プロ向け液晶ペンタブレット「Cintiq 12WX」を解剖する(2/2 ページ)

» 2009年02月27日 12時22分 公開
[山田祐介,ITmedia]
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使いやすさを求めた、さまざまな工夫

 液晶タブレットならではの魅力として、ディスプレイを回転させて自分の描きやすい方向から作業ができることを挙げるユーザーも少なくないだろう。Cintiq 12WXは、本体背面の中心付近に、机上でピボットとして機能する突起部(センターバー)が設けられている。

本体背面の中心付近にある突起部(左)。シールドケースに取り付けられており、板バネによって荷重が加わると適度に引っ込む(右)

 本体に荷重が掛かっていない状態ではスムーズに回転するが、手を載せて荷重が加わると、バネ構造によって突起部が引っ込み、周りのフェルト部が机に接着して不要な回転を抑えてくれる。また、本体背面のスタンドは、机に対しフラットな状態から、25度、60度と角度の調節が可能だ。ドローイングモードとして用意された25度の角度は、同社がユーザー調査から導き出した“描きやすい角度”という。

コンバータの内部

 ACアダプタからの電源に加え、USB、映像を表示するためのDVI-Iのラインが必要とされるが、本体側のケーブルはあくまで1本にする。これも、持ち運んだり回転させたりする際の取り回しを考慮した結果だ。同梱されているコンバータで3系統をひとまとめにし、MDRコネクタを介して本体ケーブルへと供給する。MDRコネクタをネジ固定式ではなくワンタッチのロック式としているので、脱着も素早く行える。

photo ファンクションキーはラバー仕様に

 ショートカットキーなどを割り当てられる左右10個のファンクションキーや画面の拡大縮小/スクロールに便利なトラックパッドは、intuos3からの乗り換え、または併用に配慮し、配置をそのまま継承した。ただ、ボタン表面はプラスチックからラバーに変更されている。「プラスチックだとクリック感が安っぽく、カチカチというかん高い音が不快感を与える」(玉木氏)という判断から来るもので、ラバー素材の採用によって、好ましいクリック感と刺激の少ないクリック音が得られるとしている。


 ディスプレイにペンを走らせることで、“直接描いている感覚”を得られるのが液晶ペンタブレットの強みだ。今後の課題としては、目が疲れにくいディスプレイや、より薄いボディの開発、ボディ表面における高温の解消などがあるという。個人的にはモニタとガラス面との距離によるポインタの微妙なズレを、ユーザーがどう捉えているか気になったが、そうしたズレを少なくする技術として、ガラスの薄型化、フィルタや空気層などによる光の屈折率のバラつきをなくす工夫も検討されているそうだ。

 液晶ペンタブレットのディスプレイ部にタッチセンサーなど“手”で操作できる機能が加わり、画像編集ソフトを使っているときに、利き手でペンを持ちながら、反対の手をマウス代わりに利用する――そうしたことが可能なのかも聞いてみた。レノボの「ThinkPad X61 Tablet」をはじめ、デジタイザペンとタッチ機能をともに備える製品は過去にも存在しているが、筆者の想定するようなシーンで問題になるのが、“ペンを持つ手の腹が画面に触れてしまう”ことだという。ユーザーの意図した“タッチ”のみを検出する処理ができるようになれば、そうした機能を実装することも可能になるだろう。

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