MSIが世界のオーバークロッカーに「OC Genie」をアピール

» 2009年09月04日 17時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 MSIは、北京で行われたオーバークロック大会「Master Overclocking Arena 2009」の参加者に対して、同社が開発している独自技術を紹介するレクチャーセッションを行った。そこで取り上げられた中から、ここでは、マザーボード向けオーバークロック機能を紹介しよう(MSIが行ったオーバークロック大会についてはMSIのオーバークロック世界大会で“水没PC”とスリリングなゲームに酔うを参照のこと)。

OC Genieのディテールが明らかに

OC Genieは専用のチップを基板に実装し、CPUやメモリの動作クロック、駆動電圧をチェックしながら自動でオーバークロック設定を行ってくれる

 最初に紹介されたのは、間もなく登場するといわれているインテルのLynnfield向けチップセット「Intel P55 Express」搭載マザーボードに実装される「OC Genie」だ。この機能については2009年6月に行われたCOMPUTEX TAIPEI 2009でもMSIブースで説明があったが、より詳しい説明が行われた(COMPUTEX TAIPEI 2009であったOC Genieの解説については種類が増えた「P55マザー」は遊び心で勝負──MSIブースPCパーツ編に詳しい)。

 MSIは、以前からオーバークロッカーを喜ばせるクロックアップ機能をマザーボードに実装している。その1つに、FSBをユーザーが設定できるオンボードスイッチがあるが、第1世代のジャンパピンによる切り替えから、第2世代のディップスイッチ、そして、最新の第3世代ではジョグダイヤルによる設定ができるなど、より使いやすい方向に進化している。OC Genieは、これらのクロックアップ機能の第4世代として位置付けられているが、その機能はFSBのクロックアップだけにはとどまらない。OC Genieでは、CPUのベースクロック以外に、CPUとメモリのクロック比、メモリのタイミング、CPUとメモリの駆動電圧など、多岐にわたる設定が自動で行われる。

 使い方が簡単で、“安全”なのもOC Genieの特徴だ。OC Genieによるオーバークロック設定を利用したいユーザーは、オンボードに用意された“OC Genie”ボタンを押してから、やはり、オンボードに用意された電源ボタンを押す。すると、システムは起動時にCPUやメモリなどにチューニングシークエンスを実行しながら動作可能なクロックアップ設定を「試行錯誤」でチェックしていき、それぞれの動作クロックや駆動電圧を設定していく。

 COMPUTEX TAIPEI 2009でMSIは、OC Genieのメリットとして、ワンアクションで行える使いやすさと、動作可能な範囲でオーバークロック設定を行う安全性を訴求していたが、今回のレクチャーでは、(具体的な名称はここでは明らかにできないものの)ストリートプライス200ドル以下で2.66GHzで動作するCPUがOC Genieで3.4GHz動作に設定できたスクリーンショットを示しながら、価格が999ドルのCore i7-975 Extreme Editionと比べてコストパフォーマンスが5倍以上になることをアピールしたほか、インテル独自のオーバークロック機能と言える「Intel Turbo Boost」では、1コアが最高クロックに設定された状態で12%程度の性能向上であるところ、OC Genieでは4コアすべてがオーバークロック設定で動作して36%の性能向上になることが紹介された。

OC Genieの使い方は簡単だ。基板に用意されたOC Genieボタンを押して電源を入れれば、システムが自分で試行錯誤をしてベストのオーバークロック設定をしてくれる。MSIのテストでは2.66GHz動作のCPUが3.4GHzに設定されたという(写真=左)。MSIは、Intel Turbo Boostと比較したOC Genieのメリットも紹介した。1コアだけが突出してオーバークロックされるIntel Turbo Boostに対してOC Genieは4コアすべてにオーバークロック設定が行える(写真=右)

アナログな遊び心を刺激する「V-Kit」

 オーバークロック以外のMSI独自機能として紹介されたのが、「SuperPipe」と「V-Kit」だ。SuperPipeは、これまで使われてきた標準径より太いヒートパイプを採用して放熱効果を向上させたクーラーユニットで、すでに、グラフィックスカードでは採用モデルが登場している(こちらについては種類が増えた「P55マザー」は遊び心で勝負──MSIブースPCパーツ編を参照のこと)。MSIが示したデータによると、電源回路周辺部の温度が、SuperPipeを採用していないマザーボードで摂氏90度のところ、SuperPipeを利用すると摂氏40度にとどまる効果が確認されたという。

 V-Kitは、安定動作のために用意されたBIOS設定リミッターを無効にして、ユーザーが自由に電圧を設定できるようにするオンボードスイッチの「V-Switch」と、各部の駆動電圧をチェックできる「V-Check Point」で構成される。ユニークなのはV-Chech Pointsで、オンボードに用意されたコネクタにテスターの測定用端子を差し込むことにより、CPUのV_CORE、CPU VTT、DDR VCC、PCHがリアルタイムで測定可能だ。なお、すでにフォトレビューで紹介している同社のIntel P55 Expressマザーボード「P55-GD65」にも、このV-Kitが用意されていた(実装状況は、いきなり解禁!Intel P55 Express搭載のMSI「P55-GD65」緊急フォトレビューを参照のこと)。

 MSIでは、これらの、OC GenieやSuperPipeのほか、従来からマザーボードで導入しているDrMOSなどで実現するオーバークロック設定を「Experience the Xtreme Speed on P55」と名づけ、同社のIntel P55 Express搭載マザーボードをアピールしていく予定と説明した。

MSIのテストによると、SuperPipeを導入したマザーボードとそうでないマザーボードとでは、電力供給回路の温度で摂氏50度も違う(写真=左)。電圧関連の設定とステータスチェックが行える「V-Kit」は、ディップスイッチとテスター測定端子の差し込みを用意するなど、“電子工作”的な遊び心を刺激する(写真=右)

MSIはIntel P55 Express搭載マザーボードのプロモーションで、今回紹介したOC GenieとSuperPipe、そして従来から導入しているDrMOSを組み合わせた「Experience the Xtreme Speed on P55」をキーワードとしてアピールしていく予定だ(写真=左)。MSIのレクチャーセッションでは、世界中から集まったオーバークロッカーとMSIのプロダクトマネージャーの間で活発なディスカッションが行われた。OC Geineについては、「ボタンをバックパネルに用意して欲しい」「OC GenieやDirect OC、V-kitなどのインタフェースを1つにまとめた外付けユニットは用意できないか」といった要求が出されたが、外付けユニットに対しては、「今後開発する予定のハイエンドモデルで検討してみる」という回答があった

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