フルモデルチェンジを果たした「HP Mini 210」のスリムビューティぶりに驚く白銅&facet(1/2 ページ)

» 2010年04月09日 16時45分 公開
[田中宏昌(撮影:矢野渉),ITmedia]

個人向けNetbookがフルモデルチェンジ

新登場の「HP Mini 210」

 3月17日、日本ヒューレット・パッカード(HP)が個人向けNetbookの新モデル「HP Mini 210」を発表した。従来の「HP Mini 110」の後継に当たるモデルで、すでに米国では先行して発表されていたものだ。

 新モデルのポイントは、内部システムを前モデルのAtom N280+Intel 945GSE Expressから、最新世代のAtom N450+Intel NM10 Expressに変更したことと、ボディデザインを改めてスリム化したことにある。さらにキーボードはHP ProBookシリーズと同様の浮き石型(チクレットまたはアイソレーションタイプ)になり、タッチパッドもクリックボタン一体成形のクリックパッドに変更されるなど、細部まで気が配られているのが印象的だ。

 ただ、下表に前モデルとの比較をまとめたが、現行のMini 210はベーシックな下位モデルのみ日本で出荷されており、米国で販売されている1366×768ドット表示に対応した高解像度版(「HP Mini 210 HD Edition」)や、チョウをモチーフにしたデザイナーズモデル「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」は現時点で未発表だ。こちらは、日本市場への早期の投入に期待したいところである。

ファッションデザイナーのヴィヴィアン・タムとコラボした「HP Mini 210 Vivienne Tam Edition」
「HP Mini 1000 Vivienne Tam Edition」に続く第2弾に当たり、今度は“Butterfly Lovers”がモチーフになっている
米国では1366×768ドット表示に対応した「HP Mini 210 HD Edition」が発売済みで、カラバリも赤/青/黒/銀と4色が展開されている


カラバリは1色でZEN-design“facet”を採用

ZEN-design“facet”(フェシット)を採用する

 さて、新モデルを手にして驚くのは、前モデルからグッとスリムになったボディだ。Mini 110は263(幅)×174(奥行き)×28〜33(高さ)ミリと厚みがあったが、Mini 210では268(幅)×179(奥行き)×23.5〜30.5(高さ)ミリと、最薄部が約4.5ミリもスリムになった。底面積は一回り大きくなり、重量も約1.18キロと20グラムほど増加したが、フラットな形状なのでサイズ以上に薄型化した印象だ。

 おなじみのZEN-designは“facet”(フェシット)と呼ばれるもので、格子状のパターンが天面と底面にあしらわれている。カラーはシルバー基調の“白銅”で、前述のように米国でラインアップされているカラーバリエーションは用意されない。

 新採用のボディは液晶ディスプレイ天面だけでなく底面もフラットで、ネジ穴などが一切ない美しい仕上がりだ。天面/底面ともに手の脂や指紋が付きにくいのもうれしいところ。さらに底面カバーは工具を使わずに取り外せ、1基あるメモリスロットや2.5インチHDD(Serial ATA)にも気軽にアクセス可能だ。見た目のデザインと優れたメンテナンス性を兼ね備えたボディとして評価したい。

液晶ディスプレイ天面と底面のカラーは“白銅”、内部がブラックというツートーン仕様だ
底面もフラットで余分な突起は見られない
カバーは多少のコツが必要だがレバー操作で着脱できる。メモリスロットにも容易にアクセス可能だ

従来モデルとの主なスペック比較
モデル名 Studio Tord Boontje 110(白磁/薄紅藤) 210(白銅)
販売チャンネル HP Directplus
ZEN-Design STB(Imprint 3D) uzu/canna facet
カラバリ 白磁(uzu)/薄紅藤(canna) 白銅
CPU Atom N280(1.66GHz) Atom N450(1.66GHz)
チップセット Intel 945GSE Express Intel NM10 Express
メモリ DDR2 1Gバイト(1スロット/空きなし)
HDD 160Gバイト(5400rpm) 250Gバイト(7200rpm)
液晶ディスプレイ 10.1型ワイド(非光沢) 10.1型ワイド(クリアパネル)
画面解像度 1024×600ドット
グラフィックス チップセット内蔵(Intel GMA 950) CPU統合(Intel GMA 3150)
Webカメラ
有線LAN 100BASE-TX/10BASE-T
無線LAN IEEE802.11b/g IEEE802.11b/g/n
Bluetooth Bluetooth 2.1+EDR
バッテリー 3セル(10.8V 28Wh)/6セル(10.8V 55Wh) 3セル(10.8V 2445mAh)
バッテリー駆動時間 約3.75時間(3セル)/約8時間(6セル) 約4.25時間(3セル)/約9.5時間(6セル)
OS Windows 7 Starter
サイズ 263(幅)×174(奥行き)×28〜33(高さ)ミリ 268(幅)×179(奥行き)×23.5〜30.5(高さ)ミリ
重量 約1.16キロ 約1.18キロ
オフィススイート なし/○(2年間ライセンス版)
HP Directplus価格 5万4810円/6万5100円(オフィス付き) 4万9980円/5万9850円(オフィス付き) 4万9980円

クリックボタン一体成型のパッドと浮き石型キーボードを新搭載

日本語85キーボードを採用する。スペースバーの長さは69ミリで、クリックパッドはパームレストの中央部分にある

 ボディだけでなく、一新されたキーボードやタッチパッドにも注目だ。まずキーボードは、同社のHP Pavilion Notebook PCやHP ProBookシリーズと同じアイソレーションタイプ(日本HPでは浮き石タイプと呼ぶ)に変わり、キーピッチも17.6ミリに微増(前モデルは17.5ミリ)した。キー自体は14ミリ×14ミリの正方形で、キーを強く押すとボディ中央部分が若干しなるが、カチャカチャという不快な音も発生しなかった。パームレストも52ミリあるので、小型ボディながら入力環境は悪くない。

 ただ、最下段のキーピッチが14.5ミリとやや狭く、カーソルキーの上下キーが極端に小さくなっていること、デフォルトではファンクションキーが音量調節やメディアコントロールキーに割り当てられている(BIOSセットアップで切り替え可能)のは気になった。

 一方、タッチパッドはクリックパッドと名付けられ、左右のクリックボタンがパッド一体成型になった。形状はアップルのMacBook/MacBook Proシリーズに採用されているものと同じタイプで、1〜3本指でのマルチタッチジェスチャーもサポートする。4本指での操作には非対応だが、パッドのサイズは78(横)×44(縦)ミリとワイドなため、ジェスチャー操作も比較的容易に行える。パッド上にクリックボタンを示すラインが引かれているが、これは蛇足なような気もする。

 ユニークなのは、パッドの左上にパッドのオン/オフ機能が埋め込まれており、ここを押すとLEDランプがオレンジ色に点灯してパッド機能が利用できなくなる(クリックボタンも機能しない)。キー入力時などに重宝する機能であり、同社のこれまでのノートPCで採用され続けてきたパッドのオン/オフ機能が継続しているのは心憎い限りだ。

クリックボタンがパッドと一体成形になったクリックパッドを搭載する。左上にクリックパッド機能のオン/オフボタンがある
出荷状態では、ファンクションキーに音量調整や無線LANの電源スイッチが割り当てられている
ラッチレスのボディで、液晶ディスプレイは約135度まで開く

クリックパッドにはシナプティクス製の多機能ドライバが導入済みだ
つまみズームやピボットローテーションといったマルチタッチ操作にも対応する
3本指の操作もサポートしており、3本指を置くと任意のアプリケーションを起動できる

 インタフェースは、配置こそ変更されたが従来モデルを踏襲している。左側面にDC入力、アナログRGB出力、排気口、HDDアクセスランプ、USB 2.0、マイク/ヘッドフォン端子が並び、右側面にSDHC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード/MMC対応メモリカードスロット、電源ボタン、2基のUSB 2.0、100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LAN、ケンジントンロックホールが用意される。

前面下部にステレオスピーカーを内蔵する(写真=左)。背面はバッテリーのみで、コネクタは用意されない(写真=右)

インタフェースは両側面に割り振られている。左側面にHDDのアクセスランプがあり、アクセス中は白色に光る(写真=左)。電源スイッチは右側面にあり、有線LAN端子はゴムカバーで保護されている(写真=右)

 次のページでは液晶ディスプレイの品質や、新プラットフォームの性能をチェックする。

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