4月中旬にインテル製の修正済みSandy Bridgeマザーが出回るようになり、2月から続いたP67/H67マザーの販売見合わせという落とし穴から完全に脱した感のあるアキバ。大震災後の往来の落ち込みも、4月上旬の反動を含めて元に戻り、大型連休前には万全に近い状態となっていた。某ショップは「電気街の状態でいえば、ようやくさまざまなアクシデントに耐える時期が終わって、その分を取り戻す動きが出てきたかなと思います」と話している。
その傾向を後押しするように、4月28日、末広ビル1階に新ブランドのPCパーツショップ「PC DIY SHOP FreeT」がプレオープンし、翌29日から通常営業を始めた。
PC DIY SHOP FreeTは、2010年11月末に閉店したT-ZONE.PC DIY SHOPのスタッフのうち13名が集まって立ち上げた店舗で、店内も同店のカラーを色濃く残すPOPやレアアイテムでいっぱいになっていた。同店の猪狩氏は「スタッフの持つ知識とニッチで新しい需要にも対応できる品ぞろえを付加価値として、お客さんに喜んでもらえるショップを目指します」と意気込みを語る。
周囲のPCパーツショップも新店舗を歓迎する声が多く、「特色のあるショップが増えるのは、アキバのなかでPCパーツの存在感を示すうえでも嬉しいですね。彼らなら個性的な店舗にしてくれると思います」(ドスパラ パーツ館で働く元T-ZONEスタッフ)と、“自作の街”としての活性化を期待されている。
一方で、29日にはドスパラ アキバ店がスマートフォンやタブレットPCを中心に扱う「ドスパラ モバイル館」に、GENO OUTLETがモバイル機器をメインとする「GENO Mobile」にそれぞれリニューアルするなど、新たなジャンルの店舗も増加している。ドスパラのスタッフは「Androidケータイの盛り上がりもあって、スマートフォンなどのマニアックなアイテムを求める人も増えています。そうしたニーズに応えられる街でありたいんですよね」と語っていた。
1カ月を通して高い人気を維持していたのは、Mini-ITXマザーだ。特にCPUとGPUを融合したAMDのプロセッサーを搭載するFusionマザーは、複数のショップで同ジャンルの売れ筋となっている。
クレバリー1号店は「Mini-ITXマザーは2008年にAtomマザーが登場してからメジャーになった感があります。その後もAtomや、AtomにNVIDIAのグラフィックスを組みあわせたIONマザーが定番の地位にいましたが、2月に登場したFusionマザーがじわじわ評価を高めてきて、今ではすっかり主力となっていますよ。やっぱり消費電力が低くて、マザー自体も1万円ほどと安い。それでいて、ちょっとしたゲームなら十分楽しめる性能があるという、弱点のない構成ですからね」と解説する。
4月に入ってからも、初旬にSapphireとMSI、GiadaのFusionマザーが一斉に登場。型番と価格は、順にSapphire製が「PURE WHITE FUSION E350」で1万3000円弱、MSIは「E350IA-E45」で1万4000円弱、Giadaは「MI-E350 JHS325-10」で1万3000円弱となる。
それぞれFusion APU E-350やSATA 3.0ポートを搭載している。違いについて、ツートップ秋葉原本店は「PURE WHITE FUSION E350は標準的な構成で、x4動作のPCI Express x16スロットを備えています。E350IA-E45は加えて、USB 3.0ポートも用意しているのが主な違いでしょうか。MI-E350 JHS325-10はmini PCI ExpressスロットとSO-DIMMスロットを備えています。ノートPC向けパーツは流通量が少ないので好みを分けますが、コンパクトに機能を拡張できるので確かなニーズはありますね」と説明する。
こうした新モデルが登場しても、Fusionの人気ナンバーワン製品は、すでに出回っているASUSTeKの「E35M1-M PRO」と答えるショップが多かったが、4月後半にはそのライバル的なモデルもデビューした。ECSの「HDC-I2」で、価格は1万2000円前後。
E35M1-M PROとの共通点は、ファンレス構成を採用しているのと、拡張スロットにPCIスロットを用意している点だ。パソコンハウス東映は「小型マシンにPT2を挿して使いたいという人が多く、PCIスロット対応のFusionマザーが飛ぶように売れます。HDC-I2はSATA 3.0非対応という弱点もありますが、値段も安めなので、分かったうえで購入する人が多いです」と話していた。
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