日本ヒューレット・パッカードのミニノートPC(いわゆるNetbook)は、型番が4ケタのビジネスモデルと、3ケタのコンシューマモデルに分かれる。ビジネスモデルといっても、大半のモデルは個人でも同社のオンラインストア「HP Directplus」で購入できるし、コンシューマモデルのすべてが量販店の店頭に並ぶわけでもない。
現在、日本HPのコンシューマ向けミニノートPCとして販売されているのは、量販店チャネル向けが「HP Mini 110-3100」、直販向けが「HP Mini 210-2000」となっている。前者が、従来のNetbookのスペックに近い製品であるのに対し、ここで取り上げる後者はスペックをちょっと欲張った製品となっている。
梱包(こんぽう)から取り出したHP Mini 210-2000は、全体のフォルムは直線で構成しながら、エッジやトップカバーのラインに曲線を組み合わせた、なかなか高級感のあるデザイン。色も日本HPがチャコール(Charcoal)と呼ぶ、深いマット調のグレーで、手になじむ感じだ。男性、女性を問わず、万人受けするのではないかと思われる。
大きさは幅が269ミリ、奥行きが193ミリ、厚さが22〜32ミリ。このサイズを2010年春モデルの「HP Mini 210」と比べると、奥行きが14ミリ長くなっている。そのおかげで、本機の標準である6セルバッテリー(11.1ボルト 66ワットアワー)を取り付けた状態で、バッテリーが後ろに飛び出すことがない。バッテリーだけが後ろに突き出ているより、たとえ全体の奥行きが長くなっても、本機のような一体化したデザインの方が、受ける印象ははるかによい。なお、重量はこの6セルバッテリーを含めて約1.38キロとなっており、実測値も1.364キロとほぼピッタリであった。
ACアダプタはサイズが40(幅)×93(奥行き)×30(高さ)ミリと小型だが、電源ケーブルはACアダプタとの接続が3ピンタイプで、太くてかさばる。L字型のウォールマウントプラグが製品に付属するので、持ち運びには電源ケーブルではなく、こちらを活用したい。ACアダプタの重量は電源ケーブル接続時で合計292グラム、ウォールマウントプラグ接続時で合計232グラムだった。
内部的にHP Mini 210-2000が春モデル(Mini 210)から一番大きく変わったのは、CPUにデュアルコアのAtom N550を採用している点だ。動作クロックは1.5GHzと、春モデルに採用されていたシングルコアのAtom N450(1.66GHz)に及ばないものの、Hyper-Threading込みで4スレッド同時実行可能となった利点は大きい。
メモリも動作クロックこそ667MHzで変わらないものの、DDR2からDDR3へと変更され、消費電力が引き下げられた(最大容量2Gバイト)。スペック的にはバッテリー駆動時間が、春モデルの約9.5時間(6セルバッテリー装着時)から約10時間へと30分伸びただけだが、CPUのTDP(熱設計電力)が5.5ワットから8.5ワットへと上がっていることを考えれば、こうした細かな部分で積み重ねは決して小さくないハズだ。HDDは、スピンドル回転数が7200rpmの2.5インチディスクで、容量は250Gバイト(Serial ATA)。HPのミニノートPCの上位モデルは、すべて7200rpmのドライブを採用している。
これまでNetbookというと、シングルコアのAtomをベースにしていたこともあり、YouTube等の動画を見る際も、インストールしたセキュリティソフトの「重さ」によっては、フレームが落ちることもあった。CPUがデュアルコアになったことで、性能面での余裕が生じ、こうした点にあまり気を遣わずによくなったのは素直にうれしい。すべてのフォーマットというわけにはいかないが、一部の高解像度(720p)の動画再生も可能だ。
評価機のスペック | |
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カラー | チャコール(Charcoal) |
CPU | Atom N550(1.5GHz) |
チップセット | Intel NM10 Express |
メモリ | 1GB PC3-10600 DIMM(667MHz動作)/最大2GB |
HDD | Serial ATA 250GB(WD2500BEKT-60A25T1/7200rpm) |
光学ドライブ | オプション(USB接続) |
グラフィックス | Intel GMA 3150(CPU統合) |
グラフィックスメモリ | 最大256MB(メインメモリと共有) |
液晶ディスプレイ | 10.1型ワイド |
画面解像度 | 1366×768ドット |
外部ディスプレイ端子 | アナログRGB出力(D-Sub 15ピン) |
Webカメラ | 約30万画素 |
有線LAN | 100BASE-TX |
無線LAN | IEEE802.11b/g/n(Broadcom 4313) |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR |
オーディオ | HDオーディオ(IDT) |
USBポート | USB 2.0×3(左側面×2、右側面×1) |
カードリーダー | 4 in 1(SD/SDHC/SDHC、MMC、MS/MS PRO) |
指紋センサー | − |
バッテリー | 6セル |
バッテリー駆動時間 | 約10時間 |
本体サイズ | 269(幅)×193(奥行き)×22〜32(高さ)ミリ |
重量(バッテリー含む) | 1.38キロ(実測1.364キロ) |
ACアダプタ(ケーブル含む) | 実測292グラム |
プリインストールOS | Windows 7 Starter |
価格 | 4万9980円(HP Directplus価格) |
もちろん、いくら高解像度の動画といっても、内蔵ディスプレイが対応していなければしょうがない。本機では、10.1型ワイドではあるものの、HD解像度(1366×768ドット)の液晶パネルが採用された。
CPU内蔵グラフィックス(Intel GMA 3150、200MHz)は決して強力ではないものの、従来のNetbookと異なり、CPUの高性能化と合わせて高解像度化しているため、バランスがとれている印象だ(個人的には少し字が小さいと感じるが)。
もう1つの特徴は、ディスプレイが完全に180度まで倒れることで、対面しながらのプレゼンテーション等もやりやすくなっている(コンシューマモデルなのだが)。
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