自作PCの万能ぶりを地道に示した7月のアキバ5分で分かった気になるアキバ事情(1/2 ページ)

» 2011年08月10日 11時33分 公開
[古田雄介(ぜせ),ITmedia]

「まさかここまで動きがあるとは」――地デジチューナー需要が急増

地アナ終了の2日前。ソフマップ秋葉原本館に置かれていたパネルを撮影した

 7月24日正午に、岩手と宮城、福島の3県を除いて地上アナログ放送が終了した。その直前の1カ月は、家電量販店と同じように、アキバのPCパーツショップにも地デジ化を求める人が殺到。地デジチューナーカードやユニットをからめた各店舗のキャンペーンには、大きな反響があったという。ツートップ秋葉原本店は「盛り上がりはじめたのは6月後半で、ラスト1週間の伸びがすごかったです。終了後はある程度落ち着いたものの、正直ここまでとは思いませんでした」と振り返る。

 PCで地デジ視聴環境を整える場合、拡張スロットに余裕があればチューナーカード、ノートPCなどで追加するならUSB接続のチューナーユニットをそろえればいい。チューナーカードの増設となると、自作未経験者のハードルは少し上がってしまうが、どちらのタイプも偏りなく売れたと答えるショップが多かった。

 TSUKUMO eX.は「外付けでも内蔵でも、せっかくPCを地デジ化するならより高性能をということで、デジタル3波対応のマルチチューナー搭載型を選ぶ人が多いです。『テレビはテレビで地デジ化しているけど、せっかくだからPCも』という感じで買われるわけです」と語る。

 ただし、それは“分かっている人”の傾向とのことだった。PC用とテレビ用のチューナーを混同したまま来店する“分かっていない人”も多かったそうだ。同店は「アナログテレビ用のチューナーユニットを求めて来る方が本当に多かったですね。おそらく、近所の家電量販店で品切れになったから、アキバの奥に探しにきたという流れだと思います。でも、残念ながらウチの取り扱いではニーズを満たせないんですよね・・・…」と複雑な心持ちを吐露する。

 3月11日の震災後も、PCパーツショップには乾電池やガイガーカウンターなどを求める人が多数訪れ、一部の店舗では一時的にそれらを取り扱うようになった。しかし、テレビ用のチューナーを扱う動きはあまり見られなかった。某ショップは「今回は予想以上に反響がありましたけど、震災のときと違って先が見えていますから。我々がチューナーを調達できるころには、量販店さんがもうそろえているでしょうし」と話していた。

パソコンショップ・アークの地デジ化キャンペーン(写真=左)。ツートップ秋葉原本店のキャンペーン。2日前には在庫が底をついたという(写真=中央)。同店のチューナーコーナー。全品品切れまではいかないが、総じて在庫が薄くなっていた(写真=右)

Mini-ITXサイズとPCI Express 3.0サポートのZ68マザーが登場

ASRock「Fatal1ty Z68 Professional Gen3」

 夏休みシーズンの7月後半以降は、例年どおりマシン一式のパーツを求めるユーザーが増えている。その中で最もヒットしているマザーは、ほとんどのショップでZ68チップセット搭載タイプとなっているそうだ。Core i Kシリーズのクロック倍率変更や内蔵GPUの活用、SSDをHDDのキャッシュに使う「スマートレスポンステクノロジー」など、Sandy Bridgeの機能がフルに使える仕様になっている。

 メインストリームを走るZ68マザーだが、7月初旬にはその可能性を広げる尖ったモデルが複数登場した。パフォーマンス重視のユーザーに注目されたのは、ASRockの「Fatal1ty Z68 Professional Gen3」だ。接続したマウスのレスポンスが高度に調整できるUSBポートなどを備えるゲーミングモデルで、HDMI端子2基やアナログRGB端子1基に加え、PCI Express x16スロットも3基搭載する。最大の特徴はこのPCI Express x16スロットで、3基のうち2基が次世代規格「PCI Express 3.0」をサポートしている。Sandy Bridgeとの組み合わせでは従来どおりに2.0で稼働するが、今後の登場が予想されるインテルの新CPU「Ivy Bridge」を載せると3.0で使えるようになるという。ATXサイズで、価格は3万円前後だ。

 ドスパラ パーツ館は「Ivy Bridgeは秋とも冬とも年越し登場ともいわれています。先の話になるので、仕様変更の可能性もゼロではないですし、3.0のパフォーマンスを期待して買うのはちょっと待ったほうがいいでしょう。ただ、今後は徐々に各社がPCI Express 3.0対応のコントローラーを載せるようになってくるはずですから、その先駆けとして注目すれば面白いモデルだと思います」と評価していた。

 同時期に、ZOTACのMini-ITXマザー「Z68 GT430 ITX-WiFi」と「Z68 ITX-WiFi」は、多機能性とコンパクト性の両立で話題を呼んでいた。Z68 GT430 ITX-WiFiはZ68の機能に加えてGeForce GT430をオンボードしており、Snady Bridgeの内蔵GPUとあわせて最大4系統出力できる独自性が特徴。Z68 ITX-WiFiは比較的スタンダードなZ68マザーで、デスクトップ用のDDR3メモリが挿せるなどの利点がある。また、2モデルともIEEE802.11n対応の無線LANアダプタを付属しており、SSDキャッシュ向きのmSATAポートを搭載する。価格は順に、2万4000円前後と2万円前後。

 PC DIY SHOP FreeTは「Z68マザーの機能を生かすとなると、超小型マシンでは発熱が怖くなりますが、電力やエアフロー、物理的なスペースとバランスをとりながら、ぎりぎりのラインをせめていけるのは自作心を刺激しますね。コンパクトなAVマシンでも、本気のメインマシンでも自由に組めますから」と高く評価していた。

ZOTAC「Z68 ITX-WiFi」(写真=左)。ZOTAC「Z68 GT430 ITX-WiFi」(写真=中央/右)

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