CeBITに参加した多くの台湾ベンダーと同様に、MSIのブースでも「ポストNetbook」を担うノートPCや液晶一体型PCのほかに、Intel P55 Exprssを搭載したマザーボードや、MSI独自の技術を導入したグラフィックスカード、そしてチューニングユーティリティボックスが展示されていた。
欧州ではまだまだ盛り上がりを見せるPCゲーミングユーザーの注目を集めていたCeBIT 2009のMSIブースから、「これは、どういうことだっ」と気になったマザーボードとグラフィックスカードを紹介しよう。
マザーボードでは、Intel P55 Express搭載製品が2枚展示されている。1つはオーバークロッカーを意識したハイエンドラインアップとなる「G9P55-DC」で、基板にはワンチップ構成のIntel P55 Expressのほかに、もう1つのチップが実装され、拡張スロットでもグラフィックスカードが差せるPCI Express x16を3本用意している。
説明の資料によると、G9P55-DCはCrossFireXとともにNVIDIA SLIをサポートすることになっている。Intel P55 Express以外に実装されているチップについて資料では明らかにされていないが、ブースで確認したいろいろな情報によるとNVIDIAの「nForce 200」である可能性が高い。NVIDIAでは、nForce 200を実装することでIntel製チップセットを搭載したマザーボードでもNVIDIA SLIのサポートを認めている。このほか、メモリスロットでもG9P55-DCではIntel XMPによってDDR3-2300までの対応をうたっている。
もう1つのIntel P55 Express搭載製品は「G7P55-DC」で、こちらは、基板にIntel P55 Expresのチップしか存在しないのに、拡張スロットにPCI Express x16を3本用意し、資料にはCrossFireXと3-wayのNVIDIA SLIをサポートするとある。
CeBIT 2009では、同様なマザーボードとしてGIGABYTEのGA-IPXも展示されているが、これらは、nForce 200を実装しないマザーボードでNVIDAI SLIに対応することになる。この場合、NVIDIA SLIをBIOSで有効にするためにNVIDIAとライセンスを結ぶ必要がある(この契約は有料だ)。
今のところ、「Intel P55 Express」チップセットでNVIDIA SLIが対応するかどうかについて、NVIDIAとIntelは明確にしていないが、いくつかの台湾ベンダーで説明された内容から判断すると、ライセンスが供与される可能性はあるが、それがいつ公式に発表されるかについては分からないという状況にあるようだ。
以上のことから、MSIのG7P55-DCとGIGABYTEのGA-IPXはライセンスを受けてBIOSにキーコードを埋め込むことで、ワンチップ構成のIntel P55 Express搭載マザーボードで、CrossFireXとNVIDIA SLIを実現していると考えられる。
MSIが展示していたマザーボードでは、AM3に対応したAMD 790GX搭載の「790GX-8D」にも注目したい。「790GX-8D」は、すでに出荷されているIntel P45 Express搭載マザーボードの「P45-8D Memory Lover」と同じように、DDR3対応のメモリスロットとDDR2対応のメモリスロットをそれぞれ4本ずつ、合計で8本のメモリスロットを搭載したモデルだ。
AM3対応マザーボードに4枚のメモリを差す構成で気になるのが、先日明らかになったAM3対応Phenom IIの問題だ。DDR3-1333を4枚(1チャネル2枚)差した状態でシステムが不安定になるという症状が報告されており、MSIでもこのことを把握しているが、彼らは、この問題を解決したAM3対応Phenom IIが登場したあとに790GX-8Dが出荷される計画になっているので、問題はないと認識している。
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