Snow Leopardを通して考える「これからのOS」(前編)発売直前!(1/3 ページ)

» 2009年08月27日 10時00分 公開
[林信行,ITmedia]

 Macの最新OS「Mac OS X v10.6“Snow Leopard”」がいよいよ明日、8月28日から発売される。今回、幸運にも先行して同OSを試すことができた。Snow Leopardの新機能については、すでにアップルの公式ページに詳しく紹介されているうえに、おそらく今夜、日付が変わるあたりから各所で詳細なレビュー記事が掲載され始めるだろう。実際、筆者もすでにもう少し技術的に詳しく踏み込んだ記事を書いている。

 だがここでは、数年に1度のビックイベントを前に、今回Snow Leopardを通して感じた「OSアップグレード」が持つ意味合いというものを、改めて考え直す機会を提供させてほしい。

Leopardを読み解く2つのキーワード、「洗練」と「発展」

 いまさらパソコンのOSが新しくなったからといって、本当にそんなことがニュースなのだろうか? OSなんてアップグレードしなくても、日常業務に困ることはない。メールの送受信やWebブラウジングはもちろん、仕事の書類作成や音楽ライブラリの管理、デジタルカメラ写真のスライドショーだってすでにできている。

 新たに余計な機能を追加するだけならば、OSアップグレードなんてむしろ百害あって一利無しではないか――そんな疑問を持っているユーザーも「Snow Leopard」を手にしたら思わずニヤリとせざるを得ないはずだ。アップルは、こういったユーザーの疑念をよく分かっているようで、Snow LeopardはOSのアップグレードに懐疑的な人にも「なるほど」と思わせる内容になっている。

 それでは一体、Snow Leopardの何がこれまでのOSアップグレードとは違うのか。実はSnow Leopardは、前バージョンの「Mac OS X v10.5“Leopard”」と、大きな見た目の違いはなく、派手な新機能もそれほど用意されていない。しかし、それにも関わらず、この新しいOSに触れた瞬間に、「これは新しい!」と肌で感じられるアップグレードに仕上がっているのだ。

 Snow Leopardは、派手なマーケティング戦略から生み出されたバブルなOSアップグレードではなく、すでに大勢の人が慣れ親しみ満足していたLeopardを「最新の技術によって、さらにここまでブラシュアップできる」と立証してみせたOSだ。もちろん、目を引く新機能なしでは、なかなか食指が動かないユーザーがいることはアップルも承知している。だからこそ、これだけ手間がかかったメジャーアップグレードであるにも関わらず、3300円という大胆な価格設定もやってのけたのだろう。

 筆者は、このアップルが2年ぶりに行うOSメジャーアップグレードを「洗練」と「発展」という2つのキーワードで読み解きたいと思う。

 まずは「洗練」。これは目立った新機能を加えなくてもユーザーを満足させることができるということだ。前OSのLeopardは、Macが誕生してから25年の歴史の中で最も売れたOSだった。この完成され、高い評価を受けているOSのルック&フィールを、単に新しいOSの販売向上を目的として変更してしまったとしたら、かえってユーザーの反感を買うことだろう。だからアップルは、あえて見た目を大きく変えることは避けた。これまでのよさはそのままに、同じOSを最新技術で全面的に作り直したのだ。

 例えば、下の2つのスクリーンショットを比べてみてほしい。Macユーザーにはおなじみの「システム環境設定」(Windowsで言うところの「コントロールパネル」)のウィンドウで、左がLeopard、右がSnow Leopardのものだ。

一見すると同じ「システム環境設定」も実は項目が見直されている。左がLeopard、右がSnow Leopard

 一見すると項目数も同じで、見た目に変化はないようだが、実はいくつか違いがある。「QuickTime」のアイコンがなくなり、これまで1つにまとまっていた「キーボードとマウス」の設定が、「キーボード」と「マウス」の2つに分かれた。項目の整理のされ方も「インターネットとネットワーク」から「インターネットとワイヤレス」など見直しが図られている。

 実は安易に新機能を追加することよりも、すでに存在する機能を振り返り「この機能は本当に必要か?」「本当にこのままでいいのか?」と1つ1つ問い直すほうが作業としては大変だ。しかし、アップルはこの手間のかかる地道な方法に真摯(しんし)に取り組んだ。

 Mac OS Xは、1000以上のプロジェクトで構成されているというが、そのうち90%近くに「洗練」の手を施したのだという。それだけに、これまでLeopardを使ってきた人は、使うたびに「お、こんなところにも」という驚きや喜びの発見がある。見た目が同じで中身が新しい――これが一体、どんな感覚をもたらすか、想像できない人も多いかもしれない。

 そこでこう考えてみてほしい。例えば、古くから住んでいる家を今の最新技術で作り直したらどんな感じか。部屋の間取りや配置は変わっていないはずなのに、すべてがピカピカで新しく、なんだか居心地がいい。置いている家電も同じはずなのに、気がついたら床暖房や床下配線で、部屋がなんだかスッキリし、広々と感じられる。これまでガスだった調理器がオール電化になり、調理がしやすいうえにエコの観点からもよくなっている。

 慣れるまでの時間は一切不要なのに、知ってしまうともはや昔の状態には戻れない。これぞSnow Leopardがもたらした「洗練」だ。これまでMacを使ったことがない人なら、Mac OS XというOSが、ここまで使い心地の練られたOSであることに驚嘆させられることだろう。

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