GeForce GTX 560 TiのポジションはGeForce GTX 460の上、というよりもベースとなるGPUがGeForce GTX 460そのものといってもいいだろう。GeForce GTX 460が登場したとき、ストリームマルチプロセッサ(SM)数が「7」と微妙だったことに違和感を覚えたユーザーも多い。GeForce GTX 560 TiではこのSM数が「8」になる。このあたり、GeForce GTX 480とGeForce GTX 580の関係に近いものがある。
GeForce GTX 560 TiでSM数が1つ増えたことに合わせて、CUDAコア数も384基、テクスチャユニット数が64基と増加している。また、動作クロックも引き上げられており、コアクロックが823MHz、メモリクロックは1GHzとなる。ただし、これはリファレンスデザインの設定で、グラフィックスカードベンダーから登場する製品のほとんどがオーバークロックモデルといわれている。GeForce GTX 460がそうであったように、GeForce GTX 560 Tiでもオーバークロックマージンが大きくとられている。
| 型番 | GeForce GTX 560 Ti | GeForce GTX 460(1GB) | GeForce GTX 460(768MB) | GeForce GTX 480 | GeForce GTX 470 |
|---|---|---|---|---|---|
| 開発コード名 | GF114 | GF104 | GF104 | GF100 | GF100 |
| GPC | 2 | 2 | 2 | 4 | 4 |
| SM | 8 | 7 | 7 | 15 | 14 |
| CUDA Core | 384 | 336 | 336 | 480 | 448 |
| テクスチャユニット | 64 | 56 | 56 | 60 | 56 |
| ROPユニット | 32 | 32 | 32 | 48 | 40 |
| GPUクロック | 823 | 675 | 675 | 700 | 607 |
| シェーダークロック | 1646 | 1350 | 1350 | 1401 | 1215 |
| テクスチャフィルレート | 52.6 | 37.8 | 37.8 | 42 | 34 |
| グラフィックスメモリクロック | 1000 | 900 | 900 | 924 | 837 |
| グラフィックスメモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
| グラフィックスメモリ接続バス幅 | 256 | 256 | 192 | 384 | 320 |
| グラフィックスメモリ帯域幅 | 128 | 115.2 | 86.4 | 177.4 | 133.9 |
| グラフィックスメモリ容量 | 1024 | 1024 | 768 | 1536 | 1280 |
| 2次キャッシュメモリ | 512 | 512 | 384 | 768 | 640 |
| 最大消費電力 | 170 | 160 | 150 | 250 | 215 |
| 補助電源レイアウト | 6+6 | 6+6 | 6+6 | 8+6 | 6+6 |
| DirectXサポート | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 |
| OpenGLサポート | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 4.1 |
| PCI Express | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
| トランジスタ数 | 19.5 | 19.5 | 19.5 | 30 | 30 |
| プロセスルール | 40 | 40 | 40 | 40 | 40 |
| Thermal Threashold | 100 | 104 | 104 | 105 | 105 |
そのほかで注目したいのが消費電力だ。ただし、減ったのではなく、GeForce GTX 460(グラフィックスカード1Gバイトモデル)の160ワットに対して170ワットと増えている。ただし、外部補助電源用のコネクタは6ピン×2基のままだ。なお、Thermal ThreasholdはGeForce GTX 460の104度から100度へ下がっている。GeForce GTX 480からGeForce GTX 580でも下がったのと同様、消費電力(熱設計)の最適化が行われているとみられる。
今回、評価作業で用意したGeForce GTX 560 Ti搭載グラフィックスカードは、MSIの「N560GTX-Ti Twin Frozr II OC」とZOTACの「ZOTAC GeForce GTX 560 TI OC 1GB DDR5」だ。N560GTX-Ti Twin Frozr II OCは、静音性能と優れたOC性能で人気のオリジナルクーラーユニット「Twin Frozr II」を搭載するハイエンドモデルになる。当然ながら、オーバークロック設定が施されており、コアクロックが880MHz、グラフィックスメモリクロックが1050MHzに引き上げられている。
ZOTAC GeForce GTX 560 TI OC 1GB DDR5(ZT-50303-10M)は、シングルファンだがこちらもオリジナルデザインのクーラーユニットを採用する。ZOTACカラーの黄色いメッシュが特徴で、内部には銅製ヒートパイプが確認できる。オーバークロックは、コアクロック側のみ850MHzへ引き上げられている。


MSIの「N560GTX-Ti Twin Frozr II OC」(写真=左、およびZOTACの「ZOTAC GeForce GTX 560 TI OC 1GB DDR5」(写真=中央)。なお、発表直後にリリースされる製品だが、2つの製品で基板レイアウトが異なる(写真=右)。各社がオリジナル設計基板、オリジナルクーラー、そしてオーバークロックモデルを投入する見込みだ
「N560GTX-Ti Twin Frozr II OC」(写真=左)、および、「Zotac GeForce GTX 560 TI OC 1GB DDR5」(写真=右)のステータスをGPU-Zで確認する。MSIはリファレンスからコアが約60MHzアップ、グラフィックスメモリで約50MHz(200MHz相当)のアップ。ZOTACもコアで約30MHzのアップだ

SLIコネクタは1基(写真=左)。2-wayまでのSLIをサポートするが、これはGeForce GTX 460と同様だ。外部補助電源用コネクタは6ピン×2基で後方に配置される(写真=中央)。ディスプレイ出力はどちらもDVI×2、およびMini HDMI。これはGeForce GTX 560 Tiのリファレンスデザインと共通する(写真=右)Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.