“Core i7+256Gバイト”の11インチMacBook Airは買いなのかAirレビュー追補編(2/3 ページ)

» 2011年08月03日 14時00分 公開

Windowsの定番ベンチマークテストで実力診断

 Windows 7環境で定番ベンチマークテストのPCMark05、PCMark Vantage、3DMark06、CrystalDiskMark 3.0.1を実行した。

 PCMark05はCPUとメモリの差により、新型11インチ下位機のMC968J/Aよりワンランク上のスコアを獲得している。旧型11インチ下位機のMC506J/Aとの比較では、CPUスコアで約2.5倍、Memoryスコアで約2.8倍ものスコアアップが見られた。スペックの差が小さい新型13インチ下位機(MC965J/A)とは近い値になったが、それでも明確な性能向上が確認できる。PCMark Vantageも同様の傾向にあり、もともとSSDによって高スコアが出やすいテストということもあるが、PCMarkで11871という好成績が得られ、全項目でトップに立った。

 DirectX 9.0c世代の3D描画性能テストである3DMark06では、旧型11インチモデルのGeForce 320Mがやはり首位だが、CPU内蔵グラフィックスながらスコアは肉薄し、Intel HD Graphics 3000も健闘している。CPUスペックの差によって、新型MacBook Air間では小差ながら、ほかのモデルを上回った。

 ストレージの読み出し/書き込み速度を計測するCrystalDiskMark 3.0.1では、今回テストした3台の新型MacBook Airがすべて同世代のSamsung製フラッシュストレージを搭載していたため、ほぼ横並びの結果だ。テスト項目によって、順位が多少入れ替わっているが、CrystalDiskMarkはスコアが多少ばらつくテストなので、体感的には同レベルといえる(今回は5回テストした平均値を採用)。いずれもモバイルノートのストレージとしては優秀だ。

PCMark05のスコア(グラフ=左)、PCMark Vantageのスコア(グラフ=右)

3DMark06のスコア(グラフ=左)、CrystalDiskMark 3.0.1のスコア(グラフ=右)

バッテリー駆動時間もテスト

 ハイスペックな構成としたことによるバッテリー駆動時間への影響も調べてみた。OS X Lionでは、画面輝度を最大、キーボードのバックライトをオフに固定し、1分間の動画(.mov)をQuickTime Playerで全画面再生し続け、バッテリーが切れるまでの時間を手動で計測。Windows 7では「BBench 1.01」(海人氏作)を導入し、画面輝度を最大に固定し、10秒ごとにキーボードを押下、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11n)によるインターネット巡回を行う設定でテストした。室温は28〜29度だ。いずれもやや厳しい条件といえる。

 OS X Lion環境における動画再生テストの結果は3時間35分だった。新型11インチ下位機(MC968J/A)は3時間24分、新型13インチ下位機(MC965J/A)は5時間55分という結果で、スペックが低いMC968J/Aよりバッテリー駆動時間がわずかに長かった(新型11/13インチ下位機のテスト結果は前回のレビューより長いが、今回はハイエンド構成の11インチモデルと条件をそろえて再テストしている)。といっても、これは測定誤差程度の違いで、実用でのバッテリー駆動時間はほぼ同じといえる。

 Windows 7環境におけるWebサイト巡回テストの結果は2時間25分だった。新型11インチ下位機(MC968J/A)は2時間29分、新型13インチ下位機(MC965J/A)は3時間15分という結果で、こちらも11インチ下位機とほぼ変わらない。少なくとも今回テストした環境下では、ハイエンドな構成にしたことによるバッテリー駆動時間への悪影響はほとんどないという結果になった。

 なお、このテストではバッテリー容量で有利な13インチモデルとの差が大きく開いている。バッテリー駆動時間を考慮して選ぶならば、13インチモデルの優先順位が高くなるだろう。いずれにせよ、内蔵型で交換や増設ができないMacBook Airのバッテリーは、見た目に美しい半面、出張などで長時間バッテリー駆動を行う利用シーンではやはり物足りなさも感じる。

バッテリー駆動時間の計測値。OS X Lion環境における動画再生テストの結果(グラフ=左)、Windows 7環境におけるWebサイト巡回テストの結果(グラフ=右)

熱しやすく冷めやすいヒートシンクボディ

高負荷時はパームレストも含めてボディ全体が温まる

 テスト時の放熱性や静音性についても触れておきたい。MacBook Airは薄型のアルミボディを採用し、いわばボディ全体がヒートシンクの役割も果たしている。そのため、BBench以外のベンチマークソフトを実行すると、ボディ全体が発熱し、操作時に手が触れるパームレストも温まってくるのは気になった。これはMacBook Airに限ったことではないが、ACアダプタも高温になる点(今回のテスト中は50度を超えた)は注意したい。

 特に2011年の夏は節電意識の高まりから、例年よりエアコンの温度設定が高い環境が多いだろう。こうした温度が高めの室内で快適に長時間使いたい場合は、ノートPC用の冷却スタンドなどを使うのも手だ。また、扇風機の風を首振り設定で手元に当てるだけでもかなりクールに使える。

 冷却ファンのノイズについては、低負荷時ではほとんど回転せず、排気口が背面に隠れていることもあり、エアコンなどの家電が動作している室内では気にならない。システムに負荷をかけるとファンが回転し、ベンチマークテスト実行時などではさすがに高速回転する。今回入手した11インチモデルではファンノイズに異音などが混じることはなく、耳障りな音質ではないが、風切り音自体はかなり大きかった。これだけの薄型軽量ボディなので、放熱面については仕方がないところだ。

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