LGのフルHD液晶ディスプレイ注目機種――120Hz駆動の「W2363D-PF」と超解像の「E2350VR-SN」を試す動画表示の違いをチェック(2/4 ページ)

» 2010年07月07日 11時00分 公開
[林利明(撮影:矢野渉),ITmedia]
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120Hz駆動の動画表示は何が違うのか

 画質に関してだが、120Hz駆動の効果はどのような映像を表示するかによって違う。一般的な動画コンテンツは毎秒60フレームなので、これを120Hzで表示する場合、1フレームを2Hzぶん表示することになる。映像の前後フレームを解析し、本来は存在しない中間フレームを作り出して120Hzで表示する「倍速補間」はサポートしないため、120Hz駆動であっても見え方は標準的な60Hz駆動の液晶ディスプレイと変わらない。

 一方、フレームレートを60fpsより上げられる3D対応のPCゲームなどにおいては、120Hz駆動が生きてくる。例えば、フレームレートが120fps出る理想的なPCゲーム環境では、映像を毎秒120フレームで入力し、それをそのまま毎秒120回書き替えの画面に映し出せるため、滑らかな動画表示が行えるのだ。120fpsまで出なくても、60〜120fpsの間のフレームレートが安定して出るようなPCゲーム環境ならば、120Hz駆動の効果は期待できる。

 なお、映像ソースが毎秒60フレームでもW2363D-PFの動画ブレはそれほど気にならない。コンテンツの内容に集中して50センチ〜1メートル程度の距離で視聴するといった一般的なシーンでは、動画ブレが不快に感じることはないだろう。

NVIDIAの3D立体視システム「NVIDIA 3D Vision」にも対応する

 120Hz駆動が威力を発揮するNVIDIA 3D Visionも試用した。NVIDIA 3D Visionは電子シャッター式の3Dメガネをかけて画面を見ることで、ゲーム映像、動画、静止画などを3D立体視化できるシステムだ。利用には、120Hz駆動に対応した液晶ディスプレイと対応GPUが必須となる。現状のNVIDIA 3D Visionはゲーム用途がメインであり、対応ゲームでなくても3D立体視が可能だ(グラフィックスドライバがリアルタイムでNVIDIA 3D Vision用の映像へと変換・表示する)。

 W2363D-PFは画面サイズが23型ワイドと、パーソナルユースの液晶ディスプレイとしては十分な大きさなので、NVIDIA 3D Visionの効果もはっきりと実感できる。また、3Dメガネのシャッター開閉にぴったり映像が合うように、通常120Hzのデータ処理を内部的に172Hzでデータプロセッシングする技術や、クロストーク(右目と左目の映像が重なって画質が下がる現象)の割合を低減する技術も搭載し、より高品位に3D立体視が楽しめるよう工夫している。

 実際、デモ映像や静止画、対応ゲームをいくつか試してみたが、かなり自然な3D立体視であり、臨場感や迫力の高まりは相当なものだ。電子シャッター式の3D立体視なので、利用時は画面の輝度が下がるほか、メガネに画面以外の光が入ってくると、クロストークや画面の乱れが発生するといった問題もあるが、これはW2363D-PFに限った話ではない。NVIDIA 3D Visionの使用感は良好といえる。

 ちなみに、静止画の表示品質はまずまずといったところ。やや発色が浅めで淡泊、暗部が浮き気味という印象は受けたが、TN方式の液晶パネルとしては視野角が広めだ。視野角による色度の変化もTN方式としては小さい部類だろう。グラデーションの表現では、不自然なバンディングは少ないが、微妙に色かぶりした領域が見られた。とはいえ、画像や動画の観賞が中心で、色再現性を求める用途でなければ、実用上は問題ないだろう。

sRGBモードでのモノクログラデーション表示
sRGBモードでのカラーグラデーション表示

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