国産オールインワンノートは高い? いや、そうでもない――「FMV LIFEBOOK AH77/E」という選択信頼の“出雲”モデル(3/4 ページ)

» 2011年11月25日 11時00分 公開
[望月瞬(撮影:矢野渉),ITmedia]

高輝度の15.6型ワイド液晶、さまざまな工夫を盛り込んだキーボード

 光沢タイプの15.6型ワイド液晶ディスプレイは、ディスプレイ部分とフレーム部分の間の継ぎ目をなくし、シームレスにつなげた「フルフラットファインパネル」を採用。すっきりと洗練したデザインに仕上げている。

 解像度はWindows 7搭載PCで標準的な1366×768ドットだ。バックライトは白色LEDを内蔵している。富士通は「高色純度」や「高輝度」をうたっており、確かに彩度が高い色が鮮やかに表示される。外光の映り込みは結構あるが、画面内に光源が直接映り込まないようにすれば、それほど気にならないだろう。

 視野角はあまり広くないので、画面の真正面か、真正面に近い角度で見るようにしたい。画面のチルト角度は180度以上も開くので、ローテーブルの上など低い場所に本体を置いても見やすい角度に調整できるだろう。

1366×768ドット表示の15.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載(写真=左)。写真では分かりにくいが、ディスプレイ部分とフレーム部分の間の継ぎ目をなくした「フルフラットファインパネル」を採用する(写真=中央)。液晶ディスプレイの角度は180度以上開く(写真=右)

 キーボードは、正方形のキートップが並ぶアイソレーションタイプだ。テンキー装備の日本語108キー仕様で、キーピッチは約18.4ミリ、キーストロークは約2ミリとなっている。レイアウトも標準的で、横ピッチが不自然に狭いキーもない(強いて挙げるなら、右Altキーを省いていることくらいだろうか)。テンキーには「00」キーとTabキーを設けているので、特に表計算ソフトで大量の数字入力をする人には便利だろう。

 アイソレーションタイプのキーボードながら、キートップの側面を着色した「サイドカラードキー」とすることで、キーに立体感を付け、視認性を高めているのは目新しい。キートップのカラーはボディカラーで異なる。アーバンホワイトモデルはキートップが「白」、キートップ側面が「グレー」の配色だ。アーバンホワイト以外のモデルはキートップが「ブラック」だが、キートップ側面はボディカラーに準じた色となる。例えば、ガーネットレッドモデルはキートップ側面も「レッド」だ。

 また、各キーを液晶ディスプレイ側に向かって約0.5度ほど傾斜させて階段形状の段差を設けた「ステップ型キートップ」や、キートップを少しだけへこませた「球面シリンドリカルキートップ」を採用したのも、打ちやすさを高める工夫だ。富士通はこのキーボードを「ナチュラルフィットキーボード」と呼んでいるが、実際にキートップへ指を乗せて入力してみると、確かにアイソレーションデザインとしては収まりのよさを感じる。

 キータッチは軽めで、キースイッチと本体側にほどよいクッションがあるような感覚だ。本体側の作りもしっかりしているようで、強めにタイプしてもたわみはほとんどない。全体的によく作り込まれたキーボードといえる。

テンキー付きのフルサイズキーボードを装備(写真=左)。キートップの側面を黒く塗っているのが目新しい(写真=右)

 ポインティングデバイスは、一般的な2ボタンのタッチパッドに加えて、円形のスクロールパッドを並べている。スクロールパッドの円周に沿うように指でなぞることで、スクロール操作が可能だ。タッチパッド(タッチ領域)の右側と下部にも、縦スクロールと横スクロールの機能を割り当てられるが、これは標準で無効になっている。

 タッチ領域のサイズは、実測で約76(横)×38(縦)ミリと横長だが、面積は十分な広さがあり、特に不満なく使える。ドライバはシナプティクス製で、2本指のフリックやピンチといったマルチタッチ対応だ。キーボードで入力中に手のひらがタッチ領域に触れてもタップと認識しない、パームチェック機能も搭載している。パームチェックを有効にすると、タイピング中の意図しないカーソル移動やクリック動作を防げる。

2ボタン式のタッチパッドとスクロールパッドを内蔵するほか、USB接続の横スクロール機能付きレーザーマウス(1100CPI)が標準添付される(写真=左)。タッチパッドを使ったマルチタッチジェスチャーの設定は、シナプティクスのドライバで行える(画面=右)

最新の3Dゲームを除けば、パフォーマンスは上々

 続いて各種ベンチマークテストの結果を見ていこう。FMV LIFEBOOK AH77/Eの基本スペックをおさらいすると、CPUがCore i7-2670QM(2.2GHz/最大3.1GHz/3次キャッシュ6Mバイト)、メモリがPC3-10600対応で8Gバイト(4Gバイト×2)、ストレージが750バイトの2.5インチSerial ATA HDD(5400rpm)、グラフィックス機能がCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000、OSが64ビット版のWindows 7 Home Premium(SP1)だ。

FMV LIFEBOOK AH77/Eのデバイスマネージャ画面

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 Windowsエクスペリエンスインデックスの各サブスコアは、全般的に高い。最低はプライマリハードディスクの「5.9」だが、これは内蔵HDDのほぼ最高値と思ってよく、これ以上のスコアを出すにはSSDやHDDのRAID 0構成が必要だ。グラフィックス関連は「6.3」、CPUとメモリは「7」オーバーと、コアコンポーネントの高性能さが見て取れる。

 総合ベンチマークテストのPCMark VantageとPCMark 7も、全体的に高いスコアをマークしている。参考までにPCMark Vantage x64の結果は、低価格な15.6型ワイド液晶搭載ノートPC「K53E」のスコアも併記した。Core i5-2410M(2.3GHz/最大2.9GHz/3次キャッシュ3Mバイト)、4Gバイトメモリ(PC3-10600)、640GバイトHDD(5400rpm)、Intel HD Graphics 3000、64ビット版のWindows 7 Home Premiumといったスペックだが、HDD Test以外のテスト項目で大きな差を付けているのが分かる。

 PCMark 7については、CPUがCore i7-2670QM、メモリが8Gバイトであることを考えると、各スコアが少々低いように思えるが、これは内蔵HDDに足を引っ張られた結果だ(PCMark 7とPCMark VantageはSSD搭載機でスコアが大きく伸びる傾向がある)。

 実際、普通に使っていて遅さや重さを感じることはまずない。1つ1つの操作に対するレスポンスや描画は高速で、サクサク感がある。HD動画の複雑な編集など、大量のストレージアクセスが連続して発生する場面でもなければ、「待たされる」という感覚を持つことないだろう。

 一方、3Dグラフィックスに関するベンチマークテストの結果は低調で、最近の描画負荷が高い3Dゲームを快適にプレイするのは厳しい。グラフィックス機能がCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000なので、仕方のないところだ。

PCMark Vantage x64(1024×768)のスコア(グラフ=左)。PCMark 7のスコア(グラフ=右)

3DMark06(1024×768)のスコア(グラフ=左)。3DMark Vantageのスコア(グラフ=右)

モンスターハンターフロンティア ベンチマーク【絆】のスコア(グラフ=左)。ストリートファイターIVベンチマーク(グラフ=右)

 高いパフォーマンスを備えるFMV LIFEBOOK AH77/Eだが、動作中の静音性はいまひとつだった。マシン負荷が高まると、割と速いタイミングでファンが回り出す。排気口は本体の背面だが、高負荷が続くとファンの騒音もそれなりに大きく聞こえてくる。

 半面、冷却能力は高いようで、高負荷が続いてもパームレストやキーボード面は熱くならない。TDPが45ワットと高いクアッドコアのCore i7-2670QMをしっかり放熱しており、ファンの動作音はトレードオフといえる。

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