2007年末に登場したASUSTeKの「Eee PC」に続き、日本国内で低価格ミニノートPCの火付け役となったのが、日本ヒューレット・パッカード(HP)の「HP 2133 Mini-Note PC」だ。アルミニウムとマグネシウム合金を採用した金属感あふれるボディはそのままに、プラットフォームをVIAからインテルに切り替えた新モデル「HP Mini 2140 Notebook PC」が2月26日、直販の「HP Directplus」で発売された。発表当初は3月上旬発売となっていたが、予定が繰り上がったという。ここでは、一足先に試作機を入手できたので、従来モデルから何が変わって、何が変わらなかったのかを見ていこう。なお、試作機ゆえ製品版とは若干異なる可能性がある点は注意してほしい。
さて、従来機の2133と新モデル2140の違いを下記の表にまとめた。ポイントはシステムがVIAベースからインテルのAtomベースになったこと、液晶ディスプレイが大画面になったこと、OSが変更されたことだ。
HP Mini Notebook PCシリーズの主なスペック | |||
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モデル | Mini 2140 | 2133 ハイパフォーマンスモデル | 2133 スタンダードモデル |
CPU | Atom N270(1.6GHz) | VIA C7-M ULV 1.6GHz | VIA C7-M ULV 1.2GHz |
メモリ | DDR2 1Gバイト | DDR2 2Gバイト | DDR2 1Gバイト |
メモリースロット | 200ピンSO-DIMM×1(空きなし) | ||
HDD | 160Gバイト(7200rpm) | 160Gバイト(5400rpm) | 120Gバイト(5400rpm) |
液晶ディスプレイ | 10.1型ワイド | 8.9型ワイド | |
画面解像度 | 1024×576ドット | 1280×768ドット | |
グラフィックス | Intel GMA 950 | VIA Chrome9 HC(チップセット内蔵) | |
無線LAN | IEEE802.11g/b | IEEE802.11a/g/b | IEEE802.11g/b |
Bluetooth | − | Bluetooth 2.0+EDR | − |
有線LAN | ギガビット対応 | ||
メモリカードスロット | SDHC対応SDメモリーカードスロット | ||
ExpressCardスロット | ExpressCard 54/34対応 | ||
Webカメラ | ○ | − | |
スピーカー | 内蔵ステレオ | ||
バッテリー | 3セル | 6セル+3セル | 3セル |
バッテリー駆動時間 | 約4.5時間(3セル)/約9時間(6セル) | 約2.3時間(3セル)/約4.6時間(6セル) | |
ボディサイズ | W261×D166×H27.2〜35.5ミリ | W255×D166×H27.2〜35.5ミリ | |
重量 | 約1.19キロ(3セル)/約1.35キロ(6セル) | 約1.27キロ(3セル)/約1.44キロ(6セル) | |
OS | XP Home(SP2) | Vista Business(SP1) | Vista Home Basic(SP1) |
XPダウングレード権 | − | ○ | − |
HP Directplus価格 | 6万4890円 | 6万4680円 | 4万4730円 |
このうち見逃せないのは、CPUがVIAの超低電圧版C7-MからAtom N270(1.6GHz)に、チップセットもVIA VN896からIntel 945GSE Expressになったことだ。モバイル向けとはいえ、これまでのハイパフォーマンスモデル(VIA C7-M ULV 1.6GHz)は発熱が激しく、ボディ全体が熱を帯びたほか、冷却ファンの風切り音が耳障りだった。それに対しAtomを搭載した2140では、アイドル状態やメールの送受信程度ならファンの風切り音が気になることもなく、ボディの発熱も控えめになった。試しに3DMark05のデモ画面をループさせたところ、3回目で冷却ファンが高速に回転し始めた。ただ、負荷がかからなくなるとすぐにファンの回転が収まり、手の触れる部分で35度を超える部分は見当たらず、底面も40度を超えるところはなく(室温は25度)、高負荷時で45度を越える部分があった従来モデルから劇的な改善が見られた。
同時にパフォーマンスやバッテリー駆動時間の向上もめざましいものがあり、PCMark05の総合スコアは約1.66倍(HP 2133 ハイパフォーマンスモデルのWindow XP環境との比較)に跳ね上がった。具体的な数値は下のグラフにまとめたが、CPUは1.49倍、Memoryは2.16倍、Graphicsが1.86倍にまで引き上げられた。HDDは2.5インチの9ミリ厚のままだが、回転数が5400rpmから7200rpmに高速化したので、テストスコアは1.14倍となっており、あらゆる面でスピードアップを実現した格好だ。
グラフィックス関連では、2133の画面解像度(1280×768ドット)に合わせるため、2140を外部ディスプレイに接続して計測したところ、3DMark05のスコアで1.11倍、CPUは1.5倍となった。ちなみに、HPのニュースリリースでは「従来モデル(HP 2133)よりプロセッサーで約2.3倍、HDDで約2倍に処理速度が向上しました」としている。計測方法の詳細が不明なため直接の比較はできないが、いずれにしても新モデルでは処理性能がアップしているのは間違いない。
一方のバッテリー駆動時間は、海人氏作の BBench V1.01を使って検証した。設定条件は、液晶ディスプレイの輝度を最高に、電源設定をポータブル/ラップトップにし、Web巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオン(Bluetoothの電源もオン)にしたところ、標準の3セルバッテリー(10.8ボルト 28ワットアワー)で約2時間15分、オプションの大容量6セルバッテリー(10.8ボルト 55ワットアワー)で約5時間19分で残量がゼロになった。このあたりの値はほかのNetbookと大差ないが、発売時点で大容量バッテリーが用意されていること、従来モデルのバッテリーが流用できることなどはアドバンテージだ。
次のページでは、内部システムやパフォーマンス面以外の部分をチェックしよう。
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