PCに求めるのは「的確な助言」──Intelの基礎研究に近未来のUIを見た:Intel Developer Forum 2010(1/3 ページ)

» 2010年09月21日 16時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

各種センサーにサービスを組み合わせ、ユーザーのあらゆる情報を把握する

 iPadが、コンシューマーユーザーになかなか受け入れてもらえなかった「タブレット」というカテゴリーをあっさり認知させた理由は、iPhoneなどのタッチセンサー技術とタッチ操作に特化したUIを利用して使いやすいデバイスに仕上げたことが大きい。

 PCや従来の携帯電話の操作に慣れたユーザーに、こうした新しいデバイスの可能性や便利さを文章や写真で説明するのは難しいが、Appleは初代iPhoneの登場からわずか2〜3年でタッチ操作だけのデバイスを「ごく一般的なユーザーインタフェース」として浸透させることに成功した。Apple以外のメーカーから異なるプラットフォームでタッチ操作を主体としたデバイスが大量に登場したことも、iPhoneとiPadのインパクトが大きかったことを示している。

 だが、一方で「タッチ操作最高」的な風潮が、これから登場する新しい技術を阻害しないか心配する声もある。iPhoneとiPadの特徴はタッチスクリーンだけではなく、加速度センサーやGPS、カメラなどの各種センサーやデバイスから得た情報を収集してサービスに反映する仕組みであったりする。これを超える新しい試みの数々はすでに業界全体で始まっている。

 IntelがIDF 2010で訴求した「Context-Aware Computing」(情報認識型コンピューティング)もその1つだ。「Context-Aware」は日本語にしにくい表現だが、「Context」が「意味や文脈、背景」という意味であり、「Aware」が「認識や知覚」を表すと考えれば、「そこにある情報を基にした認識型コンピューティング」となる。

 普段、人がPCを使って行動を起こすとき、そこにはさまざまな情報が関係する。Webページの閲覧履歴であったり、コンピュータにキーボードやマウスを通して入力された文字やカーソル情報などだ。さらに細かくいえば、Webページ閲覧における滞在時間や各画像などのクリック回数、キーボードでいえば文字を入力するスピードやタイミング、入力の“くせ”など。これらを総合すればユーザーが特定できるだけでなく、そのユーザーの嗜好まで明らかになる。その一端はAmazon.comの“おすすめ”機能などですでに利用されている。

Intelの研究開発に関する講演、なると米Intel CTOのジャスティン・ラトナー氏(写真=左)の出番だ。「Personal Vacation Assistant」(以下PVA)と呼ばれる携帯デバイス。ソフトウェアによるサジェスチョン(推薦)機能が特徴だ(写真=右)

 米Intel CTOのジャスティン・ラトナー氏がその実例として紹介したのは、「Personal Vacation Assistant」(以下PVA)と呼ばれる携帯デバイスだ。一見するとただのスマートフォンかMIDのようだが、「サジェスチョン」(お勧め)機能を実装して、ユーザーが観光地などへ行ったとき、初めての場所で道案内をしてくれたり、レストランやお勧めの観光スポットを提案したりと、与えられた条件と取得した位置情報などを細かく分析して最適な場所を探し出す。

 さらに、このPVAでは一歩進んで、「ユーザーの好み」を検索結果に反映する機能を搭載している。例えば、レストラン検索ではユーザーが中華料理好きだとデバイスが把握していれば、お勧めの検索結果も中華を優先して表示させる。これはデバイスそのものよりも、検索サービスが過去の履歴から「デバイスを所有するユーザーの好みを事前に把握」していて、検索結果全体からフィルタリングを行った結果といえる。

 フィルタリングにおける絞り込みでは「GPSによる位置情報」も利用して、近隣の店を優先表示することもできる。「ユーザーの好みというプロファイル情報」「GPSによる位置情報」という2つのデータを組み合わせた認識型コンピューティングでは、このようなサービスを提供できるわけだ。

PVAのメイン画面。GPSによる位置情報付きの地図ナビゲーションが用意されている。旅行者向けのアシスタンス機能がPVAに備わっているが、この旅行者はサンフランシスコに詳しくないため、唯一知っているランドマークの「フェリービルディング」(Ferry Building)の場所を探してもらい、そこまでの経路を表示させる。ここまではごく一般的な携帯ナビの機能と一緒だ(写真=左)。PVAでは、ユーザーの属性(プロフィール)を記録して、それに応じた最適なナビゲーションをサジェスチョン機能を通して提供する(写真=右)

「いま利用できる場所」「明日以降に利用したい場所」のほか、移動距離などを含めた絞り込み検索が可能。レストラン検索ならば、特定ジャンルの指定、あるいは「ユーザーの履歴で推測される好みのジャンル」といったメニューを指定できる(写真=左)。このようにして表示されるサジェスチョンの検索は、ユーザーの好みを反映しているので、それぞれのユーザーによって結果は異なる(写真=右)

2010年6月にComputer History Museumで開催されたResearch@Intelで公開されていたPVA。このときはニューヨーク地区の案内だけだったが、IDF 2010にあわせてサンフランシスコ向けのデータが追加された(写真=左)。PVAで撮影された写真や移動の軌跡は記録されており、あとで自動的にブログにまとめられる。軌跡をGoogle Mapsで確認できるほか、観光名所の関連情報リンクと位置、そこで撮影した写真ライブラリなどが一覧できる(写真=右)

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