キルギスのインターネットカフェに潜入した山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2010年06月17日 11時30分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

 いま、中央アジアのキルギスで起きている騒乱が日本でも報じられている。この国については連載でもウズベキスタンとともに中央アジアのIT事情とともに取り上げたことがある。それぞれの国で、一般の人たちの家を訪問したが、彼らは輸入したVAIOノートPCなど高価なノートPCを所有しているものの、インターネットに接続しないで使うのみだった。

 とはいえ、どちらの国にもインターネットカフェが存在し、PCを所有できない若者たちで活気があった。キルギスの騒乱の中でインターネットカフェはどんな影響を及ぼしたのだろうか。すでに、外務省からキルギスに対して首都のビシュケク市に「渡航の是非を検討してください。」、南部の地域では「渡航の延期をお勧めします。」が発出されており、一般人は入国すら困難な状況にあるため、推測することしかできない。そこで、ここでは参考情報として、普段報じられることがほとんどない、筆者が同国を取材したときに知った「一般庶民のインターネット事情」を紹介したい。

キルギスの一般的なインターネットカフェ。IP電話やPCショップなどを兼ねているのが店頭の看板から分かる(写真=左)。こちらは、ウズベキスタンのインターネットカフェ。512Kbpsでもハイスピードをアピールする(写真=右)

1時間50〜100円が相場のインターネットカフェ

 キルギスのインターネットカフェは、専業の店舗ではなく、公衆IP電話やPCショップ、ビデオのレンタルショップも兼ねているのが一般的だ。この辺りの事情は「仕事をいくつも掛け持たないと生きていけない」という庶民の収入事情が大きく影響しているという。

 一方でウズベキスタンのインターネットカフェは、専業の店舗がほとんどだ。これは、ウズベキスタン国民の収入がキルギス国民より多く家計に余裕があるから、というわけではない。ウズベキスタンにはIP電話がないことに起因する。ちなみに、ウズベキスタンとキルギスでは、固定電話にしろ携帯電話にしろ、国際電話はべらぼうに高い(ただし、CIS=独立国家共同体に所属する国家間は国内電話よりわずかに高い料金で通話できる)。そのため、国外への出稼ぎが当たり前の両国で、国外にいる家族や知人との連絡手段は、出稼ぎ先からかかってくる電話を待つ以外、実質的にない。

 ウズベキスタンもキルギスも大きな街にしかインターネットカフェはないが、(兼業であるとしても)その数はキルギスが圧倒的に多い。ウズベキスタンの人に聞いても、インターネットカフェは「5年前より確実に減っている」という。筆者が滞在中に取材した期間でその理由を確定することはできなかったが、あるインタビューでは「何をするにも回線速度が遅いので、インターネットカフェを開業しても客がぜんぜん楽しめなかったのでは?」という証言もあった。ちなみに、ウズベキスタンのインターネットカフェ利用料金は、地元民が高いと感じるものではなく、1時間50円前後が一般的だ。

 ウズベキスタンの大都市では、モバイルWiMAXのサービスが運用されているが、最も安いプランでも月30ドル(1Mbps、しかもデータ量従量制なので、さらに追加される)、最も高額のプランで月4200ドル(2Mbps、使い放題)とかなり高い。旅行者は有線でネットワークにアクセスするのが無難だが、ウズベキスタンでは大都市でもインターネットにアクセスする場所を見つけるのに苦労する。ホテルにも客室にLANコネクタはない。旅行や出張などの一時滞在でウズベキスタンを訪れるなら、滞在期間中はインターネット利用をあきらめよう。アクセスできる場所を探すだけで貴重な時間を失うことになるからだ。

 なお、ウズベキスタンでは、Webサイトの「Voice of America」などがアクセス禁止になっていることから、インターネット利用に関して当局がなんらかの制限をかけているともいわれている。

ウズベキスタンではモバイルWiMAXの運用が始まっている。ただ、その料金は日本人にもかなり高い(写真=左)。ウズベキスタンでは、インターネットカフェも少なければ、自分のPCで利用できるネットワーク施設も極端に少ない。かろうじて高級ホテルのビジネスセンターでインターネットが利用できるPCを見つけることができた(写真=右)

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