調査当日の5月15日、複数のPCパーツショップにZOTACのmini-ITXマザー「IONITX-B-E」が入荷した。平均価格は2万円弱ながら、クレバリー1号店は1万4988円で販売するなど、店舗ごとに開きがある。在庫は潤沢だ。
IONITX-B-Eは、NVIDIAが提唱する省電力プラットフォーム「ION」を採用した初のマザーボードだ。CPUに「Atom N230」(1.6GHz)を搭載し、チップセットは「GeForce 9400M G」を積んでいる。普通のAtomオンボードマザーに比べて描画性能が高く、HD映像の再生支援やGPGPU「CUDA」をサポートしており、地デジ放送やBD-ROMビデオの再生も快適にできるとされる。映像出力端子にDVIとHDMI、アナログRGBを備えるほか、2基のDDR2メモリスロットやmini PCI Express x1スロットも搭載している。また、大きなヒートシンクを採用することで、ファンレス仕様にしているのもポイントだ。
入荷したBLESS秋葉原本店は「再生中心のAVマシンとしてなら、十分に実用的なアイテムですね。地デジやBD再生用に使う場合でも消費電力がかなり低く抑えられるので、Atom用の電源搭載ケースが流用できる可能性が高いです。リビング用に小さなマシンがほしいという人に売れそうですね」と語る。
ただし、入荷した段階で注目しているユーザーは少ない様子。ツートップ秋葉原本店は「事前告知がほとんどされないままに登場したので、IONの存在自体を知らない人は多いようで、今のところはまだ売れていません。“グラフィックが強いAtom”みたいな認識が広まれば、再びmini-ITX市場が盛り上がるかもしれないですね」という。
また、価格をネックと考える意見もあった。「Atomマザーの約2倍というのは微妙です。1万5000円前後ならヒットは確実でしょう。近いうちにデュアルコアAtomを搭載したタイプも登場するようですが、こちらは約3万円とさらに高くなるらしいです。ちょっと、ニッチなアイテムになる匂いがしますね……」(某ショップ)と分析する。
しかし、取材時の時点(金曜日の昼)に売れていないのはターゲット層の違いという声もあった。某店員さんは「アキバは時間帯によって客層が大きく変わります。平日の昼間は学生さんやフリーな方、夕方から夜は会社帰りの方が多数派で、休日は家族連れや女性も増えます。このため、平日の昼間に飛ぶように売れるアイテムはニッチな層にしか受けない場合がよくあるんです。例えば、キャプチャーカードのPV4は平日の昼間に登場して即完売しましたが、再入荷後も同じような層の方にのみヒットしています。今回のIONは、コンテンツ収集用の道具ではなく、純粋に自作するのを楽しみたい人向けといえるので、会社帰りの自作全般が好きという方々に受けそうです。もしかしたら、家族連れにヒットするかもしれません。つまり、1週間経たないと本当の人気が見えてこないんですよね」とのことだ。
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