年の初めは“Sandy Bridge”をグリグリと走らせたイマドキのイタモノ(1/5 ページ)

» 2011年01月03日 14時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

32ナノプロセスの新世代アーキテクチャとは

 “Sandy Bridge”は、Coreマイクロアーキテクチャとしては3世代目となる次期Core iシリーズだ。Intelの開発サイクル「Tick・Tock」モデルにおける「Tock」のターンにあたる。「Tick」が新しいプロセスルールの導入であるのに対し、Tockは新しいマイクロアーキテクチャを導入する。その“しきたり”通り、Sandy Bridgeでも、2010年に登場したWestmere世代と同じ32ナノメートルプロセスルールを継続しつつ、新しいマイクロアーキテクチャが導入された。

 Sandy Bridgeで導入される新しい機能やWestmere世代からの変更点は、すでに2010年のIDFなどで紹介されているが、インテルの“正式発表”までにSandy Bridgeについて明らかになっていることをもう一度まとめておこう。

 Sandy Bridgeで強く訴求されているのが、CPUコアと同じダイに統合される新しいグラフィックスコアの機能と性能だ。従来、チップセット(ノースブリッジ)に統合されていたグラフィックスコアはWestmere世代でCPUパッケージ内にオンチップという形で統合され、Sandy Bridge世代ではCPUダイの中に統合される。

メモリコントローラ、PCI Express x16インタフェースに続き、グラフィックスコアもダイレベルで統合される

 グラフィックスコアは、第2世代に進化してWestmere世代のモバイル向けCPU“Arrandale”のようにグラフィックスコア側でもTurbo Boost Technologyに相当する機能が利用できる。システムの発熱が低く、かつ、グラフィックス処理負荷が高いアプリケーションが有効になっている場合にグラフィックスコアの動作クロックが引き上げられパフォーマンスが向上する。また、従来のIntel HD Graphicsでソフトウェア対応だったH.264とMPEG-2のエンコードや、HD動画のビデオプロセッシング処理がハードウェアで高速に実行できるようになった。

 2010年のIDFでは、ダイ内部で各ユニットを接続するインナーコネクトにリングバスを採用することも明らかにされている。リングバスはシステムエージェント、ラスト・レベル・キャッシュ(LLC=従来の3次キャッシュメモリに相当する)、そして、グラフィックコアを接続する。このリングバスは2重で、各ストップごとにイン・アウトが可能とされる。単純な一方通行のリングバスでは、隣接するブロックへアクセスするのに逆方向で1周近くかかってしまう可能性があるが、Sandy Bridgeのリングバスなら、どのブロックへのアクセスでも最短距離で行われる。なお、このリングバスはCPUと同じクロックで動作するので、高クロックなCPUほど広い帯域が確保できることになる。

ダイレベルでグラフィックスコアを統合したことで、グラフィックスコア側でもTurbo Boost Technologyと同様の動作クロックの引き上げが可能になる(写真=左)。Clarkdaleではソフトウェアで行っていたビデオプロセッシング処理とエンコード処理がSandy Bridgeからハードウェアで対応する(写真=右)

 Turbo Boost Technologyも第2世代に進化する。従来との違いの例として、インテルはアイドル直後の動作を取り上げているが、この場合、アイドル状態から復帰直後で“冷えている”CPUコアが“暖まるまで”、Turbo Boost Technologyの上限を超えた動作クロックを許可する。

 また、“Sandy Bridge”世代から「Intel AVX」命令セットが利用できるようになる。Intel AVXは256ビットに拡張された浮動小数点演算命令で、ベクトル演算の処理性能を向上させる。ただし、この命令セットはWindows 7でサポートされず、Windows 7のServicePack 1が登場してから利用できるようになるという。

Turbo Boost Technologyは2.0へ世代が上がり、より“インテリジェント”な挙動が可能になった(写真=左)。浮動小数点演算やベクトル演算を強化する命令セット「Intek AVX」が導入される(写真=右)

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