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» 2011年12月22日 15時30分 公開

2011年末プリンタ徹底検証:キヤノン「PIXUS MG6230」は、“もう1つの本命”として浮上するか? (5/5)

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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印刷/コピーの速度をチェック

 次は印刷速度の測定だ。ここではPCからA4モノクロテキスト、A4カラーチャート&テキスト、L判フチなし写真、L判フチなし写真ダイレクトプリント、A4カラーコピーなどの出力を行い、所要時間を計測している。

 測定方法は、PCからのプリントでは用紙を引き込むと同時に計測を開始し、排紙が完了した時点で計測を終えている。これはPCの処理速度に左右されるスプールタイムを排除し、純粋なエンジンスピードを調べるためだ。ダイレクトプリントとコピーについては、処理速度も性能に含まれるので、スタートボタンを押すと同時に測定を開始している。

印刷/コピー速度のテスト結果
設定 出力時間
A4モノクロ(PCから印刷) 普通紙1枚
速い(4) 3秒8
標準(3) 6秒2
A4カラー(PCから印刷) 普通紙5枚
速い(4) 44秒6
標準(3) 58秒7
L判(PCから印刷/フチなし) 光沢プロ[プラチナグレード]1枚
標準(3) 15秒6(フチあり12秒9)
きれい(2) 34秒8(フチあり27秒6)
高品質(1) 1分29秒3(フチあり1分13秒7)
L判(メモリカードから直接印刷/フチなし) 光沢プロ[プラチナグレード]1枚
標準 19秒3
きれい 42秒1
A4カラーコピー 普通紙1枚
標準 22秒8

 まずはA4モノクロテキストだが、JEITAのプリンタテストパターン「J1.DOC」を最も高速なモード(速い)と標準モード(標準)の2パターンで印刷した。結果はどちらもストレスなく使える速さだ。品質についても触れておくと、高速モードのプリントはやや色が薄くなるものの、判読は十分に可能なレベル。とはいえ、標準モードとの差はわずか3秒程度なので、普段は素直に標準モードを使用するのがよいだろう。

 続いてカラーチャート&テキストの測定だが、モノクロテキストと同様、高速モードと標準モードを使用した。原稿はJEITAのプリンタテストパターン「J9.DOC」を使用しているが、5ページのデータだけに両モードの間で14秒ほどの開きが出た。高速モードの品質はモノクロテキストと同様にやや薄いが判読は可能といったところだ。ただし、カラーチャートなどは色彩が落ちると途端に視認性が低下するので、標準モードを使用するのが無難だろう。

 L判フチなし写真印刷では最高品位から標準までの3モードの速度を測定している。さすがにテキストと違ってそれぞれのモードで大きな差が出た。ただし、「標準」と「きれい」の品質は目に見えて違いがあるが、「きれい」と「高品位」の差はさほど大きいとは思えない。A4くらいの大きさになれば違いは顕著になるが、L判では両者の差は感じにくいのだ。L判では「きれい」モードを常用にして、「高品位」は2L以上の大きめなメディアで使用する程度でもよいかもしれない。きれいモードの画質で34秒8は申し分ない速さだ。

 次いでL判フチなしダイレクトプリントのテストだが、こちらは選択肢が「きれい」と「標準」の2パターンだけとなる。これはそのまま、PCのプリンタドライバにおける「きれい」と「標準」モードに相当すると見てよいだろう。きれいモードで42秒1はやはり速い。

 A4カラーコピーは、デフォルトの標準モードのみを計測している。コピーの品質を見ると、テキストのみの原稿ならばともかく、イラストや写真が混在するならば、標準モードが実用限界のように思える。結果は22秒8とまずまずだ。

L判フチなし写真印刷のコストは1枚あたり約19.2円

 前モデルのMG6130から、インクや純正用紙の価格に変更がないこともあり、ランニングコスト(インクと写真用紙のコスト)はMG6130と同様だ。「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」にL判フチなし印刷を行った場合で1枚あたり約19.2円、「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」だと1枚あたり約29.1円が公称値となっている。

 ゴールドの価格は400枚入りパッケージ(1790円)で計算しているため、1枚あたり4.475円となる。一方のプラチナグレードは100枚入りパッケージ(1491円)なので、1枚あたり14.91円だ。

 また、明確なアナウンスはないが、キヤノン写真用紙・光沢 ゴールドのA4用紙へのフチあり印刷が約88.5円、普通紙へのフチあり印刷が約10.7円というMG6130のコストは、MG6230でも共通と思われる。

好評のサイレントモードは使い勝手を向上

 動作時の駆動音についても触れておこう。MG6230の駆動音はうるさいというほどではなく、昼間にリビングなどで使うぶんには気にならないだろうが、静かな深夜帯などでは動作音が耳に付くこともあるかもしれない。

 だが、PIXUSには伝統のサイレントモードが用意されている。これを利用すると、ペーパーフィードやイジェクト時のローラー音、ヘッドキャリッジが駆動する際に発する断続的な高音がかなり抑制される。

 公称値によればサイレントモード時の駆動音は約37.7デシベルとのこと。試しに、環境騒音31.5デシベル程度の室内で本体の30センチ手前に騒音計を設置し、A4普通紙カラー印刷中の動作音を測定したところ、標準設定では50〜58デシベル程度だったが、サイレントモードをオンにすると42〜45デシベル程度まで動作音が低減された(ただし、印刷準備や排紙完了時は大きな駆動音がする)。測定環境が違うため、公称値と同じようにはならないが、確かな違いが実感できた。

 補足しておくと、単に動作音が小さくなるだけでなく、音の高低差があまりないのが好印象だった。音のレベルがほぼ一定のため耳に障らず、作業を妨げることがない。環境によっては昼夜を問わずに重宝することだろう。

 なお、今年からはサイレントモードが操作パネルのメインメニューにも並んでおり、手軽にオン/オフができるようになった。

サイレントモードはプリンタドライバだけでなく、液晶モニタのメニューから選べるようになった(写真=左/中央)。「ECO設定」のメニューでは、用紙を節約する自動両面印刷や自動電源オフの設定がまとめて行える(写真=右)

まとめ――完全復活が待たれる“もう1つの本命”

 このようにMG6230は、前モデルから比べて革新的な機能こそないものの、カラバリの拡充やスマートデバイス/クラウドサービスとの連携、細かな部分での改善を行っており、非常に扱いやすいインクジェット複合機に仕上がっている。そもそも前モデルの時点で完成度が高かったので、そこから改良を重ねたモデルに大きな弱点はない。

 唯一の懸念点を挙げるならば、タイ洪水の影響で年末商戦にMG6230の生産に影響が出たことだが、別工場への切り替えも進んでおり、今後は次第に供給や価格が落ち着いてくるだろう。現状でブロンズモデルは取扱店が多くない状況だが、スタンダードなブラックとホワイトは比較的数が出ている。2011年12月22日現在、実売価格はブラックとホワイトが2万円台前半〜後半、ブロンズが2万円台後半〜3万円前後といったところだ。

 予想外の外的要因で競合機種に比べて供給安定や値下げが進まず、例年になく苦戦を強いられている(それでもシェアは高い位置を維持しているが)PIXUSの売れ筋モデルだが、本来の実力がトップシェアを競うところにあるのは間違いない。

 直接のライバルはエプソンの人気機種であるEP-804ARだが、特に普通紙と写真用紙へのバランスよい出力品質や、さまざまなメディアを素早く使い分けて印刷しやすい2Way給紙、インテリジェントタッチシステムの演出と使い勝手といった点に魅力を感じるならば、迷わず選んでいい“もう1つの本命”といえる。


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