8月27日に日本ヒューレット・パッカード(HP)が発表した「HP Mini 5101 Notebook PC」は、同社の低価格ミニノートPC「HP Mini 2140 Notebook PC」の後継となるビジネス/SOHO向けの新モデルだ。下の囲みにあるように、HP Mini 2140はアルマイト(陽極酸化)加工とヘアライン処理を施したアルミニウムとマグネシウム合金を採用した金属感あふれるボディを筆頭に、1366×768ドットの高解像度液晶ディスプレイやインテル製の高速SSDを搭載することで、同ジャンルの中で異彩を放つ人気モデルとなっていた。そのような中、日本HPが新たに投入したHP Mini 5101は、上記のポイントを引き継ぎながら、ボディデザインを一新してさらなる堅牢性や携帯性のアップを図った意欲作だ。
既報の通り(1366×768ドット液晶やギガビットLAN搭載の「HP Mini 5101 Notebook PC」が登場)、現状のラインアップはストレージが異なる2モデルのみで店頭販売モデルは用意されていないが、従来モデルの価格を維持しながら随所でスペックアップが施されているのは好印象だ。ここでは、ベンチマークテストを中心に、実際の使用感をチェックしよう。
1366×768ドット液晶やギガビットLAN搭載の「HP Mini 5101 Notebook PC」が登場
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HP Mini 5101 Notebook PCシリーズの主なスペック | ||
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モデル | SSDモデル(VS587PC#ABJ) | HDDモデル(VS586PC#ABJ) |
CPU | Atom N280(1.66GHz) | |
チップセット | Intel 945GSE Expres | |
メモリ | DDR2 2Gバイト | |
メモリースロット | 200ピンSO-DIMM×1(空きなし) | |
ストレージ | 128Gバイト | 160Gバイト(7200rpm) |
液晶ディスプレイ | 10.1型ワイド非光沢 | |
画面解像度 | 1366×768ドット | |
グラフィックス | Intel GMA 950 | |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト2.0準拠) | |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | |
有線LAN | ギガビット対応 | |
メモリカードスロット | MMC/SDHC対応SDメモリーカードスロット | |
Webカメラ | ○ | |
スピーカー | 内蔵ステレオ | |
バッテリー | 4セル(リチウムポリマー)/6セル(リチウムイオン) | |
バッテリー駆動時間 | 約4.5時間(4セル)/約9時間(6セル) | |
ボディサイズ | 262(幅)×180(奥行き)×23.2〜31(高さ)ミリ | |
重量 | 約1.2キロ(4セルバッテリー装着時) | |
OS | Windows XP Professional(SP3)※Windows Vista Businessダウングレード | |
HP Directplus価格 | 7万9800円 | 6万9930円 |
従来モデルはシルバー調で金属感あふれるものだったが、新モデルでも液晶ディスプレイ天面部分はアルミニウム合金、キーボード面と底面はマグネシウム合金を導入しながら、塗装を工夫することでデザイン的な汎用度を高めている。丸みを帯びた前モデルから、直線が基調になってすっきりした印象だ。パームレストや底面部分はラバーコーティングがなされ、液晶ディスプレイ天面部分はアルマイト加工で耐摩耗性を高めながら金属感を残している。ただ、天面部分は手の脂などが目立ちやすく、これまで以上に汚れが落ちにくいのは残念だ。
一方で液晶天面部分は面加圧で500キロfに耐えられるとのことで、上位シリーズ「EliteBook」の800キロfにはかなわないものの、ビジネス向けエントリーモデルの「ProBook」シリーズを上回る堅牢性を備えているのは間違いない。ちなみに、現時点でボディカラーはブラックのみで、ProBookで人気を集めているワインレッド調の“メルロー”の追加も期待したいところだ。
インタフェースは、ExpressCardスロットの代わりにMMC/SDHC対応SDメモリーカードスロットを搭載し、USB 2.0ポートが2基から3基に増加して利便性が増した。ハードウェアによる無線LANの電源スイッチも用意されており、使い勝手は良好だ。左側面にあるDC入力の脇にはバッテリーの充電状況が分かるLEDランプがあり、一目で状態を確認できる(消灯時は100%充電、90%以上でブルー、90%未満はオレンジ)。また、約1.5時間で90%まで高速充電する「HPファスト・チャージ・テクノロジー」を採用しているのも心強い。ただ、HDDのアクセスランプが前面左側にあり、使用時は左手に隠れてしまい確認しづらかった。
液晶ディスプレイは10.1型ワイドと変わらないが、新たに非光沢タイプになったのがポイントだ。HP Mini 2140が備えていたアクリル樹脂プロテクション・パネル(HPスクラッチ・レジスタント・ディスプレイ)がなくなって外光の反射がなくなり、長時間作業しても目が疲れにくくなったのはビジネス向けモデルでは重要だ。ただし、液晶ディスプレイの枠が光沢タイプなので、やや光を反射しやすい傾向にあった。
画面解像度は1366×768ドットと、以前の高解像度モデルのみになった。BTOでも解像度は選択できないが、1024×600ドットのディスプレイも搭載可能とのことで、一括導入などを考えている場合は同社に相談してみるとよいだろう。
ディスプレイの輝度は11段階に切り替え可能で、明るすぎることもない。気になったのは視野角で、正対して使う分には問題ないのだが、左右方向では色が反転しがちであり、上下方向はさらに狭めだ。そのうえ、液晶ディスプレイが130度前後までしか開かないので、ヒザのうえで本機を使うと画面が白っぽく見えてしまった。
キーボードとタッチパッドの変更も、従来機から大きくメスが入れられた部分だ。従来モデルではキーピッチが約17.5ミリ、キーストロークが約2ミリであったが、本機ではキーピッチが約18.1ミリに拡大した(キーストロークは約2ミリのまま)。これまではキートップ自体が16.5ミリの正方形であったが、ProBookシリーズと同じキャラメル型キーボードになりキートップこそ14ミリの正方形に小型化したものの、キートップの間隔が4ミリほど空いているので、ミスタイプの可能性が極端に減った。パームレスト面も奥行きが54ミリと、ボディサイズの割にゆとりがある。
「1」「^」「\」といったキーのサイズが横11.5ミリと短めなのは気になるが、キーの配置で不規則な並びはなく、デスクトップPCやA4サイズのノートPCからの移行もスムーズに行えるだろう。キー入力時にカチャカチャという音がするのは耳についたものの、キーを強く押してもユニットがしなることはなかった。防水効果の高い「スピルレジスタントキーボード」と、キートップの刻印がはげにくい「HP DuraKeys」も健在だ。なお、キーボード上部にある2つのワンタッチボタンはInternet Explorer 6.0とOutlook Expressに割り当てられており、ユーザーのカスタマイズには対応しない。また、残念ながら、現状では英字キーボードは選択できず、日本語配列のみの提供となる。
光沢仕様のタッチパッドは、クリックボタンの位置が左右から一般的なタッチパッドと同じ下側に移ったのが見逃せない。そのぶん、ボディの奥行きが伸びたが、タッチパッドは63(幅)×34(奥行き)ミリとワイドで、シナプティクスの多機能ドライバも導入済みだ(多彩なジャスチャー機能は備えていない)。非常に素直なタッチパッドなのだが、パッド面が光沢仕様のため、液晶ディスプレイ天面部分と並んで汚れが目立ちやすく、指が滑りにくいのはいただけない。好みが大きく分かれる部分だけに一概に判断しにくいのだが、スクロール時に抵抗感が大きい(滑らかに動かない)のにはストレスを感じた。
次のページでは、ユーティリティを使って本機のスペックを確認し、バッテリー駆動時間やパフォーマンスをチェックしよう。
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