この時期に登場した最も重要なパーツは、インテルの新型クアッドコアCPU「Core i7」だ。従来のCore 2シリーズとはアーキテクチャが異なり、Pentium 4時代に採用したハイパースレッディングによって仮想的に8コアで動作できる。11月16日に深夜販売が行われ、「Core i7 920/940/Extreme 965」の3モデルが登場した。
Core i7はハイエンドユーザー向けということもあり、プラットフォームが高額になる。Extreme 965が11万円台、940が6万円台、920が3万円台で、対応するIntel X58 Expressマザーも当初は3万円〜5万円のモデルが並んだ。また、安価なDDR2メモリは非対応で、DDR3を搭載しなければならない。このため、限定的な人気に留まると予想するショップが多かったが、Core 2 Duoに匹敵するほどのヒットを飛ばすことになった。
ドスパラ秋葉原本店は「多少高くても性能が抜群に良いものが欲しいというお客さんが多いのでしょう。Core i7によって(4Gバイトを超えるメモリが使える)64ビットOSへの移行も進んでいるようです」と語る。
また、拡張カード関連でも新たな動きが出始めている。GPUの性能をほかの処理にも割り当てて作業を効率化する「GPGPU」を利用したソリューションがAMDとNVIDIAから提案され、GPGPU対応の動画編集ソフト「SuperLoiLoScope」をバンドルしたSapphireのグラフィックスカード「SHD485LS-512ER」が発売されたほか、エンコードやアップスケーリング処理などを専門に行う“第3のプロセッサ”こと「SpursEngine」を搭載した拡張カードも登場している。
SpursEngineカードはエンコード処理を頻繁に行うユーザーの支持を集めており、「B-CASを付属しないデジタル3波チューナーカード、PT1を購入した層と被っている印象ですね。とにかく動画を積極的に録って編集したいという人には最適なカードです」(某ショップ)と語った。
2008年はハイエンドとローエンドで魅力的なアイテムが登場したほか、地デジチューナーやGPGPUといったPCに新しい価値を加えるパーツも追加された(関連記事:「よくできました」「がんばりましょう」「よくがまんしました」──新世代パーツ通知簿2008年版)。PCパーツ市場としてはバランス良くヒットモデルが分散した年といえるが、ここからどのような進化を遂げるのだろうか。2009年もアキバから目が離せない。
古田雄介:
アキバ探索のほかにも、家電量販店取材や人気サイトの管理人さんインタビュー、EXCEL活用法やらショールーム見学など、いろいろやっているフリーライター。
Windows Home Server日本語版やPT1の深夜販売を直前に知ったとき「マジっすか! 今後のスケジュールが……」と悩んだ挙げ句、ワクワクしながら現場に足を運んだのはいい思い出です。2009年もそんな感じでがんばろうと思いつつ、読者のみなさんに「よいお年を」と語りかけたいと思います(古田雄介のブログ)。
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