、街の主役がPCパーツからアニメ系に変わったと確信したのは、2006年です。2005年までは、なんだかんだ言いつつ自作PC市場に勢いがありました。2005年にデュアルコアCPU「Pentium D」が登場して、発熱量の問題からユーザーのインテル離れが起きましたが、まだ大勢は変わりませんでした。

藤山氏 あ〜、AMDがすごかったころ。

古田氏 ですね。安くてそこそこ消費電力が低い「Athlon 64 X2」が注目されまして。今思えば、自作PCが街の主役を張った最後の時期だったのかもしれません。その後、2006年にインテルが「Core 2 Duo」を出して盛り返しましたが、さらに高いスペックを要求するコンテンツが特に出てこなかった。

 だから、手持ちのマシンに満足する人が増えて、停滞が始まった気がします。「パーツを乗せ替えたり、改造したりしてすごく楽になった」というメリットを受ける人が、ゲーマーなどのごく一部になってしまった。Windows XPよりも高いスペックを求めるVistaの登場で現状打破を期待しましたが、いまだならずです。

 その一方で、アニメやフィギュアといったサブカルチャーは順調に伸び、いつしか街の主役が交代していたという印象ですね。

藤山氏 そうですね〜。2006年でしたっけ、俺コンハウスが閉店したの。

古田氏 そうですね。あのころから、老舗ショップの閉店が続いて。PC-SuccessLAOXザ・コンピュータ館高速電脳USER'S SIDE……。

──時期としては、駅前再開発と一致していますね。

古田氏 確かに。まあ、駅前再開発の方向性はおおむね悪くないと思うんですよ。ただ、アキバの街の弱点を補って、総合力を高めるという感じのコンセプトなので、尖っているジャンルに対しては、やっぱり向かい風になっている側面もあります。アニメ系は勢いがあるから向かい風で立ち止まることはなかったけど、自作PCはやや厳しい状況になったなと感じます。

秋葉原再開発地区の拠点「秋葉原クロスフィールド」。「秋葉原UDX」は2006年に開業した(写真=左)。それと同時期、有名パーツショップの閉店が相次いだ。写真は高速電脳(写真=中央)とLAOXザ・コンピュータ館(写真=右)

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